ビジネス・インサイト 創造の知とは何か (岩波新書 新赤版1183)
- 岩波書店 (2009年4月21日発売)
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感想 : 58件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004311836
作品紹介・あらすじ
新しいビジネスモデルが生まれるときに働く知を、ビジネス・インサイトと著者は呼ぶ。この創造的な知は何なのだろうか。M・ポランニーの「知の暗黙の次元」に関連づけ、ビジネス・インサイトが作用した多くの実例を考察して、ケース・スタディで習得できる可能性を探る。マーケティング研究の第一人者による経営学の新展開。
感想・レビュー・書評
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ビジネスインサイトって言葉が定義されていて、そこに感動。
この本の役割というか面白さは、そういう経営学とかといっていいのだろうけど、偶有性みたいなのも、ちゃんと研究して見出したほうがいいんじゃないかって投げかけなんかなと解釈。
実際に創造的瞬間=ビジネスインサイトなんだけど、これってどう生まれるかというと、やはりそこの説明はヤマト運輸然り、ダイエー然り、セブン然り、キットカット然り、色々事例はあるし、なるほどといえるんだけど、「偶有性」というところが大きい。
偶然で運がというのもあるんだけど、それ以前の取り組み、課題、考える、アンテナを得て試すこと、そういうのがあって「たまたま場」にあったものが刺激となって、ひらめき的に「ああこうすればいいのか」ということになる。
本書の後半はやや哲学やコミュニケーションなども多くなるが、最後にあるような伝統的なコミュニケーション(意図や価値が伝達されて使われる)のでなく、新しいアプローチは、場があってそこで価値が生成される=規定されるみたいなことが面白いと思う。
実際に、成熟した今の社会は、なにか一方的なメッセージをどやと言われてどうというものではない。ある種場があってそこででてきた意味をすくい取って、それってこうじゃないかとある種編集したり加工することで出来る。これこそまさに消費者理解=インサイトというと、今では当たり前なのだけど2009年初版というところで、捕まえて提起しているのは洞察として優れていると思うし、以前からあったとしてもそれを連綿と繋ぐ意味でも価値があると感じた。
とはいえ、目的はここではビジネスインサイトの解像度だったというところで、偶有性という着地はやや肩透かしはある。のだが、それはそれで視点であるし、考え方としても受け入れられるものなので不満とかはない。欲を言えばもっと解像度を高められればという期待もあったというところだ。 -
ビジネス
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ビジネススクール在学中の方は、ぜひ。
これから進学を考えている方も。
・対象に棲み込む。
いかにして、ヒラメキが生まれるのか、
に対する著者からの回答かもしれない。 -
イノベーションが企業の成長に欠かせない事、また、イノベーションは創造的破壊によってもたらされる為に大企業では生まれにくい事を冒頭の松下電工の例で示し、それを打開する手段として暗黙知に潜む可能性をビジネスインサイトと称して、その活用を提唱している。暗黙知を形式知へといういわゆるナレッジでは創造的破壊は生まれない事はまさにその通りで非常に示唆に富んだ指摘であった。
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いまいちだった。ケースが冗長すぎる。
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とにかく文章の質が良い。
ポランニーの「暗黙知」のような、記述しえない洞察のようなものがビジネスのブレークスルーにおいて作用する例が多い。それは、熟練の、あるいは熱意の求道者が、オブジェクトに棲み込むほど一体化した感覚を得て、初めて発動しうるのかもしれない。 -
前半部分は経営学の教科書のような退屈さを感じたが,中盤で興味深いところが多数でてきた.
