ベースボールの夢: アメリカ人は何をはじめたのか (岩波新書 新赤版 1089)
- 岩波書店 (2007年8月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004310891
作品紹介・あらすじ
二〇世紀資本主義への転換期、開拓フロンティアの消滅や都市の時代の始まりを背景として、ベースボールは成立した。当時、衰退の波にさらされていたミドルクラス・白人男性の「夢」として、数々の神話や幻想を織り込みながらつくられた、壮大なスペクタクル。アメリカ人はそこに何を託したのか?豊富な図版とともに読み解く。
感想・レビュー・書評
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社会学者である著者が、成長と繁栄を謳歌しながらも競走と物質主義の中で病みつつある当時のアメリカ社会がBaseballという娯楽に見いだした精神性を分析することで、「創られた"Baseball"の歴史」とアメリカの「白人中流階層」のマッチョ幻想の関連性について歴史的に紐解いていく。
イギリス由来のラウンダースなどを起源とするだろうbaseballが、アメリカ的なスポーツとしての属性を喧伝され、それにふさわしい歴史が時に捏造されされる。それはミドル・クラスの自己意識の再生産である。だが資本主義と商業主義によって成立したプロ野球の成立によって、逆説的にその「マッチョなミドル・クラス」は現実には手が届かず、野球場で観戦する「外的アイドル」となっていく。ついに野球のヒーロー像はミドル・ホワイトの手から滑り落ち、労働者階級の理想像である豪放快闊なベーブルースへと至っていく様はとても面白い。そして彼らに対応するように、「田園で親しまれたBaseball」というイメージが、近代都市文明の中で生きる都市民達の理想の牧歌的幻想を受けて、創造される。
Baseballを通してアメリカ社会の歩みを理解することが出来る秀著。 -
資本主義アメリカ始まりの時代。開拓フロンティアが消滅し、大陸鉄道が完成し、都市の時代が始まる。19世紀末から20世紀へ向けて、アメリカの姿が変化していくのが、ベースボールの分析を通して学ぶことができる。これによりアメリカがどのようにしてきたか、また、野球のことをどのように考えているかわかることができる。ベースボールというのが生まれた時から今まで野球の原点を詰めたこの本によって、野球をやっているものは野球が生まれた意味などを学べていい本だと思う。
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(新書 - 2007/8)
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なぜ内田隆三がこれを書いたのかが最大の謎。
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日本でも野球人気が衰退する中、旧き良きボールゲームのイメージは語り継がれている。やはり父親は息子とキャッチボールできることを願い、ボールパークに足を運んで好きな選手に声援し、敵の選手に野次を飛ばすことを願う。そんなアットホームな光景を与える野球の「起源」をめぐる、アメリカの“スキャンダル”を追う一冊。
野球を抜きにしてアメリカを語ることはできないとよく言われるが、南北戦争後のアメリカを支える神話として野球が機能したことが詳しく述べられている。新中間層の台頭、大衆社会化、都市の匿名性と群集の社会化。きわめて社会学的な内容。 -
ベースボールの起源はどうだったのか。そこからスタートして、アメリカ人にとってのベースボールとはどんなものか書かれた本。あくまでもベースボールの文化論であり、野球に関する本ではないので注意。