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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004311331
みんなの感想まとめ
テレワークの現状とその影響について深く考えさせられる内容が展開されています。特に、テレワークの利点とともに、いつでもどこでも働けることが逆に過労を招く可能性があるという視点が印象的です。自由な働き方の...
感想・レビュー・書評
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〇新書で「コロナ」を読む③
佐藤彰男『テレワーク』(岩波新書、2008)
・分 野:「コロナ」×「テレワーク」
・目 次:
はじめに
第1章 テレワークは新しい働き方か
第2章 在宅勤務とワークライフバランス
第3章 モバイルワークとオフィス革命
第4章 テレワークという名の自宅残業
第5章 在宅ワーク――家事・育児と仕事を両立させる切り札か――
第6章 労働が見えなくなるということ
おわりに
・総 評
本書は、テレワークという働き方の「現実」(=問題点)を分析したものである。出版年(2008年)を見れば分かる通り、コロナ以前に出版された本だが、それ故にテレワークを実態以上に理想化せず、冷静な分析が行われている。著者は大手前大学の准教授(当時)で、本書以外にもテレワークに関する研究書を発表している。
テレワークという働き方に潜む問題点とは何か――著者によれば、そのポイントは以下の3点にまとめられる。
【POINT①】労働の「不可視」化という問題点
テレワークによる在宅勤務が広がれば、働く場所や時間の共有がなくなるため、その働き方が「(他人から)不可視」化される。これにより、職場集団レベルでは「人間的なつながりの希薄化」が問題となる。即ち、労働条件がいくら過酷なものであっても、他人の働きぶりが目に見えない状態では、それが問題であることが認識できず、個々人がばらばらな状態では「強い抵抗力」を持てないという。こうした働き方は、さらに過酷な労働を生み出し、それが社会問題化しにくいという性質を持つと指摘する。
【POINT②】労働者の「自己裁量」という問題点
テレワークでは、限定的ではあるものの、労働時間などの点で働く側の自己裁量の幅が拡大される。こうした裁量権は、労働者に「自分の意思で選んでいる」という「錯覚」を与え、極端な長時間労働や信じられないほどの低報酬労働であっても「仕方ない」と思わせてしまっているという。事実、著者が実施したアンケートでは、低報酬で長時間労働の在宅ワークであっても、本人たちの気持ちだけを取り上げてみれば、大半の労働者が「続けたい」と回答したと指摘する。
【POINT③】テレワークを生かすも殺すも...
著者は「テレワーク」自体を否定するわけではなく、それが労働者の利益になるかは、周囲の社会や環境が「テレワーク」をどう運用するかだという。また、問題となっている「不可視化」や「強制された自己裁量」の弊害を防ぐには、労働時間の管理を徹底する必要がある。ただし、これまでも「偽装請負」や「日雇い派遣」といった新しい労働の形を考案し、大量のワーキングプアを生み出してきた日本社会において、テレワークだけが「よりよき労働」を生み出すと楽観することはできないと指摘する。
コロナ禍によって、テレワークをめぐる環境は劇的に変化したため、本書の議論でも時代遅れに感じる箇所は少なくない。しかし、外部の環境が変わろうとも、テレワークという働き方自体に潜む問題点は買わないことを本書は教えてくれる。
今日では、テレワークはより労働者の選択肢(可能性)を増やすものとして肯定的に語られる一方、その問題点は――否応なしにテレワークを始めざるを得ないという事情もあってか――あまり注目されていないように感じる。その点でも、コロナ以前に出版された本書が指摘する課題は重要な意味を持つと言えるだろう。
(1181字) -
【配架場所】 図・3F文庫新書 岩波新書 新赤版 1133
【OPACへのリンク】
https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/165267 -
10年前の本だが、参考になる。
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7月24日 テレワーク・デイ にちなんで選書
東京オリンピックまであと1年…
1年後の7月24日は開会式。交通網の混雑が予想されるなか、テレワークの導入は進むのか…!? -
フォトリーディング&高速リーディング。
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書籍としては発行から時間が経っているけれど、テレワークの現状についておおかた今と変わっていないかなと思いました。勉強になりました。
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テレワーク反対派の意見。
いつでもどこでも仕事ができる、が、いつでもどこでも仕事をしなければならない、につながりひいては、労働力の安売りや過労につながるという内容。
明日の仕事をラクにするために、深夜メールをチェックするのは、本当に自由な働き方なのか?テレワークを求める側も自由について誤解しているという指摘は鋭いと思った。 -
最終章前までは、各種データとテレワーク実務者の実話。データ解説の方が多く、文章のまま読むのはちょっと骨が折れる。だが、それらをまとめて問題点を分析する最終章はとても参考になった。
テレワーク(モバイル環境)の整備は良い面だけが取り上げられがちだが、家で作業できてしまうが故に、”自主的なサービス残業の増加”などの問題も抱えている。自分もテレワーク環境を持っているため、こうした問題点を認識させてもらえ、良い収穫だった。 -