著者の名前をどこかで見た(経営学者なら知っていて当然なのかも知れないが,残念ながら私の専門は経営ではないので)と思ったら,流通科学大学の学長だったのか. -
マーケティングで有名な石井 淳蔵氏の新書です。ポランニーの知識論をベースに展開している内容で、野中郁次郎氏が提唱したナレッジクリエイティブカンパニーからの発展になる議論であると思います。ここで言う、ビジネス・インサイトとは、新たなビジネスモデルが生まれる際の知という意味であり、組織のダイナミズムの中に、どのように活用されるかを説明されています。事例などを踏まえて乗っており、理論と事例とをいったりきたりする一冊といえるのではないでしょうか。
著者もおっしゃっているとおり、ビジネススクールや研修などで学ぶ際は、一つの答えではなく、その問いからどのように考え、その解いが生まれたかを理論を用いて、論理的に話すことは必要ですね。おそらく、著者がご活躍されているなかで、学生あるいは社会人に言いたいことなのではないでしょうか。 -
模倣 ではいつまでたっても勝てない。経営者は跳ばなけばならない、創造しなければならない。キーワードは、「暗黙に認識する」こと、「対象に棲み込む」こと。
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本書は、事業の様相を大きく飛躍させるイノベーション的着想をビジネスインサイトと定義し、その着想が生まれるメカニズムについて探求している。一般的には「(先天的な)センス」の一言で片づけられてしまいがちなテーマに対して真理を暴き出そうとしていて、またその探求した内容が非常に納得できる内容で興味深く読み進めることができた。また、その一環として事業戦略における既存のフレームワークや理論の落とし穴についても言及しており、非常に勉強になる。
惜しむらくはその着想を得る頭を育てるためにケーススタディによる学習等を紹介しているのだが、創造的な着想を得るクリティカルな方法である印象を持てなかったこと。
おそらくまだ理解が追い付いていないところがあるので、あと数回読み返したいと思う。 -
中だるみだったけど、郵便やキットカット、シェイクの事例が面白かった
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マーケティングの大御所、石井淳蔵の本。”経営者は跳ばなければならない”として、これまでの延長で事業を進めるのではなく、創造的に事業を創りだすビジネス・インサイトが必要なのである。前書きから惹き付けられることが多く、マーケティングにおける定性的研究の重要性が感じさせられる一冊だった。
①実証主義の限界(第1章 実証主義の経営を検証する/第2章 ビジネスインサイトとは何か)
それまでは既に存在している市場を分析すること、つまり実証主義の経営が主流とされてきた。だが、それは裏を返せば既存のニーズを中心に分析しているため、自社にとって新しいニーズであっても市場では馴染みのあるものになりやすい。
そこで、市場志向ではなく、「消費者の経験の中で生まれる価値」に焦点を置くことが重要となる。消費者にとってその製品はどういった存在なのかから問い直し、新しい市場を生み出すのである。それを見つけ出すためには、インサイト(成功を見通す構図)を発見しなければならない。
②ケース教育の意義(第4章 ビジネス・インサイトをケースで学ぶ/第5章 ケース・リサーチの可能性)
インサイトや、そこに隠された暗黙知を発見するためには、消費者をより深く理解すること、つまり消費者への棲み込みが必要である。棲み込みを学ぶ一つとして、ケースは優れているという。
ケース教育で大切なことはいくつかあるが、特に「当事者の視点に立つ」ことは重要である。対象を理解するためには、外側を見つめるだけでなく、内側に入り込む(=棲み込む)ことを行わなければならない。現在時点でケースを眺め、50年前よりも進んだ世界を自分が知っているように理解してはいけない。そうではなく、歴史や経緯を入念にたどりながら、当事者になったことを意識する。このようにケースを追うことは、因果関係だけでケースを理解することなく、プロセスやその変化などを解明していくことであり、重要である。
③これからの経営、マーケティング(第6章 経営における偶有性)
なぜケースにおいて、原因や結果だけでなく、プロセスを理解する必要があるのか。それは、マーケティングは、誤解のようなコミュニケーションを繰り返す過程に含まれており、その帰結が偶有性(偶然のたまもの)なのである。そのため、企業と市場や消費者の中で行われる対話の中で、ニーズは生まれてくる。
これまでの市場調査から消費行為の意味を理解する「消費者理解」が重要となり、対象への棲み込み、そしてそれを通じて得た共感的理解から経営が始まるだろう。
