シェイクスピアのたくらみ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 77
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311164

作品紹介・あらすじ

シェイクスピアは、観客の反応を計算し尽くして、その作品を書いた。では観客がどのように劇に向き合うことを、彼はたくらんだのだろうか。『ロミオとジュリエット』から『あらし』に至る戯曲群を、その作劇手法に焦点を当てて丹念に吟味し、ロマン主義以来の見方を一変させる、ラディカルなシェイクスピアの発見へと読者をいざなう。

感想・レビュー・書評

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  • シェイクスピアの手法の吟味を手がかりに、シェイクスピアを、ロマン派の文人たちが思い描いていたのとは全く異るラディカルな作家として、人間や世界のあり方を無条件に是認することをためらった作家として、捉え直そうとします。章たてからしてわくわくしてきます。たとえば、

    結末が分かっている劇はどこが面白いか
    喜劇の観客は何を笑うか
    悲劇の主人公はなぜすぐに登場しないか
    等々

    非常にスリリングで、説得力があり、演劇好きには堪りません。具体的な項目は、コーラスの台詞、演技ができる女へ、不安に取り付かれる双生児たち、道化の歌はすべてを相対化する、主人公と同化しない観客、悲劇的存在としてのマクベス、挑発するシェイクスピア、芝居の虚構、現実の虚構性など、きりがありません。二十世紀のドイツを代表する劇作家、ベルトルト・ブレヒトが、劇の世界や人物との間に距離が生じることを《異化効果》という言葉で呼んだことをひいて、著者はシエクスピア劇を、観客が気楽に享受することを許さない劇であるとします。もちろん新書版なので、全ての作品を十分に論じる紙面はありません。ぜひ将来お願いしたいものです。

  • 劇と観客の関係性という視点を中心に、シェイクスピアが脚本内にどんな工夫(たくらみ)をしたかという解説。劇中人物の知りうる出来事や結末と、観客が知りうる内容の違い、つまり劇中で明示された情報と暗黙に知らされている情報の差異に、シェイクスピアの意図が隠されていると分析する。別にこうした非対称性は、シェイクスピア以外の作品にも言えることだと思うが、ひょっとして後世の作品が、シェイクスピアに影響されているのだすれば、やはりシェイクスピアが大した人だと思わざるを得ない。『ハムレット』『ロミオとジュリエット』『リア王』などの有名な作品以外にも、多くの作品を教材にしている。それぞれあらすじが記されるので、それだけでも勉強になるが、新書一冊に押し込めたので、あらすじの濃縮度が高すぎて消化に苦慮するのも事実。

  • 2015/4/28読了。
    シェイクスピアに対する理解を深めたくて購入。
    全て同じ調子で作品を説明しているのでやや冗長ゆに感じる。だが、それぞれの作品を比較するという意味ではむしろ好ましいか?

    元々演劇というものを深く考えたことがないため、観客との距離感を考えながら作品を作ったというのはシェイクスピアの作品を読む限りでは想像できなかった。

    この著書に書かれていることを意識しながら、シェイクスピアを再読してみたいと思う。

  • 観客の知識、予想される反応、それに見合い自分の期待した反応を得られる演出…というシェイクスピアの緻密な計算。創作をする人は読むとなるほどと思えるはず。

  • [ 内容 ]
    シェイクスピアは、観客の反応を計算し尽くして、その作品を書いた。
    では観客がどのように劇に向き合うことを、彼はたくらんだのだろうか。
    『ロミオとジュリエット』から『あらし』に至る戯曲群を、その作劇手法に焦点を当てて丹念に吟味し、ロマン主義以来の見方を一変させる、ラディカルなシェイクスピアの発見へと読者をいざなう。

    [ 目次 ]
    序章 観客を操作するシェイクスピア
    第1章 結末が分っている劇はどこが面白いか
    第2章 喜劇の観客は何を笑うか
    第3章 悲劇の主人公はなぜすぐに登場しないか
    第4章 不快な題材はどう処理されるか
    第5章 超自然的な存在はどんな役割を演じるか

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    [ 参考となる書評 ]

  • 面白い切り口。しかし一本調子。批評は芸である。著者の真の意図に近かろうが遠かろうが読者にとっては関係ない。関係あるのは素材をいかに料理するか。その一点。研究というよりは批評として読み、批評という芸としてこの感想。

  • 書評が新聞にでてたし、よんでみたけど面白くなかった。。
    というかどこが新しい説なのか、それが特別の説なのかもよくわからず。

    2008,june

  • 2008/3
    シェイクスピア戯曲の奥深さを紹介した本。多くの作品から引用し、これがどのような効果を狙って書かれたのか推測している。文章としてのテキスト的な面だけでなく、当時の演劇としてのことまで考えられていて、なかなか興味深い。

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