タンパク質の一生 生命活動の舞台裏 (岩波新書 新赤版1139)
- 岩波書店 (2008年6月20日発売)
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感想 : 61件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004311393
みんなの感想まとめ
タンパク質の一生をテーマにした本書は、私たちの体内でのタンパク質の役割とその循環について深く掘り下げています。タンパク質は、アミノ酸から構成される生命の基本要素であり、その寿命は数分から数カ月まで様々...
感想・レビュー・書評
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タンパク質と言われても三大栄養素の一つくらいの認識だが、本書でそれを更新する。先ず、タンパク質とは「アミノ酸が一列につながったもの」。アミノ酸はタンパク質を構成する基本的な分子である。アミノ酸を作る原子は何でもいいわけではなく、窒素・酸素・炭素・硫黄・水素の五種類。私たちの身体で働くタンパク質を作っているのは20種類のアミノ酸である。
タンパク質は、5~7万種類くらいあるらしく、その寿命も様々。数分という短い寿命しか持たないものもあれば、筋肉を作っているミオシンや、赤血球の主成分で酸素を運搬するヘモグロビン、目のレンズを作っているクリスタリンなどのように、数カ月の寿命を持つものもある。
タンパク質の一生。つまり、体内で「つくられ、働き、壊される」という一連のサイクルについて。強調されるのは、DNAが「設計図」だとしても、実際に生命を形づくり、動かすのはタンパク質に他ならないという事実。
「遺伝子」が生命を規定するが、生命を動かすのはタンパク質である。
そこで本書はより専門的な内容へと踏み込んでいくが、自分自身の理解を深めるためにこんな整理をしてみた。身体単位をプロジェクトで言うと。
プロマネ・設計・方針:DNA
計画書・予算書:RNA
従業員・生産設備:タンパク質
資金・インフラ:水・糖・脂質
情報通信:無機イオン
給与・電気:ミトコンドリア
廃棄処分:リソソーム
「作る」ことと同じくらい「壊す」ことが重要だという。「作る」と「壊す」の循環。役割を終えたタンパク質が潔く分解され、その資源が再利用されることは、生命システムが持つ効率性と持続に必要なプロセスだ。
壊す美学。先に従業員に例えてしまったから意味深だが、自らの身体に学ぶ、身体を学ぶ一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「目に見えるタンパク質として、まずは牛肉や豚肉、鶏のもも肉など、食べ物としてのタンパク質を思い浮かべてみよう。肉はまさにタンパク質の塊と言ってもいいが、筋肉の主成分はアクチンおよびミオシンと呼ばれる筋肉の収縮運動には必須のタンパク質である。特にアクチンは動物の筋肉から容易に抽出、精製できることから、古くから研究されてきた。 豚骨ラーメンなどで骨を煮出した出し汁は冷えると固まってくるが、この固まりの中に多く含まれる成分としてコラーゲンがある。女性なら美容効果の面でコラーゲンを知っているかもしれないが、このコラーゲンも、私たちの身体を構成している全タンパク質の実に三分の一を占める、もっとも多いタンパク質であり、これも古くから研究が進んでいた。コラーゲンは細胞が作り出すタンパク質であるが、細胞の外へ分泌されて、細胞外マトリクス(基質)と呼ばれる、いわば細胞の蒲団のような役割をして、細胞と細胞のあいだを埋めるタンパク質として重要な位置を占めている。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「タンパク質の一生を ることは、いっぽうでまっとうな人生を送れなかったタンパク質にスポットをあてることにもなるだろう。正しい人生航路から横道に逸れてしまったタンパク質は、往々にして宿主である細胞や個体に悪影響を及ぼす。そんな病気がいくつもあることが分かってきたし、タンパク質の異常なふるまいによって引き起こされる種々の病態から、細胞や個体を守るために、細胞はタンパク質の品質管理を徹底する絶妙なシステムを備えていることも明らかになってきた。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「 二〇世紀最大の発見とも言われる二重らせんの発見物語は、ワトソン自身の著書『二重らせん』に詳しいが、どのような経緯でその発見がなされたかという、分子生物学黎明期の状況のほかに、若く野望に燃える研究者たちが、熾烈な競争の中でいかにみずからのアイデンティティを確立するために切磋琢磨しているかという、今も昔も変わることのない研究環境についても示唆深い物語を含む名著である。