ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

著者 : 山本紀夫
  • 岩波書店 (2008年5月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311348

作品紹介

栽培面積では全作物中、第四位のジャガイモ。南米で栽培種として誕生した後、どのようにして世界中に広がり、人々の暮らしにどんな影響を与えてきたのか。アンデスの農耕文化を中心に、四〇年にわたってヒマラヤ、アフリカ、ヨーロッパ、日本で調査を続けてきた著者が、ジャガイモと人間の関わりに秘められた歴史ドラマをつづる。

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 南米アンデス原産(山岳地帯)のジャガイモが、ヨーロッパ人によって「発見」され、その後、ヨーロッパ大陸、ヒマラヤ、日本の食と文化をどう変えたかについて、筆者のフィールドワークによる研究結果を交えた一冊。
    最後に年米アンデスの原住民と生活におけるジャガイモの関係で終わるのも、円を描いているようで、おもしろい。

    アンデスに驚くほどの種類のジャガイモがあること、それが高低差を利用して非常に効率的に栽培されていることや、世界を通じて、ジャガイモが人類社会に及ぼす影響が大きいことを知ることができる1冊だった。

    良書。

  • -

    穀物が文明を作り、ジャガイモでは文明は作られないという研究者が多い中、人々の暮らしを支え続けてきたジャガイモに焦点をあてる。インカ帝国時代のアンデスで毒素を軽減されたジャガイモが生まれてから世界各国にどのように広まっていったかを紹介する。欧州では当初、聖書に現れない植物であるが故に、上層階級に忌み嫌われたが、庶民には重要な食料としてすぐに広まった話などは興味深い。日本でも戦時中は食糧はイモしかなかったために体験者はイモを嫌う人が多いとか。

  • 2008年刊行。著者は国立民族学博物館職員。

     ジャガイモを民俗学・文化人類学的に解読しようとする書である。
     テーマは
    ①栽培食物としての誕生、
    ②インカ等南米山岳文明にジャガイモが寄与した意味、
    ③欧州への伝播とその意味、
    ④ヒマラヤ等現代も続くジャガイモの移出とその社会的・民俗学的影響、
    ⑤日本のジャガイモ、
    ⑥将来像
    である。

     キャッサバ文化やタロイモ・ヤマイモの主食地域について多少なりとも知っていれば、ジャガイモの主食(ないし重要な補助食品)、救荒作物、飢饉に強い作物としての意味を見出すことはさほど難しくはない。
     そういう意味では割に当たり前のことを、色々な実例・実地調査・文献(欧州と日本)から解説しているとも言える。

     個人的には、ジャガイモがなぜ高い比率で澱粉を作る植物なのか、それはどういう条件下か、その生物学的メカニズムはどういうものか、なぜ他の穀類と違いが生まれるのかが知りたかったが、主フィールドが民俗学・文化人類学では、農業博士とはいえ難しいかなという印象はある。
     とはいえ、イモの史的な意味とその果たした役割を知らない人にとっては、意味のある書とも感じるのも確か。

  • 新書文庫

  • 山本紀夫『ジャガイモのきた道』読了。

    考古学的にじゃがいもがどう扱われてきたのかが分かる1冊。
    考古学の世界では、イモは文明を形成できない(穀物が文明を形成する)というのが定説らしく、それを打開するのが本書の狙い。
    これを読んだからではないけれども、来年はジャガイモの栽培面積増やしますよ♪

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  • これは読み応えタップリである。おかげでジャガイモが好きになってしまった,庭で栽培しようかと思うほどに。しかし,日本ではあまり料理にジャガイモは出てこない気がする。
    故郷は,アンデスはティティカカ湖,その周辺に自生の野生種。余程大量に摂らない限り死ぬほどではないにせよそのままではとても食べられない野生種をいかにして食べられるかをアンデスの人たちは考えた。毒抜き方の開発だ。そしてそのうちに,栽培した方がもっとたくさん効率的に取れるのではないか?そしてジャガイモ栽培への道へ。気候風土や地理ににとてもあった栽培方法が編み出された。
    文明は穀物からしか生まれない,という説を唱える学者も少なくないというが,インカはまさにジャガイモが支えた巨大文明であった。
    そのうち,スペインがインカ帝国を征服し,そこから世界にジャガイモが伝播して行った,これは有名な話。そんなジャガイモも最初のうちは悪魔の食べ物だなんだと忌み嫌われ,聖書に載っていない作物だと忌諱される存在だったが,ジャガイモがヨーロッパの様々な場所で飢饉から人々を救ううちに受け入れらていった。依存度が高過ぎたばっかりにアイルランドではジャガイモの病気による全滅で大量の餓死者をだし,またアメリカなど大量の移民を発生させた,アメリカにアイルランド系が多くいるのはそのためか,因みに以来アイルランド人口は回復せぬままだそうだ。
    そんなジャガイモは東へ回り回って世界最高峰のあるヒマラヤの麓,ソル・クンブ地方にたどり着く。そこでもシェルパの人々に革命をもたらした。食料安定により生活が安定し,人も家畜も増えたという。まさに至れり尽くせりのジャガイモ。とはいえここ70年ほどという歴史の浅さである。
    ついに日本へ,16世紀に渡来したという説もあるようだが,17世紀中頃とされているようだ。馬鈴薯と混同された,などという話があるので,別の植物であったとも考えられるのか。伝来したのは長崎出島だが栽培が本格的に行われだしたのはやはり冷涼地である北海道から。日本では割とすんなりジャガイモは受け入れられたようである,山芋や里芋があったからだろう。日本でも飢饉対策として,また戦後の食糧難対策として大いに栽培されたようだ。
    現在のアンデスでは,よく考えられた確実に収穫を得る農法が行われているため収穫は少ない。現在は中国やロシア,インドにアメリカといった国が収穫量の上位を誇っており,原産国であるチリなどはわずかにとどまっている。
    ジャガイモは栄養素の多く詰まった完全栄養食品で,米や麦にないビタミンCなども豊富に含まれている。そのかわりタンパク質がないので別途摂る必要があるが,アンデスやヒマラヤの人々はそれで十分生きていけている。ジャガイモはまだまだ未来の詰まった作物なのだ。

  • ジャガイモは寒くても育つ

  • 2013.11.3

  • 勉強になりました。

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