新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

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レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311942

作品紹介・あらすじ

正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。職場の現実から乖離した、その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。問われているのは民主主義の本分だ。独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。

感想・レビュー・書評

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  •  日本の労働の現状を分析しつつ、どのような政策を取るべきかを論じた本。

    ・三六規定(労働基準法第36条の時間外労働規制)は1週間の労働時間の上限(原則40時間)と定めているが、時間外労働を含めた上限を定める必要がある。

    ・日本は整理解雇(リストラ)の条件が非常に厳しく、個別解雇の条件が非常に緩い。そこで企業から退出を迫られることなく使用者に対して発言できる担保としての解雇規制を考えるべき。

    ・日本では均衡処遇=同一賃金同一労働の原則が適用されていない。これは同じ内容の労働に同時間従事しても、正規労働者か非正規労働者で賃金に格差が出ることである。

    ・2000年代に入ってもフリーターはバブル期と変わらない「夢見る若者」として扱われた。その中で非正規雇用問題も、アルバイトは「若者の就労意識の欠如」、パートタイマーは「夫婦間のアンペイドワークの問題」といった言葉で片付けられてきた。

    ・労働組合=正社員組合になっているのは危うい。非正規労働者を含めた集団的合意形成と共に、特定の人の利害のみを代表しない、使用者から独立した労働者代表組織が望まれる。

     この他にも、生活保護制度を救貧という観点でなく、就業促進を図れるものにするよう主張するなど、単なる人道主義に陥らないバランスの良さも評価できる点。

  • 「日本型雇用システムにおける雇用とは、職務ではなくてメンバーシップなのです。」

    目の覚めるような、全てが腑に落ちるような読んでよかったと思える、ためになる本。
     成果主義や能力主義などと取りざたされているけれど、ほとんどの企業では形だけの導入で、一番根本の「労働契約」のぶぶんは相変わらずあいまいな労務規定のまま。だから、成果主義が体をなしていないのが現状。
     子供が減り、景気が停滞して行きそうなこれからは今までどおりの「日本型雇用システム」は必然的に維持できなくなるだろう。
    これまでは、企業が社員を抱え込み定年まで面倒をみるという方針(終身雇用)。最後まで面倒を見る代わりに、転勤や長時間労働なんかも受入れてねっていう使用者/労働者間のギブ&テイクな関係だった。でも、それは成長経済だったからで。これからの企業は、さすがにそこまで面倒をみれなくなる。
     だから、企業が放棄した「年齢に相応しい生活を送るためのお金」を今度は国が負担する必要がある。
    ある意味「働くこと」という縛りからの開放でもある気がする。
     社会福祉と能力主義はセットで考えていかなければならないんだなぁと勉強になった。

  • 正規非正規の問題の根源を知りたいときに真っ先に読みたい一冊(和田)

  • 労働階層を研究してる先輩に勧められて読んでみたけど、難しかった…2015/12/24

  • 著者が労働政策に知悉しており、歴史的変遷や制度の考え方について大変参考になった。
    ただ、解決策を論じる部分では論旨が難解に過ぎ、かつ現実的なロードマップが示されていないように思えた。
    参考になる部分もあるが、いかにも役人の書いた本という感じ。(元だけど)

  • 日本型雇用慣行の成り立ちと、労働法からみた現代の雇用にまつわる諸課題を丁寧に解説してあり、非常に分かりやすい。
    終身雇用、年功的職能給制度、企業別組合、ホワイトカラーの長時間サービス労働などはすべて’日本型雇用システム’を支える重要なパーツであり、すべてつながっている。従ってどれか一つだけ変えようとしてもうまく行かないことがよく理解できた。これらはある意味日本文化の本質とでも言うものであり、一朝一夕には変わらないだろうが、いずれグローバルスタンダードに収れんしていくように思われる。
    いまは非正規労働者というカースト外の身分を作ってそこにしわ寄せすることで何とか外国勢と戦っているが、今後若年労働者が減少し、多くの老人を支えるべき高生産性を実現していくにはサステナブルなシステムではない。

  • 現在の労働法政と実態のギャップを挙げるだけでなく、解決策、今後の方向性も示している。歴史的背景から論じている点も私には納得性の高まる要素となり良かった。非常に充実した内容で勉強になる一冊。

  • 雇用システムの転換期だとおもう。働く者のルールづくりには、働く者が関わるべき。

  • とりあえずどこかで日本の雇用システムの変革と社会保障をしっかりしていかないといけないよね。

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プロフィール

*2008.11.17現在労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門

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