金・銀・銅の日本史 (岩波新書 新赤版1085)

  • 岩波書店 (2007年7月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004310853

みんなの感想まとめ

モノの視点から日本の歴史を探ることができる本書は、金銀銅の採掘と加工技術がいかに日本の発展に寄与してきたかを深く掘り下げています。特に、戦国時代における武器の獲得において、これらの金属資源が果たした重...

感想・レビュー・書評

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  • 最近、戦国時代の最新鋭の武器の獲得などに当時日本で豊富に産出していた金銀銅が大きくかかわっていた、というテレビ番組を見たので改めて読んでみた。

    モノから見る日本の歴史はやはりとても興味深い。

  • 最近の仕事柄、冶金に関する情報を得たくて読んだ。鉱物から金属を得る技術は、太古の時代から、いろいろと試されていて、人類の金属愛は想像以上だ。

  • 日本人は、かつて渡来人が持たらした採掘や加工の技術を習得し、高度な手技を加えていった歴史を理系の視点で書かれます。開化期にきた外人は、その水準の高さに驚嘆したそうです。今では忘れ去られた旧来の技術。近代化によって得たものは知っていますが、失ったものが何であるかを解明することは現代人の課題だと言います。同感ですね。

  • 筆者は、現代美術の村上隆とは同姓同名の別人で、考古資料などの科学分析をしている「技術材料史」の学者。本書では、日本における金・銀・銅の採掘と加工についての歴史が書かれている。
    https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000000192774/

    印象に残った話は以下の二つ。奈良県に存在する飛鳥池工房遺跡は、当時の金属製品の生産工房であり、溶けた金属を容れるるつぼの断片などが出土している。るつぼ内面には、銀粒が残留しており、銀粒やるつぼ類から銀と共に鉛も検出されている。この事から1533年に灰吹法が日本に伝わる前に、古代においても灰吹法に似た方法(筆者は「石吹法」と名付けている)で銀の精錬が行なわれていたとされている。

    江戸時代に小判製造過程で行われた「色揚げ」という作業の話もおもしろい。元文小判から小判に含まれる金の含有量が下がり、そこから幕末まで小判の品位は上がらなかった。色揚げとは、低品位の金貨を金貨に見せるために、金―銀合金の表面から銀だけを除いて、金色に仕上げる方法だ。鋳造後に、硝石、薫陸、緑礬 (ローハ)などの薬品を梅酢で練り、小判に塗りつけて炭火で焼いた。色揚げを行う事で、小判表面から銀が除かれて輝きが増したとか。当時の涙ぐましい努力が垣間見られておもしろかった。

    金・銀・銅に纏わるトリビアは読んでいて興味深いが、通史としては、記述が散漫。歴史エッセイに近い内容だ。読んでおいて損はないかもしれない。

    評点 6.5点 / 10点

  • 日本の『金・銀・銅』の採掘と利用の歴史が書かれている。
    日本の金銀銅の歴史は採掘からではなく、利用から始まっているということが特徴的なのではないかと思う。これは日本が中国に朝貢したことで得た金印や銅銭などが当てはまる。
    その後、大陸から渡ってきた鉱山技術者の貢献で日本でも採掘が始まり、多くの文明と同様に富や権威の象徴として扱われてきたことがよく分かる内容だった。
    島国の割に金銀銅が多く採掘できた日本では様々な形で利用され、日本文化の発展に寄与してきたといえるだろう。

  • ◆安価簡便な測定器の普及と、材料工学の技術的発展が後押しする新領域。考古学史料や遺跡への材料工学的アプローチを、金・銀・銅ほかの具体的実例を踏まえ解説。そして仄かに見えるのは、研究活動が地域おこしの一面を有すること◆

    2007年刊。
    著者は独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所上席研究員。

     五輪期間はニュースまでもが金銀銅と喧しい。それに触発されたわけではないが、(むしろ貨幣論との関係で)金銀銅をテーマとする本書を紐解く。

     もっとも、本書の対象は貨幣だけではなく、金銀銅その他、金属を利用する文化財につき、採鉱から製錬・精錬までの過程を踏まえつつ、通史的な変遷を具体的財を列挙しつつ解説する書である。

     嘗ては材料工学的分析は不可能だったろうが、当該領域の技術的発展と、安価・簡便な測定器の普及が後押しする新たな研究領域がここにある。しかも考古学のウェイトが相対的に大きい古代史における分析は興味深い。
     就中、注目すべきは古代の工房・飛鳥池遺跡の解説である。

     他方、石見銀山の世界遺産登録。あるいは維新期に江差沖で戦没した開陽丸の引揚げと遺物の展示(水中考古学)。これらは地域おこしの一と言えようが、それが本書の後景に見え隠れする点もまた気に懸るところだ。