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「セントラルドグマのところで見たように、ごく単純に言えば、私たちヒトの生命維持の根幹には、三つの要素が登場する。まずひとつ、情報を保存する〈 DNA〉。次に、その情報を転写し、伝達・翻訳に働く〈 RNA〉。そしてその情報を元に生成され、構造を持つことによって「機能」を果たす、すなわち「触媒能」を持つ〈タンパク質〉である。 DNAの情報を基盤にして三要素が役割を分担している現在の生物の世界を、 DNAワールドと呼ぶことがある。この世界では DNAとタンパク質の役割が重なり合うことはない。二重らせん構造を持つ DNAは単に情報を保存するだけで、触媒能を発揮することはない。同様に、タンパク質は自己複製能を持たず、そこから遺伝情報を復元することはできない。 ところが RNAは、対となる塩基を持たない一本の鎖であるため、長くなると折れ曲がって、はるか離れた RNAの一部分の塩基と、 DNA二重らせんで見たように対を作り、安定化して、未熟ながらもある種の構造を作ることがある。構造を持つということは、分子表面に凹凸ができるということである。それら分子表面の凹凸によって他の分子との相互作用ができるようになると、それはその分子がある種の機能を持ちうるということを示唆している。このような仕組みによって RNAは、自己複製能のみならず、ある種の機能を持つことが可能なのである。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「この研究は『ネイチャー』や『セル』などの雑誌に掲載されたが、当時、誰もが「おそらく原理的にはそうなるだろう」と思いながら、まさかと思い、自分の手では試みなかった実験であった。どんなにばかばかしく思えることでも実際にやってみなければ何も始まらないものだと身につまされた経験である。実験科学では、往々にして〈蛮勇〉を奮うことが大切だ。「学んで思わざれば則ち罔し、思うて学ばざれば則ち殆し」と言ったのは孔子だが、実験科学では学んでいるだけでも、思っているだけでもだめで、それを実際に手を動かして証明してみるというその行動力が大切になってくる。手が早いとか、腰が軽いというのは世間ではあまりいい意味で用いられないが、私は実験科学に携わる研究者は、思い立ったらすぐに試してみるというフットワークの軽さが大切だと思っている。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「腫瘍組織の特徴は、正常組織に較べて、低栄養、低 pH(弱酸性)、低酸素状態であるということである。これらはいずれも温度に対する腫瘍組織の感受性を高めることに寄与している。腫瘍組織内にも血管は発達し、とくにがん細胞自体が血管を誘導する物質を作り、血管を自らの組織内に引き込むことによって栄養を確保し、増殖する。がん細胞はしたたかである。しかし血管の発達は正常組織に較べて未熟であるので、血流によるクーリングの効果が正常組織より弱く、温度が高くなりやすい。これらの特徴ががんの温熱療法を効果的なものにしている。 ところが困ったことに、がん細胞と言えどももともと私たち宿主から出現した同じ細胞なのであり、当然、熱ストレスに反応して、ストレスタンパク質を作ることによる自己防衛能を持っている。温熱療法を施した次の日もう一度熱をかけても、生き残ったがん細胞はすでに熱に対して耐性を獲得してしまっている。温熱療法は、通常、週に二回のプロトコルでなされているが、一度熱をかけた時にできたストレスタンパク質が消えるまでに二 ~三日かかるため、それが消える頃を待ってもう一度熱をかけることになる。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「先述のように私たちは一日あたりおよそ二〇〇グラムのタンパク質を新しく合成しなければ生命を維持できないが、その原料であるアミノ酸が足りない場合、無理矢理にアミノ酸を作り出すべく、オートファジーの機構が積極的に働き始める。たとえば赤ちゃんが出生するときのことを考えてみよう。母体の中にいるとき、赤ちゃんはお母さんから栄養をもらっているので、タンパク質の原料に困ることはない。ところが出生直後、あるいは分 のあいだは、母体からの栄養補給が途絶え、アミノ酸不足をきたす。いわば一種の飢餓状態である。