ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311126

感想・レビュー・書評

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  • アメリカの悲惨なところはとことん悲惨という本。群へのリクルートの話は知らなかったので面白かったです。

  •  アメリカのことだけど、アメリカだけのことじゃない。格差社会の起こす問題なのだから、日本だって他人事じゃない。
     なかでも興味深かった内容は、アメリカの戦争事情の記事。貧しいひとに対して、兵士に志願することを勧め、貧しさのために兵士に志願する。戦争する理由が憎しみとか、領土を奪うとか、そういうものじゃなくて、軍需産業で経済を活発にするためっていう、そういう理由なのが不健康で。
     とかく、お金の絡む問題というのは、心がしんどいもの。だからこそ、向かい合わないといけないことだと思う。

  • 医療・保険分野だけでなく、軍事まで民営化され競争原理が働いているアメリカの現状から、日本の民営化はなんでもいいと言う考え方に、警笛を鳴らしている。

    今の日本の医療・保険分野には、問題がいっぱいあるが、アメリカの制度の失敗から学ばないといけない。

  • 〈内容要約〉大企業を支援する新保守主義は、社会保障の予算削減をも正当化し、国内の所得格差には歯止めがきかない状態となった。医療、教育、福祉といった、生存権を支える領域には、決して利益追求型の市場原理を導入してはいけない。この領域への民営化が政府の責任を曖昧にし、国民の生存をないがしろにしてしまっている。米国の例からもわかるように、現在日本で行われている、「役所がひどいから民営化」といった見境のない民営化の流れは早急に見直さなければならない。

    〈感想〉
    日本を支えてきた中流層が、大企業を支援する新保守主義によって、大きく転落してしまった。小泉さんの新保守主義もアメリカと同じ結果を日本に招いてしまってるんだなあと実感。

  • 今の世の中を知りたい。自分がどういった時代、どういう状況で生活しているのかを知ることは、これからの歩む方向性やさまざまな場面においての判断材料になっていくと思う。
    この本はアメリカという国を一つの側面から見たものであるが、私の知らない実態が多く書かれていた。アメリカは今(あるいは今だけではないかもしれないが)、とんでもない状況におかれている。アメリカ大国のおしりを追って来た日本は、多くの問題に直面している。
    今、私にできることは、アメリカに限らず、多くの国の現状を知ること。そして、日本を外からも内からも知り、自分の生き方を考えることだと感じている。


    本を読んで知ったこと
    ・アメリカの格差が広がる事実(金持ちはより金持ちに。貧乏はより貧乏におとされていく仕組みができている)
    ・貧困層の苦悩。
    ・貧困ゆえの肥満。
    ・戦争というビックビジネスはより格差を広げる。
    ・民営化の恐ろしさ。医療の危機。
    ・報道に惑わされるべからず。
    ・日本国内で、アメリカに次ぐ格差が広がっている事実。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「仕組みができている」
      上を向いていると思っている方々は、良いお手本があるから、その通りに進めば間違い無いと確信されているようですね。。。
      「仕組みができている」
      上を向いていると思っている方々は、良いお手本があるから、その通りに進めば間違い無いと確信されているようですね。。。
      2013/07/02
  • アメリカで起こっている格差。それを、日本にそのまま持ってこようとしていた小泉政権。アメリカのこの貧困世界から日本を見直すことは大切なことだと思う。

  • 次のような疑問に直面させられる、非常に重い問いかけを持った本です。

    国の事業を次々と民営化して市場競争に晒すことは、果たして本当に国民のためになるのか?民営会社の元では、人権の保障はどうなってしまうのか?

    日本国憲法第25条が保障する、生存権という国民の権利は、どのようにして守っていくべきなのか?何がワーキングプアを生み出してしまうのか、アメリカンドリームとは、圧倒的多数のワーキングプアに支えられた一握りの搾取階級になることなのか?将来に希望が持てる社会とは、果たしてどんな社会なのだろうか?

    そして、誰もがこの問題の当事者として、突きつけられる疑問は以下のようなものです。自分の消費者としての普通の行動が、貧困ビジネスに手を貸していることになっているのではないだろうか?

  • サブプライムローンで破産する実例に始まり、貧困層を狙うビジネスの実態をわかりやすく指摘。
    貧困から生まれる肥満とは。
    安価な食事は栄養が偏り、そのために医療費は増大しているのに。
    ブッシュ政権の福祉の切り捨て。
    経済的に追いつめた層から高校生の情報を国に提供させ、ねらい打ちにして軍隊にリクルート。
    軍に入れば保険に入れる、大学に行けるという勧誘をするのだが、前払い金があるので現実には難しい。
    さらに民営で戦地へ派遣された労働者は国が責任を負わないため、軍備もないままに戦地で働かされ、命を落としている…
    がくぜんとする内容。
    こんなことがありうるのか…
    日本がアメリカに追随したために、格差が拡大したのがよくわかるが。
    何が起きているのか?まず知らないと!
    個人の意識が、賢い消費者でなく地球市民として、意識を変革することが大事だそうです。
    2008年1月発行。

  • 世界一豊かな国アメリカが持つ、暗部を描いた一冊。
    貧困、医療崩壊、教育格差の拡大、そして戦争ビジネス。ブッシュ政権の 8年間と、9.11 以降の狂信的な各種法令制定によってこれらの暗部は一層その暗さの深みを増した。貧困に苦しむ人達が肥満に苦しむというのは、いかにもアメリカらしいお馬鹿な話だが、医療崩壊は僕自身の経験に照らしてもかなり深刻な問題だ。また貧困層を狙い打ちした戦争ビジネス(兵士になれば借金を肩代りする、と声をかけて入隊を迫る)が、現代における徴兵制度として機能しているという指摘も興味深い。
    かつてアメリカが信奉した新自由主義がもたらしたものを描くことで、アメリカと同じ道を歩む日本の未来をも描く一冊。ところどころ妙に左翼チックな記述が鼻につくのが玉にキズ。

  • 普段いい生活をしている学者なんかが貧困のことなんで分かってたまるかと斜に構えながら手に取った本だけど、実際にアメリカに住む身として、あの薄い本にすごくよくまとまっていると感動した(上から目線)

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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