刑法入門 (岩波新書)

著者 :
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レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311362

作品紹介・あらすじ

犯罪とは何であり、なぜ犯人には刑罰が科されるのであろうか。また、「罪が犯された」と言うためには、どのような条件が必要なのか。刑事裁判に市民が参加する裁判員制度が導入されるなど、私たちも刑法の基本を理解することがこれまで以上に求められている。刑法学の第一人者が、犯罪と刑罰をめぐる考え方をわかりやすく解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 【目次】
    はしがき [i-iv]
    目次 [v-vii]

    第一章 犯罪と刑罰とは何なのか 001
    1 罪と罰 002
    犯罪となんだろうか/日本の刑罰とは/死刑/自由刑――懲役・禁錮・拘留/刑の執行を猶予する/刑事施設から仮に釈放する/財産刑――罰金・科料・没収/刑罰の意義/刑法とは/準刑法
    2 刑事手続のあらまし 025
    どのような手続で犯罪とされ刑罰が科されるのか/捜査機関による捜査/検察官による訴追/裁判所における審理・判決/検察官による判決の執行
    3 法的な禁止の対象――犯罪 032
    何を禁止するのか――刑法の役割/倫理違反としての犯罪/利益侵害としての犯罪/二つの考えはどこが違うのか/処罰は法益保護の最終手段/後見的な保護/これからの課題
    4 法的な禁止の手段――刑罰 044
    禁止の手段としての刑罰/刑罰は何により正当化されるか/応報としての刑/犯罪予防のために処罰する――特別予防の視点/犯罪予防のために処罰する―― 一般予防の視点/刑罰目的を統合する/どのように国家刑罰権を限定するか

    第二章 犯罪は法律で作られる 057
    1 罪刑法定主義とは 058
    罪と刑は法律で定める/罪刑法定主義の内容、それを支えるもの
    2 法律で罰則を定める 062
    法律以外では罰則を決められない?/命令で罰則を決める/猿払事件/条例で罰則を決める/売春勧誘事件/裁判所が罰則の内容を決める?/許されない刑法の解釈とは/条文のことばと解釈の限界
    3 罰則は制定前に遡って適用できない 074
    自由の保障/遡って処罰する/遡って刑を重くする/解釈(判例)の変更と遡及処罰/最高裁判所の立場/判例の不遡及的変更とその問題点
    4 許されない罰則――内容の適正さ 085
    実体的デュープロセス/無害な行為の処罰/不明確な罰則――明確性の原則/最高裁判所の立場/広すぎる罰則/福岡県青少年保護育成条例事件/罰と刑の不均衡/尊属殺規定違憲判決

    第三章 犯罪はどんなときに成立するのか 099
    1 犯罪の成立ち 100
    犯罪の成立要件は何か/結果のない犯罪?/認識のない犯罪?
    2 犯罪被害――結果 103
    犯罪の結果とは/危険という結果
    3 行為と結果の結び付き――因果関係 109
    因果関係の必要性/因果関係とは/事実的因果関係/代替的原因と事実的因果関係/法的因果関係/因果関係の限定/大阪南港事件決定とそのインパクト/行為の危険性の現実化/法的因果関係判断の類型化
    4 犯人の行為とは 126
    行為が必要――作為と不作為/不作為の処罰/不作為処罰のあり方/作為と同価値であること/作為義務/放火罪の事例――不作為の放火①②/放火罪の事例――不作為の放火③/殺人罪の事例――不作為の殺人/保障人的地位とは
    5 犯人の意思――故意・過失 149
    故意とは/故意の限界はどこか――未必の故意/錯誤――認識と事実の食い違い/びょう打銃事件/法的な禁止に反するという意識/過失とは
    6 犯罪のかたち――未遂と共犯 163
    失敗した未完成な犯罪の処罰――未遂/何人かで犯罪を犯すとき――共犯/共同正犯/共謀共同正犯/教唆/幇助

    第四章 犯罪はどんなときに成立しないか 173
    1 犯罪の成立が否定される場合 174
    犯罪が成立しなくなる/違法性と責任/責任阻却事由――責任を問う能力がない/違法とは知らなかった
    2 違法性がなくなる理由 179
    禁止が解かれる/正当な行為/医療行為/取材行為――外務省秘密漏えい事件/条文にない違法性阻却事由/違法性阻却に関する考え方/違法性についての別の理解/違法性阻却の根拠と判断の基準/緊急避難
    3 正当防衛 204
    正当防衛とは/正当防衛はいつできるのか/防衛行為であるためには/やむを得ずにしたこと/最高裁判所の判断/「武器対等の原則」の修正/正当防衛の限界/過剰な防衛

    あとがき(二〇〇八年三月 山口 厚)  [223-225]
    索引 [1-3]

  • 書名通りの内容ではあるのだが、読んでて楽しい入門書だった。入門でシンプル故に、論理を追う楽しさがあるというか。塾講的な入門書も良いのだが、それではこうは書けなかっただろう。
    山口厚の刑法総論・各論に取り組む前に読んでおけばよかった。

