証言 沖縄「集団自決」―慶良間諸島で何が起きたか (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311140

作品紹介・あらすじ

アジア・太平洋戦争の末期、戦場となった沖縄・慶良間諸島の渡嘉敷、座間味、慶留間の島々で、住民の「集団自決」が起きた。何が約六百名もの人びとを死に追いやったのか。これまで黙して語らなかった人を含む、凄惨な戦争の生存者たちが、歴史を書き換えようという動きに抗って、当時の実相や現在の思いを証言する。

感想・レビュー・書評

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  • 前の戦争中,内地で唯一地上戦が闘われた沖縄。そこでの集団自決は、軍の命令に依るとする現地の主張と,命令は無かったとする文化科学省の教科書検閲官 (その背後にいる官・民の政治的・文化的右翼ファシストら) との争いは,いくつかの形をとってなお続いている。

     なかでも07年9月宜野湾市でひらかれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」は11万人を結集し,同日の宮古と八重山を合わせて11万6千人の抗議大会となった。
     この抗議で文化科学省は、表現を若干替えたが,本質的な軍命令に付いては明確な記述をとらなかった。
     これは単に沖縄だけの問題ではなく,戦後日本があの大戦をどう評価して来たかの歴史が問われている重要な課題だろう。

     例えば戦後ドイツは、大戦を引き起こしたナチスについて、徹底的な総括を行い、ナチスの犯罪を裁き,被害を受けたあらゆる国々に賠償を払って謝罪し,二度とこのようなことを起こさないと誓った。これによりいまではヨーロッパを牽引する国の一つとなっている。

     日本はこの逆で,確かにサンフランシスコ条約で賠償支払いも決められたが,そもそもあのアジア・太平洋侵略戦争については、それを引き起こした反省もなく、近隣諸国との歴史観の差を今なお埋める努力もしていない。
     北東アジアでの友好関係を築く思い等さらさらなくて、アメリカの言いなりに動き、北朝鮮の動きを利用し,海外派兵・軍備拡張に血道を上げているだけだ。
     これを転換することが日本国民に求められている。沖縄はその意味でも大切な時間空間を持っている群島だ。
     
      なお1984年の家永第三次教科書訴訟をきっかけに、集団自決という表現は,軍の強制を曖昧にするものだとして、「強制集団死」という表現が用いられるようになって来ているとのこと。

  • 自分用キーワード
    集団自決 家永第三次教科書訴訟 軍官民共生共死 東京書籍日本史A表現削除問題(2007) 

  • テーマとしては読むべきものだと思うのだけれど、文章としては読み難かった。

  • [ 内容 ]
    アジア・太平洋戦争の末期、戦場となった沖縄・慶良間諸島の渡嘉敷、座間味、慶留間の島々で、住民の「集団自決」が起きた。
    何が約六百名もの人びとを死に追いやったのか。
    これまで黙して語らなかった人を含む、凄惨な戦争の生存者たちが、歴史を書き換えようという動きに抗って、当時の実相や現在の思いを証言する。

    [ 目次 ]
    第1章 慶良間戦とは何か―沖縄戦最初の地上戦
    第2章 渡嘉敷島の証言―軍命で集合させられて
    第3章 座間味島の証言―忠魂碑集合のあとで
    第4章 慶留間島の証言―戦場をさまよう人々
    第5章 阿嘉島の証言―「集団自決」の寸前
    終章 沖縄と本土―何が問われているか

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    [ 参考となる書評 ]

  •  前の戦争中,内地で唯一地上戦が闘われた沖縄。そこでの集団自決は、軍の命令に依るとする現地の主張と,命令は無かったとする文化科学省の教科書検閲官 (その背後にいる官・民の政治的・文化的右翼ファシストら) との争いは,いくつかの形をとって争われた。

     なかでも07年9月宜野湾市でひらかれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」は11万人を結集し,同日の宮古と八重山を合わせて11万6千人の抗議大会となった。
     この抗議で文化科学省は、表現を若干替えたが,本質的な軍命令に付いては明確な記述をとらなかった。
     これは単に沖縄だけの問題ではなく,戦後日本があの大戦をどう評価して来たかの歴史が問われている重要な課題だろう。

     例えば戦後ドイツは、大戦を引き起こしたナチスについて、徹底的な総括を行い、ナチスの犯罪を裁き,被害を受けたあらゆる国々に賠償を払って謝罪し,二度とこのようなことを起こさないと誓った。これによりいまではヨーロッパを牽引する国の一つとなっている。

