イスラエル (岩波新書 新赤版 1182)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311829

感想・レビュー・書評

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  • 広河さんの「パレスチナ」に対応する形で読む。

    イスラエルがエスニック国家なんて
    知ってましたか。
    なかなか日本人には、中東の状況や歴史は理解しがたいが、自分が、日本人で、日本に住んでいることを感謝する。最近だいぶ危ういが・・・

  • 5章まで読了。それ以降は断念。

    イスラエルの多様性を知ることができた。
    ユダヤ教というと排他的でイスラム教との対立を思い浮かべがちだが、ユダヤ人の内部でも信仰心の強弱や人種などによって諸派が存在する事を知った。

  • イスラエルはパレスチナ問題とあわせて語られる事が多いと思うが
    本書は新書というスペースの中で、イスラエルという国そのものを
    なるべく大枠から伝えようとしてくれている。

    そもそもの成立の仕方自体が
    特殊な国だという気持ちで見ていると
    特殊な場所の特殊な出来事のように見える。

    いや、そうなのかもしれないけれど
    どの点がどの程度特殊なのかということを考えにくくなってしまう。
    しかし、人がおり、社会がある。そこは変わらない。

    イスラエルは国民の統合をユダヤ教に委ねているわけではない。
    ユダヤ教によって統合されている、
    という人々もいればそうではないという人もいるし
    ユダヤ教が根底であるが、アラブ人を排除する必要はないとする立場もある。

    同じユダヤ教の中にもヨーロッパからの移民(アシュケナージ)と
    アラブからの移民(ミズラヒーム)での立場の違い。
    移民する時期の違いもあるが、
    その多くは外面的な特徴の違いがあるだろう。

    イスラエルで起こっている出来事は決してイスラエルだけの問題ではない。
    いずれ同じ問題を解かなくてはいけない時が来る。
    政治的、経済的な繁栄はそうした問題を解く時に猶予を与えてくれるというだけだ。


    >>
    社会主義シオニストはマサダ砦の玉砕における集団自決を、降伏せずに最後まで戦った国民的英雄行為の事例として称賛した。イスラエル版の「伝統の創出」である。(中略)
    マサダの防衛戦でのユダヤ人の勇敢さが、ヨーロッパのユダヤ人がホロコーストに直面して戦わずして死を選んだという「不名誉」な受動性と対置されていることは明らかであった。(p.72)
    <<

    これは全く思いもしなかった視点であるが、
    勇壮さは統合運動と相性が良いのであろう。シオニズムはそのような積極的な側面があると。

    >>
    和平の挫折は結局のところ、和平の果実の分配に与れずに不満を蓄積した貧困な社会層が、和平に反対する右翼勢力を選挙で支持したためであり、労働党が貧困層の不満に目を向けることができなかったからであった。「和平の配当」に与れなかった社会集団の代表が、貧しいミズラヒームであった。(p.191)
    <<

    弱いものが優先されることは合理的な配慮をすれば当然ありえない。
    大多数を占めるものの利便性を図ることは、もっとも効率が良いはずだから。
    しかし、それでは社会は自らを危うくすることでしか変われない。

  • イスラエルの政治的歴史、現在の事情などを簡潔に理解できる。ホロコーストの否定がディアスポラの否定、つまり自由主義の否定につながっていて、それが社会主義的勢力であるシオニズムによって利用されているという指摘が興味深かった。ユダヤ人はホロコーストを受けたかわいそうな民族であるという思いは民族主義を強めることができる。しかしその一方的な感じがまたテルアビブ大学内で見たディアスポラミュージアムで感じた君の悪さみたいなものの理由なのだろう。恨みは克服できるならした方がいい、暴力的勝利ではなく平和と共存を求めているならば。

  • (後で書きます。イスラエルが内部に抱え込む多様性について詳述)

  • 少なくともイスラエルは多文化国家であるべきである、ということはわかった。

  • やはり、テレビだけじゃ知らないことが多いと実感した。
    イスラエルのユダヤ教徒が一枚岩ではないこと、そして建国当初、ホロコーストは教育現場では伝えられてすらいなかった事実。
    私たち日本人からすると、ホロコーストの犠牲を前にユダヤ人は団結しているのだとばかり思っていました。
    そして、アイヒマン裁判。

    耳慣れない言葉が多く、読みやすくはなかったけれど、イスラエルという国家の歴史をユダヤ人側から見た本としては、的を得ていたのでは?

  • 『イスラエル』(臼杵陽、2009年、岩波新書)
    1948年のイスラエル建国後の政治の動きがかなり詳細に記述されています。イスラエル史の勉強になりますが、少し難しいかもしれません。

    (2009年6月3日)

著者プロフィール

1956年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際関係論博士課程単位取得退学。在ヨルダン日本大使館専門調査員、佐賀大学助教授、エルサレム・ヘブライ大学トルーマン平和研究所客員研究員、国立民族学博物館教授を経て、現在、日本女子大学文学部史学科教授。京都大学博士(地域研究)。専攻は中東地域研究。主な著書に、『見えざるユダヤ人――イスラエルの〈東洋〉』(平凡社選書)、『中東和平への道』(山川出版社)、『イスラムの近代を読みなおす』(毎日新聞社)、『原理主義』『世界化するパレスチナ/イスラエル紛争』『イスラエル』(以上、岩波書店)、『イスラームはなぜ敵とされたのか――憎悪の系譜学』『大川周明――イスラームと天皇のはざまで』『アラブ革命の衝撃――世界でいま何が起きているのか』(以上、青土社)、『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)などがある。

「2018年 『「中東」の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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