ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311911

作品紹介・あらすじ

一九三九年のノモンハン戦争は、かいらい国家満洲国とモンゴル人民共和国の国境をめぐる悲惨な戦闘の後、双方それぞれに二万人の犠牲をはらって終結した。誰のため、何のために?第二次大戦後、満洲国は消滅して中国東北部となり、モンゴルはソ連の崩壊とともに独立をまっとうした。現在につながる民族と国家の問題に迫った最新の研究。

感想・レビュー・書評

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  •  田中克彦氏は言語学者である。その言語学者である氏がなぜノモンハンなのか、そう思ってぼくは最初この本を買いかねていた。しかし、だんだん気になって手にとって、氏がもともとモンゴル学者であることを思い出した。本書はモンゴル語とロシア語の資料を読み解く著者しか書けない本である。ノモンハンと言うと、日本の軍備のお粗末さから多くの犠牲を出し、のちのちまで秘密のベールに覆われていたという凄惨なイメージがある。筆者の田中氏は、この戦争の背景に、コミンテルンの配下にあったモンゴル族と満州国にいたモンゴル族の統一を願う人々がいたことに思いをはせる。実際、モンゴル共和国はこの戦いによって独立を果たしたのだけれど、ノモンハンで死んだ人よりもはるかに多くのモンゴル人たちが、満州国とコミンテルンによって粛正されているのである。


  • ユダヤとドイツ側で、ホロコーストとジェノサイドと呼ぶのが異なるように、ノモンハンについても同じなんだな。ノモンハン「事件」だと思い込んでいた。
    まさしく、プロパガンダに嵌め込まれていたわけだ。
    また、満蒙と言う呼称は「満州国とモンゴル国」ではなく満州国に属する東部内モンゴルを意味する、と。

    満州国側よりもモンゴル側に寄った内容だったかな。
    モンゴル人の名前が慣れないので、中々頭に入ってこないが、満州を知る上では仕方がないな。

  • 2009年刊行。ソ連、中国(清朝から中華人民共和国まで)、そして日本(含む満洲国)といった大国に翻弄され続けたモンゴル。ノモンハン事件を切り口とし、事件前後におけるモンゴルの大国との奮闘史を描く。特に、ソ連(スターリン)への砂を噛むような外交努力は、モンゴル研究者たる著者でしか描き得ないだろう。旧満洲国~現在のモンゴル共和国~ロシア領内バイカル湖周辺まで及ぶモンゴル族の統一・独立機運、すなわち汎・モンゴル主義がソ連・日本にとって脅威であったし、現在の中国でも脅威という点は興味深い。視点転換に有益な書。

  • ノモンハン戦争をテーマに、辛亥革命から今まで残る汎モンゴル主義や、ソ連によるモンゴル人民共和国の政治的虐殺、満州国による満州国内モンゴル民族地域での弾圧、などを解説していく。ノモンハン事件は、両国に分断されたモンゴル人の接触機会として模索され開始した後、ソ連と日本満州によって大々的な衝突へとつながった不幸を持つ。講和会議でも両者はモンゴル民族の統一阻止を最重要視していた。今では、ソ連、中国、モンゴルに分断されたモンゴル民族。中国国内の内モンゴル自治区にはもうモンゴル人は少ないと言われており、ソ連によって建設されたモンゴルという国の歴史の悲劇を伝えている。ソ連崩壊でソ連の軛から開放されたモンゴルは、これからどういう道を模索していくのだろうか。

  • とりあえずこれも、満州界隈の読み物ってことで手に取ってみた。でも、大まかな流れくらいしか知らず、小説くらいでしか読んだことのない状態だと、ここに書かれている内容はちょっと細かすぎて手に余る感じ。という訳で、この時代にもう少し詳しくなったら読み直すかもだけど、今のところは積読ことにします。

  • 1939年,モンゴルと満洲国の間で国境線をめぐって争われたノモンハンの戦いでは,双方の死傷者・行方不明者が2万人にも達した.これは単なる事件ではなく明白に戦争であった.歴史的・地理的条件から説き起こし,最新の研究成果にもとづいて,その真相を明らかにしながら,前史から終結までを生きいきと描きだす.

  • 関東軍が背後に控える満洲軍とソ連が背後に控えるモンゴル軍による衝突「ノモンハン事件」をこれまでにない視点でとらえたらしい本書。

    正直予備知識がなかったので、背景、経緯、戦術レベルまで概要がわかるとよいと思って手にとった。

    しかし、この本は従前の戦術局面にフォーカスしたアプローチにアンチテーゼを示し、むしろ2代大国に翻弄され2陣営にわかれ、指導者をソ連や日本に暗殺されながらも最終的に独立を掴み取ったモンゴル人を中心に展開される。

    従来の史実を十分に知っているうえで新しい視点として読むべき本の様ではある。

  • 著書の主張通り、いわゆる戦史ではない、奥深い近代史に触れることができた。

  • つまらない。

  • 日中戦争の最中、
    1939年に勃発したノモンハン戦争について記した一冊。
    戦争の経過については序盤にさらりと触れられるのみで、
    紙面の多くを背景やこれに至る経緯の解説に割いている。

    黄禍論としての汎モンゴル主義を
    モンゴル民族に限定させることで逆に利用し、
    モンゴル人民共和国を縛った上で
    関東軍を誘い込んだソ連のしたたかさが興味深い。

    またソ連と中国、日本に翻弄され続けた
    モンゴル民族の歴史に触れることができ勉強になった。

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プロフィール

1934年兵庫県生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科、一橋大学大学院社会学研究科、ボン大学哲学部・中央アジア言語文化研究所(フンボルト財団給費)でモンゴル学・言語学・民族学を学ぶ。一橋大学名誉教授。社会学博士。モンゴル国立大学名誉博士。2009年モンゴル国北極星勲章受賞。著書に『ことばと国家』『ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国』『「シベリアに独立を!」諸民族の祖国(パトリ)をとりもどす』(すべて岩波書店)、『差別語からはいる言語学入門』(ちくま学芸文庫)、『従軍慰安婦と靖国神社 一言語学者の随想』(KADOKAWA)、『田中克彦 自伝 あの時代、あの人びと』(平凡社)、『言語学者が語る漢字文明論』(講談社学術文庫)、『田中克彦セレクシヨンⅠカルメンの穴あきくつした』(新泉社)など多数。

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