     日本はこの逆で,確かにサンフランシスコ条約で賠償支払いも決められたが,そもそもあのアジア・太平洋侵略戦争については、それを引き起こした反省もなく、近隣諸国との歴史観の差を今なお埋める努力もしていない。
     北東アジアでの友好関係を築く思い等さらさらなくて、アメリカの言いなりに動き、北朝鮮の動きを利用し,海外派兵・軍備拡張に血道を上げているだけだ。
     これを転換することが日本国民に求められている。沖縄はその意味でも大切な時間空間を持っている群島だ。
     
      なお1984年の家永第三次教科書訴訟をきっかけに、集団自決という表現は,軍の強制を曖昧にするものだとして、「強制集団死」という表現が用いられるようになって来ているとのこと。

  • 2010年4月12日

  • 現在高校1年の娘が、中学の時に使っていた教科書「新編新しい社会・歴史(東京書籍)」のP195には「1945年3月、アメリカ軍は沖縄に上陸し、激しい戦闘が行われました。沖縄の人々は、子どもや学生をふくめて、多くの犠牲者を出しました。」と、沖縄戦については、たったこれだけしか書かれていない。

    先日、「沖縄戦・ある母の記録」を読んだあと、「集団自決の真実~日本軍の住民自決命令はなかった!(曽野綾子)」と「証言・沖縄集団自決(謝花直美)」の二冊を読んだ。この二冊は全く正反対の内容の本だ。

    曽野綾子氏は、慶良間に駐屯した「海上挺進第三戦隊」に所属した元兵隊たちからの証言を元に書いた本であるらしい。それによると、特攻隊として慶良間に来たので、特攻船以外の武器などは持っていなく、島の人たちを守るなどという意識はなく、自分たちのことで精一杯だったと。だから、島民を集めて自決の指示など出す余裕もなかった。軍規に則って、スパイ容疑で住民を殺害したことはあるが、自決のために島民たちが持っていた手榴弾は、地元で召集された防衛隊員が勝手に配ったもので関知していない、と言うような中身だ。小説家であるからか、情景の描写などが少しくどく鼻についた。

    曽野綾子氏に関しては、かなり昔に「太郎物語」を読んだことがあるくらいで、名前はよく知ってるがどんな人物なのか知らなかった。だからこんな本を書いているとは驚きで、曽野綾子のことを少しネットで調べてみた。すると、かなり悪評高き人物であることがわかった。一つだけ面白い例をあげておく。

    『中学教科書において必修とされていた二次方程式の解の公式を、作家である自分が「二次方程式を解かなくても生きてこられた」「二次方程式などは社会へ出て何の役にも立たないので、このようなものは追放すべきだ」と言った(この後、夫の三浦朱門(後の文化庁長官)が教育課程審議会で削除を主張し、現行中学課程で「二次方程式の解の公式」は必修の事項ではなくなった)。』(Wikipedia「曽野綾子」より)

    他にもいろいろあるが、ここではこれくらいにしておく。しかし、この本がきっかけで、高校の歴史教科書から日本軍の強制記述が削除されたらしい。

    一方、謝花さんの本は、教科書から削除されてしまうことに危惧を感じた集団自決の生き残りの方々が、重い口を開き、集団自決の様々な場面を謝花さんに語り、その証言を元に書かれたものである。読み進めるのがとても辛く、思わずうめき声をあげてしまうほどだ。まさに地獄絵図である。「米軍の捕虜になったら女は強姦され、男は戦車の下敷きになって殺されるから、その前に自決しなさい。」と手榴弾を手渡されていたと記されている。そして、手榴弾が不発で死ねなかった人々は、親が子を、子が親を、絞殺したり、こん棒で殴り殺したり、岩に叩きつけたり、剃刀で首を切ったり、火の中に投げん込んだりと、想像を絶するような場面がこと細かくこの本には書かれているのだ。

    こんな大事なことが、教科書には一切記述されていないのが、今の日本の現実。もちろん、大事なのは沖縄戦だけではない。伝えていかなければならないことが、他にもまだまだあるけれど。

  • 集団自決の何たるかを教えてくれる本!

    昨今、歴史教科書問題が騒がれ、大江・岩波裁判が起こされている。
    その裁判で焦点になっているのは「集団自決において、軍命があったか・なかったか」である。

    存否の判断は裁判に任せるとしても、住民の証言を聞き取っているこの本の存在は大きい。
    いずれ、歴史の証人たちは亡き者になってしまうだろう。
    戦争の記憶、それは語り継がれなくてはならない。

    その点からしても、読むべきに値する本!

  • 左翼の本だが、資料のため読む。

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