そのとき赤ちゃんは、自分の体内のタンパク質をオートファジー機構で分解して、無理矢理アミノ酸を作り出しているらしいのである。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「 自然のおもしろさ、あるいは科学の醍醐味は、ひとつのことがわかると、それ以上に多くの や疑問が湧いて出てくるところにあると私は考えている。〈わかったこと〉以上に、〈わからないこと〉が湧き上がってくるのである。この不思議さこそが、私たちを自然科学という分野に釘づけにするのであり、飽くこともなく日々研究に明け暮れさせる理由になっている。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
「いわゆる「科学もの」は一般の読者に伝えるのがなかなかむずかしいものだ。正確に伝えようとすると、些事にとらわれて専門的になりすぎ、一般を意識し過ぎると中途半端なものになってしまいやすい。そのような本質的に困難な課題を意識しながら、とにかくこの分野のおもしろさを、ふだん生命科学分野とは縁のない方々にもなんとか伝えようとしたのが、本書である。」
—『タンパク質の一生-生命活動の舞台裏 (岩波新書)』永田 和宏著
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新書にしては結構専門的な内容。さすが岩波新書。
専門用語がたくさん出てきてついていくのが少し大変だったが、著者がその都度人間のアナロジーを入れてくれるので分かりやすくはあった。ただメモしながらじゃないとちょっと難しい。高校生物久しぶりにやりたくなった。
プリオンそのまま体内に吸収されるという記述があったがなぜアミノ酸に分解されてから吸収されないのか、それが疑問で残る。 -
細胞の仕組みをそこで働くタンパク質を取り上げてその一生を追いかける。タンパク質の誕生、その成長、その輸送、輪廻転生、そして品質管理。DNAに保存された情報をmRNAに転写し、リボソームはmRNAを端から3塩基ごとに翻訳してアミノ酸を作り出す。そのアミノ酸はペプチド結合で一本のひものようにつながっていく。そしてこのポリペプチドを構造をもった形に整形して機能を持たせる。それでようやくタンパク質となる。どこにでもあるタンパク質であるが、その仕組みを知れば知るほど自然の作り出す精緻な仕組みに驚く。進化と一言でいうが、遺伝子の突然変異などによる試行錯誤と自然選択だけでこれほどの精緻な仕組みが出来上がるのだろうか?多数の試行ととんでもなく長い時間のおかげか。
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タイトルの通りタンパク質の生成から廃棄までをわかりやすく説明している。特に分子シャペロンと呼ばれる、タンパク質の折り畳みなど正常なタンパク質を生成するのに不可欠な物質に重点を置いた説明が多かった。説明の省略が多いような気もしたが、おそらくこれ以上の説明をしようとすると専門的になりすぎて一般向けの範疇を越えてしまうのだろうと思う。それぐらいにギリギリのラインで理解できる説明となっていた。最後にタンパク質の以上で発生する病気について触れていたが、プリオン病(BSE)がなぜ恐ろしいのか、つまり異常プリオンを取り込むだけで連鎖的に正常なプリオンに異常が起きてしまう、ということがわかりやすく説明されていた。
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資料を読んでいて、どうしても気になる矛盾点があったので質問させてください。
① 54ページ
本文で「コドンGCA=アルギニン(Arg)」と説明されていますが、GCAは通常「アラニン(Ala)」ではないでしょうか?(アルギニンならCGUやCGAなどになるはずです)
② 55ページ
図2-6の流れが、途中から繋がっていないように見えます。 ・左〜中央:Ala - Gly という鎖を作っている ・右(次のステップ):急に Arg - Pro - Ser という鎖に変わっている mRNAの配列も変わっており、時系列の図として成立していないように思うのですが、これは図のミスでしょうか? -
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非常にわかりやすく、詳しいタンパク質の解説。タンパク質への興味が喚起された。
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60兆個の細胞、1ミリの100分の1ほどの大きさの細胞それぞれが80億個くらいのタンパク質を持っている!
