ビジネス・インサイト: 創造の知とは何か (岩波新書 新赤版 1183)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311836

作品紹介・あらすじ

新しいビジネスモデルが生まれるときに働く知を、「ビジネス・インサイト」と著者は呼ぶ。この創造的な知は何なのか。M・ポランニーの「知の暗黙の次元」を手がかりに、ビジネス・インサイトが作用した多くの実例を考察して、ケースを学ぶことで習得できる可能性を探る。マーケティング研究の第一人者による経営学の新展開。

感想・レビュー・書評

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  • ビジネスインサイトって言葉が定義されていて、そこに感動。

    この本の役割というか面白さは、そういう経営学とかといっていいのだろうけど、偶有性みたいなのも、ちゃんと研究して見出したほうがいいんじゃないかって投げかけなんかなと解釈。

    実際に創造的瞬間=ビジネスインサイトなんだけど、これってどう生まれるかというと、やはりそこの説明はヤマト運輸然り、ダイエー然り、セブン然り、キットカット然り、色々事例はあるし、なるほどといえるんだけど、「偶有性」というところが大きい。

    偶然で運がというのもあるんだけど、それ以前の取り組み、課題、考える、アンテナを得て試すこと、そういうのがあって「たまたま場」にあったものが刺激となって、ひらめき的に「ああこうすればいいのか」ということになる。

    本書の後半はやや哲学やコミュニケーションなども多くなるが、最後にあるような伝統的なコミュニケーション(意図や価値が伝達されて使われる)のでなく、新しいアプローチは、場があってそこで価値が生成される=規定されるみたいなことが面白いと思う。

    実際に、成熟した今の社会は、なにか一方的なメッセージをどやと言われてどうというものではない。ある種場があってそこででてきた意味をすくい取って、それってこうじゃないかとある種編集したり加工することで出来る。これこそまさに消費者理解=インサイトというと、今では当たり前なのだけど2009年初版というところで、捕まえて提起しているのは洞察として優れていると思うし、以前からあったとしてもそれを連綿と繋ぐ意味でも価値があると感じた。

    とはいえ、目的はここではビジネスインサイトの解像度だったというところで、偶有性という着地はやや肩透かしはある。のだが、それはそれで視点であるし、考え方としても受け入れられるものなので不満とかはない。欲を言えばもっと解像度を高められればという期待もあったというところだ。

  • ビジネス

  • ビジネススクール在学中の方は、ぜひ。
    これから進学を考えている方も。

    ・対象に棲み込む。

    いかにして、ヒラメキが生まれるのか、
    に対する著者からの回答かもしれない。

  • イノベーションが企業の成長に欠かせない事、また、イノベーションは創造的破壊によってもたらされる為に大企業では生まれにくい事を冒頭の松下電工の例で示し、それを打開する手段として暗黙知に潜む可能性をビジネスインサイトと称して、その活用を提唱している。暗黙知を形式知へといういわゆるナレッジでは創造的破壊は生まれない事はまさにその通りで非常に示唆に富んだ指摘であった。

  • いまいちだった。ケースが冗長すぎる。

  • とにかく文章の質が良い。
    ポランニーの「暗黙知」のような、記述しえない洞察のようなものがビジネスのブレークスルーにおいて作用する例が多い。それは、熟練の、あるいは熱意の求道者が、オブジェクトに棲み込むほど一体化した感覚を得て、初めて発動しうるのかもしれない。

  • 前半部分は経営学の教科書のような退屈さを感じたが,中盤で興味深いところが多数でてきた.
    著者の名前をどこかで見た(経営学者なら知っていて当然なのかも知れないが,残念ながら私の専門は経営ではないので)と思ったら,流通科学大学の学長だったのか.

  • マーケティングで有名な石井 淳蔵氏の新書です。ポランニーの知識論をベースに展開している内容で、野中郁次郎氏が提唱したナレッジクリエイティブカンパニーからの発展になる議論であると思います。ここで言う、ビジネス・インサイトとは、新たなビジネスモデルが生まれる際の知という意味であり、組織のダイナミズムの中に、どのように活用されるかを説明されています。事例などを踏まえて乗っており、理論と事例とをいったりきたりする一冊といえるのではないでしょうか。
    著者もおっしゃっているとおり、ビジネススクールや研修などで学ぶ際は、一つの答えではなく、その問いからどのように考え、その解いが生まれたかを理論を用いて、論理的に話すことは必要ですね。おそらく、著者がご活躍されているなかで、学生あるいは社会人に言いたいことなのではないでしょうか。

  • 模倣 ではいつまでたっても勝てない。経営者は跳ばなけばならない、創造しなければならない。キーワードは、「暗黙に認識する」こと、「対象に棲み込む」こと。

  • 本書は、事業の様相を大きく飛躍させるイノベーション的着想をビジネスインサイトと定義し、その着想が生まれるメカニズムについて探求している。一般的には「(先天的な)センス」の一言で片づけられてしまいがちなテーマに対して真理を暴き出そうとしていて、またその探求した内容が非常に納得できる内容で興味深く読み進めることができた。また、その一環として事業戦略における既存のフレームワークや理論の落とし穴についても言及しており、非常に勉強になる。
    惜しむらくはその着想を得る頭を育てるためにケーススタディによる学習等を紹介しているのだが、創造的な着想を得るクリティカルな方法である印象を持てなかったこと。
    おそらくまだ理解が追い付いていないところがあるので、あと数回読み返したいと思う。

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著者プロフィール

流通科学大学特別教授、神戸大学名誉教授

「2017年 『中内功 理想に燃えた流通革命の先導者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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