刑法入門 (岩波新書 新赤版 1136)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311362

作品紹介・あらすじ

犯罪とは何であり、なぜ犯人には刑罰が科されるのであろうか。また、「罪が犯された」と言うためには、どのような条件が必要なのか。刑事裁判に市民が参加する裁判員制度が導入されるなど、私たちも刑法の基本を理解することがこれまで以上に求められている。刑法学の第一人者が、犯罪と刑罰をめぐる考え方をわかりやすく解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 仕事のための読書。
    苦手意識がありこれまで積極的に向き合うことから逃げてきた法律学。
    が、もう見てみぬふりはできない! と観念、いや、一念発起して手に取る。

    岩波新書としては、けっして分厚いほうではない本書。
    平明な日本語で書かれていて、専門用語にはルビがふられ、その説明が本文中にあり、法律学専攻でない身には、こうした配慮が有り難い。
    議論もひとつひとつ、丁寧に重ねられていく印象。
    しかし、やはり一筋縄ではいかない!

    著者の流れるような日本語に油断してつい流し読みしてしまうと、その先で???となって、1~2頁戻ってまた読み直す……というようなことを繰り返し、つっかえつっかえ、2週間以上かけてなんとか読了。
    犯罪や刑罰についての考察は、人の行動や幸せについて考察することであり、つきつめると哲学的な議論になっていくことを、「入門書」だからといって一切妥協せずに書いています。

    とはいえ、これまでいくらウェブ上の簡単な説明を読んでもピンとこなかった行為無価値論と結果無価値論の違いが、本書を読んではじめて腑に落ちた。
    入り口の門と書いて、入門。
    刑法の深い広い世界の、入り口のありかを示してくれる本だと思います。

  • 溺れている人をたまたま見つけて且つ助けなかったら、それは処罰されてしまうのか?

    本書は、著者の「刑法総論」等、大学の講義で指定されている著書に比べて、「なぜ?」ということにより焦点を当てており、法学に触れたことのない人にとって、刑法の理解への第一歩を後押ししてくれる。刑法の根底にある「考え方」を分かりやすく解説してくれている。

    個人的に、犯罪を理解する2つの立場の説明が分かり易かった(「倫理違反」からの行為無価値論、「利益侵害」からの結果無価値論)。

    ちなみに、冒頭の例は「不真正不作為犯の処罰」に関するもの。

  • 第1章 犯罪と刑罰とは何なのか
    第2章 犯罪は法律で作られる
    第3章 犯罪はどんなときに成立するのか
    第4章 犯罪はどんなときに成立しないか

    以上が目次。
    普段触れない分野なので、どうしても全て理解するのは難かしい。ただ、目次から分かる通り、刑法を学ぶための基礎的なことが書かれている感じがした。
    本書の内容を元に、実際にどんな判決が下されているか、判例を見て学んでみたらいいのかもしれない。

  • この本をひと通り読むだけで刑法の総則の大枠が掴めることができ、非常に読んで良かったと思います。

    大学の講義なんかを受けて、刑法総論はすごい哲学的な要素が多いな... と感じ、詳しく理解せずに終わってしまった感じがありました。今回、この本をゼミで勧められて読んでみたのですが、消化不良だったところもすごく分かりやすく説明されていました。
    特に、違法性阻却事由の基準なんかは、期末試験の答案を書く際には困ったらとりあえず書いとけばいいや!のノリで書いていたのですが、本書を読んでスッキリ理解できました。

    先述のとおり、刑法は哲学的な要素(「刑罰とは?」「故意とは?」といった定義を考えるだけでなく、「この事例の場合は、どの解釈をあてはめて、どの罪が成立するのが社会にとって最善なのか?」といった通常では起き得ないようなことまで考える思考実験的なものも含むため)が多分に含まれていると思うので、少なくとも他の法律の入門本よりも読んでて飽きないと思いました。
    また、刑法で問題となる判例は、人間の不完全さが感じられる判例がたくさんあるので、それも飽きさせない理由なのかなと思いました。(例えば、被告人の女性記者が男性官僚と恋仲になって、ホテルで致した後に、国家機密情報を男性が漏らすようにそそのかした行為が国家公務員法に当たるとして起訴された事件なんかは、「この男も、女にまんまと騙されてバカだな〜」と言った視点で見れるのが面白く、飽きないなと感じました。)

    刑法の条文だけが全てでなく、起こった事例に合わせて条文の解釈の変える(その時代の情勢に合わせて変える)立場と、先例を重視して判例解釈を変えない立場の上手な妥協点を見つけて今日の刑法学があると思うと、それを解釈して、判決を言い渡す作業をする裁判所は大変な仕事だなと改めて感じました。

  • 罪刑法定主義や正当防衛、過失、共同正犯
    、幇助、教唆などの基本概念を平易でしかも深く解説している。

  • 9/8読了。
    法律に興味があり手に取ってみた。
    一番に感じたことは人を裁くことの難しさ。犯罪のあらゆる線引きの難しさ。これほどに微妙なものなのかと驚いた。
    細かい部分はもう覚えている自信はないが、この本で大事なことを知ることができたと思う。

  • 現在最高裁判所の判事を務める著者による、刑法の入門書です。

    法律にかんする知識のない読者にもわかりやすいことばで、犯罪や刑罰とはなにかという根本的な問題から、具体的なケースについてどのように考えればよいのかということがクリアに解説されています。

    もちろん、刑法の世界をすこしのぞいてみたいと考える読者にとっても役立つ本ですが、もうすこし腰を据えて刑法の学習をはじめたいと考えている読者にとっても、刑法を学ぶことのおもしろさが実感できる、優れた入門書ではないかと思います。

  • 刑法おもしろいな。

  • まさに入門。
    勉強になります。

  • 2017/01/23

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著者プロフィール

東京大学名誉教授、早稲田大学名誉教授

「2024年 『危険犯の研究 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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