子どもが育つ条件: 家族心理学から考える (岩波新書 新赤版 1142)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311423

作品紹介・あらすじ

自己肯定感の低下、コミュニケーション不全の高まりなど、子どもの「育ち」をめぐって、様々な"異変"が起きている。一方、子育てのストレスから、虐待や育児放棄に走る親も目立つ。こうした問題の要因を、家族関係の変化や、親と子の心理の変化に注目して読み解き、親と子ども双方が育ちあえる社会の有り様を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 【キーアイデア】
    『親の成長が子どもの育ちに重要』

    【目的】
    子どもを育てるにあたって、どういう考え方で臨めばよいのかを探るため

    【引用】
    ・子どもがどう育つかという問題は、その親たち夫婦の関係のあり方と密接に関連しています。
    ・父は名ばかりで職業人、母だけが子育てという性別分業は、妻の夫に対する不信、不満を募らせ、「母子密着」「母子連合」をつくり、夫と妻の分裂を生み出します。このような両親の姿を子どもは歓迎していません。
    ・子にとって重要なのは、親のしつけや性格以上に、二人の親が夫婦として調和した関係にあることが臨床ケースからも明らかにされています。
    ・知育中心そして親に万事庇護された生活も、日本の子どもの自身の低さの背景です。
    ・親が「できるだけのことを子にしてやる」ような生活は、子どもにとっては何でも「してもらう生活」にほかなりません。
    ・「してやらないこと」、子どもに自分でさせることは極めて重要です。
    ・家族生活には三種のケアがあります。家族全員のための家事、子どもが誕生した後の育児、それと夫と夫婦の間の心身のケアです。
    ・子どもが自発的に熱中する活動は、子どもが育つことそのものなのです。それはおとなの計画や教育以上のものです。

    【感想】
    夫婦間の関係性が子どもに影響を与えることは、客観的なデータがなくとも日々感じるところである。頭で理解はしているものの、子どもの前で喧嘩をしてしまうことも一度や二度ではない。反省。

    【学んだこと】
    何でもしてあげることが子どものためにならないと知りつつも「できる限りのことはしてあげたい」という思いもある。でも子どもが自己重要感を得るためには、子ども自身が何かを見つけ夢中になって没頭し、結果を出す必要がある。

    【行動】
    親として「やらないこと」をリストアップし、子どもが自発的に取り組めるようにする

  •  育児不安の心理、「先回り教育」の弊害、子育て・親を取り巻く社会の変化を前提に、子どもが育つ条件を示した一冊。子は育てるものではない。育つもの。子育てではなく子育ち。親の行動をみて子は育つ。
     一貫した論理と十分な客観的データが示されており、とてもわかりやすい。10年前の本とは思えない、これからを生きる親、また親以外も読むべき本だと思った。

  • 2008年08月25日 08:55

    家族心理学という学問の分野があることを知りませんでしたが 
    なかなか良い分析をされていて読み応えがありました 

    単に「育児書」としての視点だけでなく、結論としてワークライフバランスの重要性にまで論理的に展開し、説得力がありました 

    いくつか心にとまったポイントを列挙 

    育児不安を抱えている母親は多いが、 
    これは日本に顕著に見られる傾向で、 
    有職女性よりも無職女性(つまり専業主婦)に多いということ 

    日本では働きすぎの問題があり、男性が育児に参画しないことが通常となっているが 
    このため社会で子どもを育てるという構図にゆがみが生じている 

    少子化によりひとりの子どもに目が行き届くようになったため、親が常に子どもが失敗しないように気をつけてレールを引いてあげる「先回り育児」になってしまい、その結果引きこもりや不登校をもたらす原因となっている 

    子どもは生まれながらにして自ら学び、自ら育つ力を持っているので、親が「育てる」なんていうのは一種のおごりである 
    自分の力が発揮できたときに喜びを感じるのであって、親の先回りによってその喜びが殺がれていることが多い 

    ワークライフバランスの推進が叫ばれている背景には単に働きすぎを解消するという目的だけでなく、「子どもと共に親も育つ」社会にしていかなくては、現在の教育問題は家庭の問題というのは一朝一夕には解決しないからで、男性が家庭や育児に深く関わることは今後の日本社会にとっては不可欠である 

  • 心に残ったことば
    ・おとなになったあとも、人の心や行動は、様々な体験を通して成長・発達し、さらにそうした日々の成長が人を活性化させ、充実感や幸福感をもたらすことが実証的に明らかにされてきた。(225p)
    ・(ひきこもりや不登校)は表面的には社会からの逃避や退行の現象ですが、一方では未成熟な自我を再生させる「さなぎ」の敷きであるともいえます。(67p)
    ・一般の対人関係では、自分が集団や相手に貢献することと、集団や相手から自分が得ることとのバランスがとれていることが大事です。これが崩れると、人はその集団や相手から離れていく傾向があります。これは社会的交換という理論で説明されています。・・・(こうした関係は)家族内でも働くようになっているのです。(140,141p)
    ・赤ちゃんの視覚が、実は敏感で正確であり、しかも積極的なものであることが明らかとなっている。(151p)
    ・聴覚も同様。・・・とりわけ人の声に格別の関心を示します。そして自分の興味に応えてくれる人が大好きです。(152p)
    ・乳児でさえ個性や気質をもっている。(157p)
    ・子どもに重要なのは応答的な人と環境。(157p)