  • #岩波新書
    #村上隆 金銀銅の日本史


    弥生時代の銅製のやじりに始まり、飛鳥池遺跡の富本銭、#後藤祐乗 の赤銅(しゃくどう)、#石見銀山 、#鈴木長吉 「十二の鷹」までの金属の通史


    かっては世界の1/3の銀生産量を誇るなど 日本が「金属の国」だったことや、赤銅・四分一・青金など金属に色を出す技術を初めて知った。無数の鉱脈があったにも関わらず、地下水の処理が不備であり多くの鉱脈が遺棄されたのは もったいない話である




    鉱石の発掘は地球破壊であり、大量の岩石廃棄物を生み、鉱石から金属を抽出する際に 大気汚染と鉱毒汚染を伴うというのは 驚いた。環境保護のため金銀銅の発掘を抑制する運動が出てこないのはなぜか?



























     







  • 富本銭は青銅ではなく銅とアンチモンの合金(青銅;銅とすず)

  • ふむ

  • 【書誌情報】
    著者 村上 隆  (1953-)
    通し番号 新赤版 1085
    ジャンル 日本史
    刊行日 2007/07/20
    ISBN 9784004310853
    Cコード 0221
    体裁 新書・並製・カバー・236頁
    在庫 品切れ
    https://www.iwanami.co.jp/book/b225873.html

    【簡易目次】
    口絵 [/]
    はじめに [i-ix]
    目次 [xi-xvi]

    第一章 日本は、「黄金の国」か、「銀の国」か、「銅の国」か――「金・銀・銅」をめぐる技術の系譜 001

    第二章 祭、葬送、そして戦いの象徴――草創期の「金・銀・銅」 015

    第三章 仏教伝来から、律令のもとで――定着期の「金・銀・銅」 045

    第四章 国内への浸透、可能性の追求――模索期の「金・銀・銅」 083

    第五章 「金・銀・銅」をめぐるダイナミズム――発展期の「金・銀・銅」 113

    第六章 世界の最高水準の達成、そして――熟成期、爛熟期の「金・銀・銅」 141

    第七章 近代化による新たな取り組み――再生期の「金・銀・銅」 175

    おわりに――「金・銀・銅」を未来へ活かすために 201

    あとがき(二〇〇七年六月 村上隆) [209-211]
    参考文献 [213-219]

  • 金・銀・銅の利用方法が日本の歴史の中でどう変遷していったかが分かります。宝飾から民生品へ一般化していったことなど。図がところどころあるおかげか、読みやすいです。古代から培ってきた精練・加工技術が現在のPC、スマートフォンに続いていると思うと面白いなぁと思いました。

  • 石見銀山を調べていたので本書を買って読んでみた。分かったような分からないような。岩の中から金属を取り出して、それを加工する方法が歴史を追って記述されているのだけれど、結局、2000年以上も前の人々がどうやって金属が使えるということに気付いたのか、金・銀・銅・鉄ならまだしも、スズとかアンチモンだとか、そういうモノが何%か混ざっているというのは、わざと混ぜたのか、偶然混ざったのか・・・。それに、ものすごく精巧な加工技術。これはいったい誰がどのようにして発明していったのか。科学技術が進歩して分かることはとても多くなった。古いものを分解せずに、中の様子を探ることもできる。しかし、そのモノが製作された当時の職人たちの思いだとか、発見物語などは想像するよりないのだろう。著者の思いは「おわりに」に良く表れている。石見銀山の遺跡を発掘するにつれ、その当時の人々がいかにまわりの環境を大事にしながら銀を掘り出していたのかが分かるのだそうだ。環境保全が叫ばれる現在、歴史の中で捨て去られてきた過去の技術に、もう一度光を当てる必要がるのかもしれない。

  • 金・銀・銅に注目し、科学的観点から貨幣の歴史を探る。銅銭を構成する鉱物の割合を調べ、比較することで当時の貨幣の生産地がわかる点が印象的だった。銅銭と言っても実際は銅−アンチモン合金であったりする。和同開珎がその例。

    古代日本の金の装飾品の精密さに驚かされる。博物館などで見るとき、その輝きに圧倒されてその作り方まで考えが及ばない。本書では、金の耳飾りを顕微鏡で拡大した写真がある。その精密さに圧倒された。次回からは、見た目の華やかさだけでなく、その技術にも注目して展示品をみたい。

    また、大学の講義「日本社会経済史」における備蓄銭の量・件数からみた貨幣の流通史では、備蓄銭の件数と量の変遷から中世の流通の実態を推測していた。本書の材料史的な観点を合わせて考察すると、興味深い。


    石見銀山において、鉱床によって鋳造方法が違っていたことも印象的だった。中国から鋳造技術が伝来する以前に、類似の技術が日本にもあった。

  • 貴金属からたどる日本史。
    ★3.8ぐらい。
    材料工学の美術の専門家が発掘にたちあった例を紹介しているだけあって、写真も豊富なので雑学程度におもしろい。

