グアムと日本人: 戦争を埋立てた楽園 (岩波新書 新赤版 1083)

著者 :
  • 岩波書店
3.96
  • (14)
  • (16)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 132
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310839

作品紹介・あらすじ

年間約一〇〇万もの日本人が訪れる米領グアム。その島が旧日本領で、かつて二万近い日本兵が命を落とした激戦地であった事実が、現在の観光者たちに意識されることは、少ない。いったい誰が、いつ、どうやって「日本人の楽園」を開発したのか。無個性なリゾートの地下に眠る、忘れられた記憶を掘り起こす。写真・図版多数掲載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • YM5a

  • ●サブタイトルの「戦争を埋め立てた楽園」とあるように、戦争の歴史を忘れて観光開発で発展していったグアムの歴史が描かれている。

  • 知られざるグアムと日本の深いかかわり、「リゾート」の陰に隠れた現地の人々の暮らしと切実な願い。

  • グアム旅行前に読んでよかった。

  • 「ハワイよりちょっと安いリゾート」というイメージに埋没した日本との関係史をひもとくための最初の一冊。

  • めったにいくことのない出張先になったので、どんなところなんだろうと手に取った本。日本人が毎年100万人近く旅行するこの小さな島の歴史、知ることができてよかった一冊。

    横井さん発見で改めてそうだなと思いましたが、戦時中は日本が占領していた島(大宮島)でした。その前はスペイン。

    戦後は日本資本による観光開発が進み、かつての戦争や侵略の歴史、現地文化などは意も介さず、ごく小さな地域に資源が集中投下されて、商業施設、宿泊施設が建設される。その裏では、ホテルにいると微塵も感じない停電など、社会資本の整備は置き去り。

    占領時の歴史は現地に残されている資料を丹念に追うだけでなく、当時に生きた方々にインタビューもしている。
    また、戦後のグアム観光開発の歴史を詳しく解説していて、観光社会史としても秀逸。

    観光産業に少し足を踏み入れている身にとって、ビジネスを進める上で必要ないことかもしれないけど、こういうことを知ったうえでビジネスができるとリスペクトされるようなビジネスにつながるのだろうか。

  • 新書で読みやすく、内容も知らないことがたくさんあり、読んでよかったと思える本だった!
    去年観光でグアムを訪れた時にラッテ公園の防空壕を見て、その生々しさに驚いたが、
    グアムには他にも戦争の痕跡を感じさせる場所が未だ多く残っている。次回訪れる際はこの本の内容を思いだし、グアムを違った視点で見てみたい。
    巻末のガイドも参考になった。

  • グアムに対する歪みを感じたことから手にとった。日本人の知らないグアムの歴史、現在の問題が事細かに調べられている。日本人にとっては、沖縄と同じくらいグアムのことを心配する必要があると感じた。詠み終わってから略歴を見て驚いたが、筆者の山口誠氏と同い年だった。我々の世代から、グアムに対する日本人の考え方が変わっていくことを望む。

  •  夏休みにグアムに行ってきた(PIC)。
     事前にこの本を読んで,グアムの歴史,とくに大宮島だったころ(わずか3年)の歴史を心にとめて出かけた。とはいえ,4歳と3歳の娘を連れた家族旅行。戦跡を巡るでもなく,ホテルのプールとビーチ三昧。でもビーチにはトーチカ(旧日本軍が米軍上陸に備えて築いた機関銃陣地)が人知れず残っていたのは読んだ通りで,中に入ってみると,銃眼?から海が見えた。長女は怖がって来なかったけど。

  • タイトルから言って、日本軍と現地人との惨劇や、玉砕の話かと思ったら、それだけじゃなく、10万人いた現地人が1500人まで減少したスペイン統治時代から、平均年齢28歳、死亡率が日本の半分になった今のグアムの問題まで書かれてまして、大変興味深い。再来月グアムに行くのに、かなり参考になりました。
    「グアムなんて、海しかないつまらない島」と、言っているどっかの偉い人にも読んでいただきたい感じ。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会情報学)。獨協大学外国語学部教授。専門は観光研究,メディア研究,歴史社会学。
[主な業績]『英語講座の誕生――メディアと教養が出会う近代日本』(講談社,2001),『グアムと日本人――戦争を埋立てた楽園』(岩波書店,2007),『ニッポンの海外旅行――若者と観光メディアの50年史』(筑摩書房,2010),『客室乗務員の誕生――「おもてなし」化する日本社会』(岩波書店,2020)

「2023年 『観光が世界をつくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山口誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×