各細胞の中では毎秒毎秒恐ろしい勢いでタンパク質が作られ続けている。ゆで卵は生卵には戻らないが、細胞の中ではそれに近いことが起こっている。凝集したタンパク質というのはもつれた毛糸玉のようなものだと思えばよい。ドーナツ状の穴の中を通しだんだんとほぐして、等 読んでいてなんかイメージできそうな気がします。 -
本当かよ!?というようなことが私たちの細胞内で起きていることを改めて興味深く知ることができた。かつ、まだわかっていないことの追求の楽しさ、喜びを垣間見た。わたしも生涯探究心を失わずにいきたい。
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細胞生物学をシロウト向けにわかりやすく解説した本。ニュースでたまにIPS細胞にことがでたりするが、この本のように素人の基礎になる本を読んでおくと俄然として興味が沸いてくる。自分の仕事にはまったく関係ないのだが、前提知識なしで楽しめた。
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面白いけど難しい。
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DNAからmRNAに遺伝情報が転写されてアミノ酸が合成されるプロセスは学校で習った気もするしよく知られている。本書は、そこから先のタンパク質の振る舞いについても解説した本。誕生−成長−輸送−輪廻転生+品質管理と章立てされている。まさに分子生物学の最前線なのだろう。
・DNAはめちゃコンパクトに折り畳まれているが一本のヒモである。枝分かれなのない一本のヒモなので、そこから作られるアミノ酸の列も一本のヒモになる。情報の保存のためにはこれ大事。
・分子シャペロン。アミノ酸の列=ポリペプチドがきちんと折り畳まれて(フォールディング)タンパク質になるのを手助けするタンパク質。まず、らせん状のαへリックスや平たいβシートを形作ってから、立体的な3次構造を作る。さらにサブユニットが会合して4次構造となる。ポリペプチドはきちんとフォールディングされるとは限らず、結構失敗して分解されたりしている。
・アミノ酸には親水性のものと疎水性のものとがある。基本水分の細胞内部にタンパク質
がうまくなじむには外側を親水性にして、疎水性のアミノ酸は内側に配置しないといけない。また疎水性のアミノ酸同士は凝集しやすいのでそれもまずい。
・システインに含まれる硫黄同士が結合するジスルフィド結合。タンパク質のフォールディングのクリップ的役割。
・分子シャペロンは熱ショックタンパク質(HSP)・ストレスタンパク質としても働く。熱などのストレスがかかった時に誘導されて、タンパク質の変性を防いだりする。また変性したタンパク質を元に戻すシャペロンすらある。
・合成されたタンパク質の輸送には、宛先指定に葉書式と小包式がある。微小管などの繊維が細胞内を走っており、小胞がそれの上を目的地まで走る。複雑。
・アミノ酸はリサイクルされている。数分の寿命しかないタンパク質から、数ヶ月の寿命を持つものまである。時間遺伝子もタンパク質の分解を利用している。ピンで分解するユビキチン・プロテアソーム系と、バルクで分解するオートファジー系とがある。
・品質管理のステップ。生産ラインのストップ→シャペロンによる修理→廃棄処分→細胞アポトーシスすなわち工場ごと閉鎖。うまくいかないとフォールディング異常病に。白内障、アルツハイマー、パーキンソン、プリオン病・・・
まさにミクロコスモス。これが自分の体で起こっていると真剣にイメージすると眩暈がしそうだ。 -
小さなタンパク質の精巧な生成過程に感動した。 進化論だけではとても説明できないような気がした。 進化の歴史が自分の想像をはるかに超えるほど長いということだろうか。
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人間はおよそ60兆個の細胞で構成されているとのことですが、細胞という舞台では様々なタンパク質という名の役者が様々な役割を果たして極めて精緻なシステムを稼働させています。本書は、その様子をわかりやすく説明してくれています。細胞のなかで起きているタンパク質の製造工程や品質管理の巧みな仕組みは驚かずにはいられません。とても好奇心をそそられました。
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岩波新書の科学書は内容の専門的具合と網羅具合がちょうどいい
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◆きっかけ
ブログ『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』2017/6/3
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