タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311393

作品紹介・あらすじ

細胞という極小宇宙で繰り広げられる生命活動の主役はタンパク質である。それぞれに個性的なタンパク質には、その誕生から死まで、私たちヒトの一生にも似た波乱に富んだ興味深いドラマがある。数々の遺伝病やプリオン病・アルツハイマー病など、タンパク質の異常が引き起こす病気の問題も含め、最先端の科学の現場からレポートする。

感想・レビュー・書評

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  •  タイトルの通りタンパク質の生成から廃棄までをわかりやすく説明している。特に分子シャペロンと呼ばれる、タンパク質の折り畳みなど正常なタンパク質を生成するのに不可欠な物質に重点を置いた説明が多かった。説明の省略が多いような気もしたが、おそらくこれ以上の説明をしようとすると専門的になりすぎて一般向けの範疇を越えてしまうのだろうと思う。それぐらいにギリギリのラインで理解できる説明となっていた。最後にタンパク質の以上で発生する病気について触れていたが、プリオン病(BSE)がなぜ恐ろしいのか、つまり異常プリオンを取り込むだけで連鎖的に正常なプリオンに異常が起きてしまう、ということがわかりやすく説明されていた。

  • 人間はおよそ60兆個の細胞で構成されているとのことですが、細胞という舞台では様々なタンパク質という名の役者が様々な役割を果たして極めて精緻なシステムを稼働させています。本書は、その様子をわかりやすく説明してくれています。細胞のなかで起きているタンパク質の製造工程や品質管理の巧みな仕組みは驚かずにはいられません。とても好奇心をそそられました。

  • 岩波新書の科学書は内容の専門的具合と網羅具合がちょうどいい

  • ◆きっかけ
    ブログ『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』2017/6/3

  • 我々にとって重要な栄養素かつ自身の組成要素でもあるタンパク質の話だが、タンパク質自体の解説ではなく、どのように造られ、どのように消滅していくかのライフサイクルに着目した本。よって物語の主役はタンパク質そのものではなく、取り巻きの細胞や細胞内小器官だ。DNAがタンパク質の設計図ということは、よく見聞する話であるが、その設計図から、最終製品の製造・流通・修理・廃棄に至る、生命インフラの話とも言えるだろう。こうした具体的メカニズムを説明されると、なんと精巧・巧妙なカラクリがあるものだと、ただただ感心するばかりである。しかもそれが、細胞一つ一つの中で24時間365日営まれている訳なので、生物とは(単細胞生物ですら)奇跡だとあらためて実感する。

  • 生物学はどうにも弱い。知識も不足しておる。わかりやすいんだと思うけど、読み手がその下を行った。

  • 2008年刊。著者は京都大学再生医科学研究所教授。

     タンパク質。それは人体の固形部分(30~40%)の約20%を構成する。のみならず人体の恒常性維持や各種機能を発現させる物質でもある。
     本書はそのタンパク質に関し、①それが作用する世界(細胞)、②誕生、③成長(分子シャペロンの働きを中心に)、④人体内での輸送・移動、➄タンパク質の死と再生(輪廻転生)、そして⑥機能性の維持・確保のメカニズム(品質管理)を解説する。

     一言でいうならば難しい書だ。しかし最先端研究は元より、その一般利用にも思考を巡らせ得る書という意味で美味しい書である。

     クロイツフェルト・ヤコブ病に関係するプリオン、あるいはアルツハイマー病に関係するアミロイドβなど、個人的関心に関わる事項にも言及されており、難しかったが、意味ある書だったと感じた。要再読か。

  • ミトコンドリア!
    元々何億年も前に、人間の細胞に進入して、そのまま共生するようになったバクテリア。つまり元を辿れば人間と別の生物だった。

    分子シャペロン!
    タンパク質に関して言えば、およそ3か月でほぼ入れ替わる。
    細胞のレベルにおいても、一年経つと身体を構築する全細胞の90%が入れ替わる。
    体重の2割弱がタンパク質。

    プリオン病(BSE狂牛病)伝播型プリオン
    ただタンパク質が細胞に入り込むだけでDNAは全く関わりなく増殖する。簡単にいえば、BSEに感染した牛肉を食べるだけで感染する。プリオンは熱に強く100度で煮沸しても一部が残存する。正常型プリオンは普通に体内に存在していて、それを巻き込んで伝播型プリオンが増殖していく。
    怖い病気だ。

  • 【荒井善昭先生】
    生物が生きているとはどういうことなんだろうと一度は考えたことがあるのではないでしょうか。タンパク質は確かに生体を構成し、比率も大き い重要な有機物であることは皆さんも認めることだと思います。しかし"一生"とあたかもタンパク質が生き物自体であるような題名がついていることにちょっと惹かれてしまいます。読んでみるとなるほど不思議な生体の仕組みに引き込まれてしまいます。狂牛病という病気が注目を集めた時期がありました。この狂牛病の原因は、生き物ではなくプリオンというタンパク質なのですが、恐ろしい変なタンパク質もあるものだと思っていました。しかしこのようなタンパク質の働きは決して特殊なものではないことが判りました。生体物質といったらまず上げるのはDNAでしたが、この本を読んで私はまずタンパク質かもしれないと思うようになりました。生きているということの考えが大きく変えてくれる本かもしれません。ぜひ皆さんも読んでみてください。

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著者プロフィール

昭和22年滋賀県生まれ。京都大学理学部物理学科卒業。京都大学教授。在学中に高安国世に出会い、「塔」入会、現在代表。若山牧水賞、読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、迢空賞などを受賞。朝日新聞歌壇選者。

「2017年 『歌集 午後の庭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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