誰のための「教育再生」か (岩波新書)

制作 : 藤田 英典 
  • 岩波書店 (2007年11月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311034

作品紹介

政府の「教育再生」改革では、学校教育は崩壊するのではないか。強く危機感を抱く学者ら六名が、全国一斉学力テスト、教員免許更新制、寛容なき厳罰主義、学校選択制、心の支配の強化など、一連の改革の問題点を検証。学校を真に立て直す道を共同で提案する。編者の他に、尾木直樹、喜多明人、佐藤学、中川明、西原博史の各氏が執筆。

誰のための「教育再生」か (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2007年刊行。藤田英典国際基督教大学教授を中心に、尾木直樹(尾木ママ)、佐藤学東大教授らが、短命だった安倍晋三政権の手になる教育基本法改正等(熟議が尽くされたと言えない点は著者らと同感)に対し批判的批評をするもの。短期間でまとめたためか、データによる説明が不十分。個人的に藤田教授は好感を持ってみているが、本書は各担当者の印象論を羅列させたに止まっているのは残念。ただし、愛国心を上から押し付けるような方法論はお節介も甚だしいと個人的には思っている。が、かかる学校教育の変化が生徒に大きな影響を持つかは疑問。
    20世紀後半から、個人の情報取得の手段が多様化(塾の発展・テレビ等のメディア進歩)、生徒の公立学校教員に対するシニカルな目線などがあるためだ。愛国心といっても小学生に真の意味を理解させるのは難しいし、中高となるにつれ、学校の授業を絶対視する視線は減少していくと思えるからである(そもそも今の高校生が学校の授業を「真剣に」聞いているのだろうか。ここすら疑義がある。)。
    なお、公権力の発動として、教師・学校が何らかの懲戒をすることを広く許容するなら、懲戒される側にも適正手続の制定と告知、告知・聴聞・弁明の機会保障は不可欠だろうが、そんなことが現実に運用可能だろうか?疑問なしとしない。

  • 2007年段階での改革案をとりあげつつ、藤田英典をはじめ教育学者達がその問題点等を指摘します。
    個人思想がからむところもあるので全てに頷くことはできませんが、教育学をやる人なら読んでおいて損はないです

  •  中身は安倍晋三政権時代に趨勢を見せた教育再生会議の動きをはじめとする、学校選択性や全国統一学力テスト、教員免許更新制などの昨今の教育改革をめぐる是非について識者がいろいろと論じたもの。どの教育制度も学校現場を混乱させるだけでもはや疲弊しており、また国旗・国歌問題などが日本国憲法の基本的人権に抵触するものだとして反対意見を表明し、昨今の教育改革に見る施策を直ちに改めるよう主張する。
     さて、本書が世に出てから数年が経った。こういう提言タイプの本は、出版されてから数年経ってから読むのも悪くない。提言に対する賛成/反対意見はさておいて、筆者が描くビジョンや予想というものが、実際の現場や社会ではどのような現状になったのかとを比べながら読み進めていくと、当時の予想と現状との合致やズレが見え、現状の問題点や論点を考える上で参考になる。

  • 一斉学力テスト・教員免許更新制・心の支配…と今日的かつ普遍的な教育行政の論点について、今の流れに抗するスタンスで書かれています。方向性としては賛成できる部分が多い、のですが何となく説教っぽくて勢いが感じられなかった。これからも考えて行きたいテーマです。

  • 【2010年3冊目】

    教育行政において今,何が問題になっているのか.
    を概観できて,勉強になった.
    この本を入り口に,執筆者の別の本を読んでいけばいいと
    先輩からアドバイスをいただきました.

  • この人の本はやや保守的な雰囲気が漂いますが、どんどん変えていこうぜ式スタイルに歯止めをかけるには良本。一度立ち止まって真剣に問題を考えてみるきっかけになると思います。

  • 今の教育に対しての政府の方針に批判的な立場から書かれている。言わんとしていることは理解できるし、ゆとりとそこからの転換など、今の政策が正しいとは思えないが、この著者らが述べていることに対しても激しく違和感を感じるのは何故だろうか。

  • ゆとり教育についての
    批判と是正策が書かれているのかと
    思って読んだ自分はあさはかだった。

    岩波新書だから内容が濃くて深かった。

    「学校の手に負えない生徒は、
     警察の手を借りる、という社会的
     流れがあるがそれは危険なことである。」

    という一説が印象的だった。

    その説明は
    「生徒と教師の信頼関係を築くための学校と、
     疑うことが職務である警察がいかにして手を取れる
     というのであろうか」
    ということである。

    この説明に胸を打たれた。
    本来の学校の意義をきちんと考えないと、
    教育は改善されるわけはないと感じた。



    また、国歌斉唱で不起立だった教師の処分問題についても書かれている。ニュースで聞いているだけだと‘ふ〜ん’で流していたが、この意味はとても深いものであることがわかった。

    個人の思想や宗教の自由が問題なのかと思っていたのだが、そんな生ぬるいものではない。

    自分の頭で考え判断できるようにすることが教育の原点であるにも関わらず‘愛国心’といったように思想を強制していいものなのか、いやこれは果たしてこれは教育といえるのであろうか、ということである。

  • 参考文献

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