  • 裁判員制度が導入される前に書かれた書で、少し古いことは否めないが、刑法に関する基本的な考え方が説かれていて、難しいところもあったが、おおむね理解できた。2日で読めた。なんとなくそうではないかな、と思ってるようなことでも、言葉にするのは難しく、妥当な学説、妥当な判例を出すのは難しいのだろうな、と感じた。

  • 仕事のための読書。
    苦手意識がありこれまで積極的に向き合うことから逃げてきた法律学。
    が、もう見てみぬふりはできない! と観念、いや、一念発起して手に取る。

    岩波新書としては、けっして分厚いほうではない本書。
    平明な日本語で書かれていて、専門用語にはルビがふられ、その説明が本文中にあり、法律学専攻でない身には、こうした配慮が有り難い。
    議論もひとつひとつ、丁寧に重ねられていく印象。
    しかし、やはり一筋縄ではいかない!

    著者の流れるような日本語に油断してつい流し読みしてしまうと、その先で???となって、1~2頁戻ってまた読み直す……というようなことを繰り返し、つっかえつっかえ、2週間以上かけてなんとか読了。
    犯罪や刑罰についての考察は、人の行動や幸せについて考察することであり、つきつめると哲学的な議論になっていくことを、「入門書」だからといって一切妥協せずに書いています。

    とはいえ、これまでいくらウェブ上の簡単な説明を読んでもピンとこなかった行為無価値論と結果無価値論の違いが、本書を読んではじめて腑に落ちた。
    入り口の門と書いて、入門。
    刑法の深い広い世界の、入り口のありかを示してくれる本だと思います。

  • 法学部の1、2年生向けの副読本として、あるいは教養科目として授業を行う場合ならテキストとしても活用できそうに思います。

    筆者は実務家というよりは学者畑の方なので、必ずしも過去の判例や有力説の見解に絞って記述しているわけではありません。
    それだけに、裁判の判決が正解か否かという先入観が強い初学者には、少々戸惑いがあるかもしれません。
    同じ事例であっても幅広い解釈が必要なのが、法律の世界であると感じるには十分な一冊だと思いました。

    あとがきの一言ですが
    「刑法について、犯罪について考えるというのは、そうした問題を、それぞれの世界の論理に従って考えることであり、単に事実を条文に当てはめるというにとどまらない知的ないとなみにほかならないのです。」
    こういう発想ができる人は、法治国家であるはずの日本でもあまりいません。
    一般にこうした認識が広まってほしいと思っています。

  • 刑法学における結果無価値論の第一人者である山口教授の手による入門書。氏の基本書とは異なり、ですます調の平易な文体で書かれている。結果無価値・行為無価値の別なく、既修者が読み返してみると新たな発見があるかもしれない。

  • 「はしがき」にひかれて買いました。もし死にかけている人を見かけて、そのまま放置した場合、それは犯罪になるのか。けんかをして相手にけがをさせ、運ばれた病院が火事になってそのけんか相手が死んだ場合、殺人罪になるのか。・・・刑法をもとに、これらの問題にも答えが出せると書かれています。しかし、私の読み方が悪いのか、結局はその答えを見つけ出すことができませんでした。そのため、ちょっと詐欺にあった気分があります。ともあれ、人が人を罰するというのは、ほんとうに難しいものだと感じました。裁判員制度が始まって、自分がもし、裁判に立ち会うとしたら、どういう判断を下せばよいのか。できれば感情に流されることなく、論理的に、科学的にどんな場合でも成り立つような判断を下したいものです。しかしそれでも、人間の情は捨てきれないのでしょうが。ところで、刑法学者の姿勢なのか、単に本著者の性格か、本書はとても慎重に議論が進められています。いったい、著者自身の意見はどこにあるのか、何度も問いかけながら読みました。

  • 前半は用語の説明に偏っていて、分かりやすいもののあまりおもしろくなかった。
    3,4章は何を犯罪とするかの考え方を解説しているので面白かったが、具体的な事例の割合が多かった感じがする。

  • 読みやすい本です。
    刑法に関して必要最低限のことは書かれていますし、必要以上に難解であるわけでもない。
    法律をこれから学ぶ人は勿論そうでなくても読んでおいて損はない一冊だと思います。

  • まさに入門書としてふさわしい内容。
    これまで何となく聞きかじったことのある専門用語について丁寧な言葉で教えてくれる。
    ただし刑法の性質上どうしても説明が難解である。
    刑法って最高の屁理屈じゃないのかと思った次第です。
    所詮は人間が決めたもんだし、最高裁判所の決定もイマイチ信頼できなかったり学説も諸説あって見解もわかれていたりして結構いい加減ですね。

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著者プロフィール

早稲田大学大学院法務研究科教授・東京大学名誉教授

「2016年 『新時代の刑事法学 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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