反貧困: 「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書 新赤版 1124)

著者 :
  • 岩波書店
3.85
  • (152)
  • (215)
  • (176)
  • (22)
  • (6)
本棚登録 : 1872
感想 : 220
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311249

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  国内の貧困問題を自己責任と片付ける人が、権力者を中心に見られるが、本書はそのような自己責任論に一石を投じたものである。前半部分では貧困に至った人の事例をあげて、個々の努力には限度があることを指摘する。自己責任論は、ほかの選択肢を等しく選べたはずという前提があること、また、貧困はやむを得ずに選択するということ、ここを履き違えてはならないのである。
     10年以上前に出版された本とはいえ、現代でも学べることがあり、「無関心」が貧困の最大の敵であるのは強く共感した。当時よりもSNSが普及したことで、隠れがちな社会問題を可視化できる世の中になったことはある意味進歩だと思う。しかし、本書で繰り返し訴えた「溜め」の領域は、依然として不十分なので、社会の強化、とくに昨今跋扈する新自由主義者に対抗するために、これからも訴え続けるべきである。

  • 事例が多め

    「滑り台社会」
    五重の排除
    ・教育課程・企業福祉・家族福祉・公的福祉・自分

    自己責任論的な福祉は人を殺す

    貧困ビジネス

  • 貧困の実状をかいま見れる本。ただし、味方が一面的な気がするので、これが貧困のすべてだと思うのは抵抗がある。どうしたら良いかについても具体性が今一つなのは、何か狙いがあるのだろうか?
    まずは、各人の頭が働くようにするにはどうしたら良いかを考えるのが良いのかと思っている。ドイツのワイゼッカー大統領の言葉に、「時間を確保して人々に考える時間を与えたい」という旨があるが、今の日本にもまさにこれが必要なのではないだろうかと、改めて思う。

  • 貧困はなくさなければならい社会の課題であると主張する筆者の原点。1995年に生活保護世帯が最少であったことを知ることができた。

  • 貧困は社会の問題。
    溜めの概念が面白い。

  • 「株主と大企業の役員だけが手取りを増やした」…規制緩和と弱肉強食で世の中が良くなっていくのなら何の問題も無い。ただ現実は各層のセーフティネットが全て破綻、作者が述べる"溜め"が機能しない世の中になっているのも事実。国家によって隠蔽されている貧困問題の一面を明確にする1冊。

  • 現代の貧困問題を取り上げた一冊。自分が考えていたより多くの貧困問題があり、行政の対応が酷いかはわかった。しかしながら何故だろう積極的に協力しようという気にはなれない。もっと身近に対応する問題があり、他の人に協力するなら、困っている子供にと思ってしまう。本書では「貧困はその人のせいではない」と言い確かにいかんともしがたい場合も有ることは分かるが、それでもと思う。政府にはもっと情報を公開して欲しいと思うが、今回の選挙で貧困問題を挙げている人も聞いたことないね。

  • 貧困こわい

    格差や貧困を見て見ぬふりをする社会

    まじこわい

    私にできることは何だ

  • 金銭的な貧しさというよりも、人間関係の希薄さ=貧しさこそが、最後のセーフティネットとならず、現代の貧困の大きな原因になっているのだなぁということが、現場の目線から実感できた。

    つながりを使ってズルをする人もいれば、そのつながりすらなくて、滑り台を落ちていくように貧困に落ちていく人もいる。
    この問題をどう解決すべきなのかは、わからないが、貧困を簡単な自己責任論で片づけてしまってはいけないのだろう。

  • 貧困の淵にいる人々を描き、それは個人の問題を超えた、構造的・社会的な問題であると説きます。全ての人が最低限保障された生活を営むためには、本当は社会的なミニマムコンセンサスが必要なんだろうなぁ。

著者プロフィール

「反貧困ネットワーク」事務局長、「自立生活サポートセンター・もやい」事務局長。元内閣府参与。

「2012年 『危機の時代の市民活動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

湯浅誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×