  • ふむ

  • 子育てについて、母親だけでなく父親も育児参加することの重要性を訴えている点が印象的。今よりまだ父親の育児参加が進んでおらず母親の負担が大きい状況を前提とした内容と感じた。

    気になった参考文献など。
    菊池ふみ・柏木恵子「父親の育児」『文京学院大学人間学部紀要』 9巻1号、2007年

    柏木惠子・若松素子 「「親となる」ことによる人格発達」「発達心理学研究』 5巻1号、1994年6月

    伊藤裕子、相良順子、池田政子「既婚者の心理的健康に及ぼす結婚生活と職業生活の影 響 『心理学研究』 75巻5号、2004年12月
    (幼児をもつ男性の大半は、稼ぎ手として仕事中心で家庭に投入するエネルギーはごく少ないのが現状ですが、そうした男性たちの幸福感や充実感は何か、ということについて検討した研究)

    ILO(国際労働機関)条約第156号「家族責任をもつ男女労働者の権利」
    (家庭をもった者にとって、家庭(家族) 責任、権利が男女の労働者双方のものであることが明記されている)

  • 教育系の本かと思ったら、フェミニズム系の本だった。日本の男女の子育て観の違い、それによって起こる障害、子供の育て方などを知る事ができた。読みやすかったけど、同じような内容が何回も繰り返し出てきてちょっとくどかったかな。当時は目新しかったのかもしれないけど、現在だとニュースとかど結構知れ渡ってる内容。

    日本に顕著な育児不安
    母親の職業 m字型 「母の手で」神話
    アイデンティティ 社会的孤立 自分の時間
    生物の課題は自身の生存発達と種の保存
    父親の育児不在 育児困難な子を持つ動物はオスが静止提供者から父となる
    第一責任者か2番手かで態度が変わる 性別的違いは無い

    先回り育児の加速がもたらすもの
    子殺し 抑止力を凌駕するほどの強い感情 社会の偏見 正規職への困難
    子供の価値の変化 子供二人で豊かな生活 少死から少子へ モーツァルト 心理的価値を期待
    少子良育 受験 自分とはなにか 登校拒否不登校 さなぎとして
    対人交渉スキル 親の介入 日本の社会性とは 和
    親子より両親の関係が大事な場面も
    つくる教育 先回り育児 質が大事 よかれからよゐこの反乱へ 自立性の弱体
    日本の子供の勉強に対する認識 親の満足を念頭に 自己有用感の機会のなさ自立した生活体験の欠如
    他者のために働く体験 育て上げ

  • 背ラベル:367.3-カ

  • 良き。専業主婦はしんどいんじゃーん、子どもがほしくて専業主婦したがってる友達が周りにいたら教えてあげたい。そして親も成長し続けるのが大事って本当全親に伝えてあげたい、完璧じゃなくていいんだよって。先回り育児、男性の育児不在、課題山積。この頃から今どう変わってるか、聞きたいこの人に。

  • 長女が大学進学することになったこの春、育児のゴールを感じている。今までを振り返ることも増えた。この本はそんな時期の私にピッタリだと読み始めたが、もっと早く出会いたかったと思っている。初版が2008年。その時なら長女も次女もまだ就学前。三女に至っては生まれていない。子どもは育てるのではなく、子どもが育つことを待つ行為だと、自分が属する研究会では言っていたけれど、自分がしてきたことは育てる気満々に突っ走っていただけ。長女が持つ良さや育つ可能性を埋もれさせたままで押し込んでしまったように思う。心から、申し訳ない。また、社会が家庭に入り込むという点についても思い当たることが多かった。教師という職業は、家庭に持ち込まれる事柄が、精神を含め、とても多い。自分自身も未熟で自分のことを対処しきれていなかったのに、我が子の心に寄り添うなんてできるはずなかったのだと思う。そして今、夫に対してよく言っている、「主体的に家事をする」というのは、この本にあるような、男が仕事ばかりしないで家庭にも参加することを進めたかったからだと思った。私もいいとこ気づいたね。反省ばかりの読了感だけど、自分を肯定もできた。読んでよかった。これからも勉強しようっと。

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著者プロフィール

東京女子大学名誉教授

「2018年 『ウォームアップ心理統計 補訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柏木惠子の作品

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