ニーズはあるようで、存在していない。それを学術的に説明した非常に示唆に富んだ本だった。消費者への棲み込みから出てきたニーズを考えていくことは、今の日本企業には重要なことである。これからケースを読むときにも視点を変え、インサイトを見つけ出せるように丹念に読んでいきたい。 -
商品改良ばかりやっていたら、、、いずれ破綻。
経営者の心得。商品改良ばかりやっていたらいずれ破綻する。経営者は跳ばなければならない。以下は個人的な解釈。陸上競技の走り高跳びを想定。挟み跳びばかり研究してもダメ。ある時ベリーロールへ切り替える。更に、背面跳びにチャレンジすることが必要。観察と発見。これが、ビジネスインサイト。 -
ビジネスで将来を見通す力を「ビジネス・インサイト」と題し、
その重要性・見つけ方を種々のケースから論じる内容。
結論としては、プロシューマーに至っている。
この結論自体は自分もその重要性は感じているが、
結論に至るまでが非常にアカデミック寄りであるため、難解と感じた。
もう少し分かりやすい内容であれば、万人にお薦め出来る内容だったと思う。 -
「事実に棲み込む」という言葉を多用している。
従来事業の延長線ではジリ貧になる。同じ材料でも、事業をとらえ直すことによって、大きく成功するものも生まれてくるのだ。
それを紹介するケースリサーチ集と言ってよい。 -
野中郁次郎のSECIモデルで言っている暗黙知と、M. ポランニーの暗黙知は違うという話を聞いて興味を持って買った本です。
野中郁次郎の暗黙知は、たとえば、杜氏が上手にお酒を造る技術のことを言っていますが、SECIモデルはそれを形式知化することの重要性を述べており、つまりは、時間や手間はかかるかもしれないけれど形式知化可能な暗黙知を含んでいます。
一方、M. ポランニーの暗黙知は決して形式知化することができないものを指しています。M. ポランニーは科学者なので、アインシュタインの例を使って説明していましたが、相対性理論が生まれる瞬間に使った知恵がそれにあたります。
簡単に言うと、閃きであり、書名のインサイト(insight)にあたります。
本書は、この、M. ポランニーの暗黙知を経営に応用し「ビジネス・インサイト」という概念にまとめたものです。
仮説検証型の経営には限界があり、どこかで、ビジネス・インサイトを用いて飛躍しているという話から始まります。
後半では、ビジネス・インサイトを習得するにはどうしたらよいかという議論が展開され、対象に棲み込む(内在化する)ことの重要さが語られます。
形式知化できない暗黙知を伝えていく方法としても興味深く勉強になる本です。
今年読んだ中で一番脳を刺激した本でした。 -
中央図書館で読む。やはり、この図書館はいいです。新刊の質が違います。非常に興味深い本でした。非常に読みやすい文章です。中身も示唆に富んでいます。イントロは、松下電工の社長のインタビューから始まります。多くの企業は、その企業の長所を伸ばすことで成長していきます。これは、正しいような気がします。しかし、この社長は、この常識を否定します。実は、そんな形で、成長することなんてありえないのです。多くの成長する企業は、全く関係ない分野に進出するとき、成長するのです。市場調査にも、疑いを持っています。調査可能なことは、他人もやっています。仮に、正しい分析でも、他人も同じ分析をするのです。つまり、市場調査から、成功は導けないのです。その通りだと思います。それにしても、面白い本です。再読の価値があります。それだけです。
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石井淳蔵『ビジネス・インサイト』が参照しているエバンス, ウースター『ネット資本主義の企業戦略』が面白そう。Amazonで品切れの99年の本だけど。 http://amzn.to/ag8du0
『ビジネス・インサイト』おおむね読み飛ばしたけど最終章『経営における偶有性』に面白さが凝縮されてる。
「目的をもったコミュニティ」(エバンス/ウースター)→「共同への意思」(石井淳三)非常にいい言葉。「誰とするか」「何をするか」ではなく「何を成すか」のビジョン。それだけがコーポレーションを可能にする。
何かよくわからない可能性を含んで不定形な状態から一つの可能性が選択・固定化される。偶有性から創造される瞬間。そこで暗黙の認識が作用する。みたいな話。 -
新しい知が生まれるためには、ビジネス・インサイトが必要ということで、事例を交えながら、知恵の活用方法を説いたもの。形式知・暗黙知の話や、知恵の引き出し方と流れでケーススタディに触れており、ドラッカーと同じように知識社会での知識の重要性が述べられていた。組織と人材の力を高めるには、こういうことを継続して取り組まないといけないのだろう。
著者プロフィール
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