  • これは良書だ。金銀銅の材料における理系的な話と、歴史背景の文系的な話がベストミックスされており、大変楽しく読ませていただいた。最後の著者の一言「かつて何を持っていたのかがしっかりと把握し検証されていないため、いったい何を捨てたのかが具体的にはっきりわからない」が特に印象に残った。

  • スポーツ競技の歴史のようなタイトルだが、文字通り金属としての金銀銅の話。
    こうした貴金属の生産(採掘・製錬・精錬)と加工(彫金や発色)について、史料や遺跡から、材料科学という視線で我が国の技術や職人技を読みとく研究成果がまとめられている。歴史学的に秩序だった構成にはなっていないが、文化史と工学技術史が融合された興味深いエピソードが満載。
    金銀銅が当たり前に電子機器に使われ、貴金属から希金属の時代に移っている今、過去より築かれてきた叡知を見直し、後生に残そうとする著者の思いが伝わる。

  • 金・銀・銅、いずれも古代に中国・朝鮮を通じてやってきた金属。
    それが加工・生産面で常にモノ作りの先端をいき、日本独自の発展を遂げる。
    単なる金・銀・銅だけでなく、青銅から始まり、佐波理、黄銅、赤銅、青金、赤金といった数々の合金を精錬で編み出しており、その色彩感覚も言葉として面白い。
    江戸時代の華やかで細かく彩られた漆器の蒔絵は、ヨーロッパの人も魅了した。

    「日本の近世におけるモノ作りの技術は、人類が持ちえた手工業的な技術として最高レベルに達していた。・・・明治維新を境にした西洋技術の導入によって、日本が短期に近代化を成し遂げた背景には、それまでに営々と築き上げられてきた人力で行う手工業的な生産システムが高度に発達していたことが礎になった」
    やはり、三流農業国が奇跡の進化を遂げた、という認識は誤りであろう。
    江戸時代、●●家といった技術を外に明かさない、前近代的な閉じられた「職人の世界」で技術革新がなされたのも興味深い。

    歴史的な資料の金属分析から時代を考察する。
    やっていることはきっと地道かつ相当マニアックな世界だが、それをわかりやすく説明している。特に、1章が平易だったので、以降の多少複雑な話の理解に役立つ。
    優秀かつ謙虚で立派な研究者に違いない。
    そんな魅力が文章ににじんでいた。

  • 日本における金、銀、銅の製造方法と、加工方法を紹介している。
    最後は名古屋城の金の鯱鉾の話題でおわる。
    尾張名古屋は城でもつという落ちでしょうか。

  • 著者名が紛らわしいが,美少女フィギュアモドキの作品を得意とする芸術家とは別人.これは後々まで長く読むに耐える名著と呼ばれるようになる予感.よほどの大家が書いたものか…と思いきや,意外や著者が若いのに驚く.何より素晴らしいのは,限られた紙幅の中で,日本列島への金属渡来と冶金技術の進歩を通史的に触れた上で,さらに美術史的意義にも隅々まで目が行き届いており,なおかつ記述は平易で門外漢にも解りが良くなっていること.
    個人的には,古墳時代の金属装飾品に使われている微細加工技術の巧みさに蒙を啓かれた.極狭幅の金箔をスパイラルチューブ形状に加工して金糸にするとは凄い.考古学,古代から近世までの工芸美術史に興味のある人,絶対必読.

  • 仕事に関係あるかな、と思って読んだ。温故知新って言葉があるけど、過去に発見されていながらも消えていった知識や技術って実はたくさんあるんやなぁ。

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著者プロフィール

北海道大学スラブ研究センター教授。1942年長野県生まれ。
上智大学外国語学部ロシア語科卒業。(社)ソ連東欧貿易会ソ連東欧経済研究所調査部長を経て,1994年4月から現職。2000年4月から2002年3月までスラブ研究センター長。
専門分野は旧ソ連のエネルギー経済,ロシア極東経済,日ロ経済関係。
著書・論文には,『めざめるソ連極東』〈共著〉(日本経済評論社,1991年),『ソ連崩壊・どうなるエネルギー戦略』〈共著〉(PHP研究所,1992年),「ロシア石油・天然ガス輸出市場の形成」西村可明編著『旧ソ連・東欧における国際経済関係の新展開』(日本評論社,2000年),「サハリン大陸棚石油・ガス開発にともなう環境問題」(『ロシア研究』日本国際問題研究所,2001年),『サハリン大陸棚石油・ガス開発と環境保全』〈編著〉(北海道大学図書刊行会,2003年)など多数。

「2004年 『北樺太石油コンセッション 1925-1944』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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