テレワークという言葉は安倍前首相がさかんに使った外国語の1つでした。いかにも夢をばら撒くような言葉でありながら、その過酷な労働の実態を詳細な調査のものに暴いていく本です。一体誰のためのテレワークなのか?疑問を感じざるを得ないのは、私たち自身も「電脳残業」を強いられることになることからよく分かります。そして、テレワーク勤務、テレワーク労働、モバイル労働と概念を使い分けていますが、確立したものかどうかを別として、確かに「電脳内職」の過酷な実態とエリートの自宅での勤務が可能になっていることの区分は重要です。モバイル労働は私自身も便利さを感じますが、それは仕事中毒症状なのかも知れないと反省です。最終章に出てくる「誤解した自由さ」「強制された選択」などのキーワードの的確さは苦笑いでした。
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2011/03/31 法務マンブログで知る
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総務省、厚労省等、国を挙げて推奨する未来型ワークであるテレワークの実情に迫る本。正規社員の在宅勤務型が部分型の在宅勤務であること、テレワーク浸透前から存在するモバイルワークと在宅ワークの詳細レポが中心。<br />面白いのは、著者の分析でテレワークの内在環境分析として、在宅勤務者の勤務状況が見えない不可視性と勤務時間に縛られない自己裁量の部分をどうマネジメントするかという部分。やはり考えていた通り、オフィスでの労働環境と違い、見えていない部分をどう評価するかが在宅勤務が広がる上で重要なポイントだと感じた。同時に、外在環境分析でも挙げられた正規・非正規の労働差別という問題もクリアしていかないと日本の労働市場の未来は非常に暗いといわざるを得ないかもしれない。
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図書館で借りた。
IT機器を使って在宅で仕事をする、IT機器を使って移動中や職場以外でも仕事をするなど定義の曖昧なテレワークというものの実態を探っている。
営業所をなくして営業活動をしているMRの生活スケジュールや、高度な専門性を必要とする機関誌の編集を在宅でやっている人の1日の時間の使い方が載っていてイメージしやすかった。
内職としての在宅ワークもあり上記のものとの賃金差がひどかった。
会社としては時間管理をしなければならないけど、労働の実態が在宅では見えづらいことが問題になっているように思った。
どこでも仕事ができてしまうことは、気が休まらないのではないかと思う。
自営でやる分にはいいかもしれないが、雇われで在宅にすると現状では面倒が増える気がする。 -
在宅勤務(社員)と在宅ワーク(請負)の違い。テレワークの実態。
部分的在宅勤務は社員にとっての利益しかなく導入しにくい。完全在宅勤務は専門性の高い職種でないと難しく、会社からの管理も難しいため個人の裁量に依るところが大きい=導入できる職種は限られる。モバイルワーク(場所を限定しない労働)はMR職で広く実施されているが、長時間労働は解消できていない。在宅ワークは長時間低賃金の労働で、ある程度の収入を得ようとすれば昼夜とわず働く覚悟がないといけない。
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私の場合は完全在宅勤務ですが(ただしそれほど専門性が高い職種ではありません)、問題を感じるところは多々あります。まず社内のコミュニケーションが非常にとりづらい。ちょっと気になったことで声をかけたり、込み入った相談が離れた場所ではしにくいのです。
子育てや介護をしながらテレワークというのも、まとまった仕事時間が取れないため、結局深夜労働になったり、安易には出来ないようです。
自己管理がよっぽどしっかりしていて適正な労働評価がされる制度があり、会社との信頼関係もないとやっていけない。
考えれば考えるほど、テレワークは特殊な働き方という感じがします。 -
20090513bookoff350
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働き方は今後もっと多様になっていくのだろうが、何がベストな選択なのかという問いに答えるためには「どんな社会を築くか」という根源に立ち返って考えることから始めなければいけない。
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本書は、学術的な側面が大きいです。
所謂、政府が「テレワーク」という働き方を推奨しているが、
本当に有益なのか?という疑問から始まり、最後は改善点を
挙げてって感じですね。
結論から言えば、テレワーク・・・結構厳しいです。
あんまりお勧めしない方がいいのでは?というのが本書の
隠されたメッセージだと思いますね。
まぁ、テレワークというより現在のライフワークバランスについてや、
現状の働き方を知る上で、インタビューや詳しいデータも載っているので、
多少は面白いと思います。ただ、「お〜!!」っていう感じでもない(笑)
まぁまぁ、目次だけ見ても予想できる内容です。
逆に、本書を読んで思ったのは、
「稼ぐ人は人の倍以上働く」
って事ですね。全然本書の主旨とずれてますけど・・・・。
やはり、自分の評価や価値は時間で計れるものではないです。
アウトプット(結果)を出して、クライアント(相手)がどれだけ
喜んでくれるか。どれだけの評価をしてくれるか。どれだけの金をくれるか。
って事だと思います。
それが確認できたのは、少しでも価値があったのではないかと思います。 -
ネットによる在宅型勤務も、実は雇用形態があいまい・派遣業と並ぶ問題を含む、という点を中心に論究。
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