新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311942

作品紹介・あらすじ

正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。職場の現実から乖離した、その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。問われているのは民主主義の本分だ。独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年に書かれた本のため、内容が少々古いかもしれない。しかし、日本や欧米諸国における労働関連法の歴史的経緯からそれぞれの功罪が非常にわかりやすく書かれている。
    私が知る2013年以後の労働法や大きいところでは派遣法改正でかんじた違和感の背景が手にとるようにわかる。そして、これからの日本の在り方を濱口氏の主張を軸にしながら深く思考することができる。法律及びその運用や実務において、その主旨や哲学を理解することがいかに重要であるか、再認識した。濱口氏の主張の中には現実的でないものや違和感を感じるものも読む人によってはあるかもしれない。

  •  日本の労働の現状を分析しつつ、どのような政策を取るべきかを論じた本。

    ・三六規定(労働基準法第36条の時間外労働規制)は1週間の労働時間の上限(原則40時間)と定めているが、時間外労働を含めた上限を定める必要がある。

    ・日本は整理解雇(リストラ)の条件が非常に厳しく、個別解雇の条件が非常に緩い。そこで企業から退出を迫られることなく使用者に対して発言できる担保としての解雇規制を考えるべき。

    ・日本では均衡処遇=同一賃金同一労働の原則が適用されていない。これは同じ内容の労働に同時間従事しても、正規労働者か非正規労働者で賃金に格差が出ることである。

    ・2000年代に入ってもフリーターはバブル期と変わらない「夢見る若者」として扱われた。その中で非正規雇用問題も、アルバイトは「若者の就労意識の欠如」、パートタイマーは「夫婦間のアンペイドワークの問題」といった言葉で片付けられてきた。

    ・労働組合=正社員組合になっているのは危うい。非正規労働者を含めた集団的合意形成と共に、特定の人の利害のみを代表しない、使用者から独立した労働者代表組織が望まれる。

     この他にも、生活保護制度を救貧という観点でなく、就業促進を図れるものにするよう主張するなど、単なる人道主義に陥らないバランスの良さも評価できる点。

  • 「日本型雇用システムにおける雇用とは、職務ではなくてメンバーシップなのです。」

    目の覚めるような、全てが腑に落ちるような読んでよかったと思える、ためになる本。
     成果主義や能力主義などと取りざたされているけれど、ほとんどの企業では形だけの導入で、一番根本の「労働契約」のぶぶんは相変わらずあいまいな労務規定のまま。だから、成果主義が体をなしていないのが現状。
     子供が減り、景気が停滞して行きそうなこれからは今までどおりの「日本型雇用システム」は必然的に維持できなくなるだろう。
    これまでは、企業が社員を抱え込み定年まで面倒をみるという方針(終身雇用)。最後まで面倒を見る代わりに、転勤や長時間労働なんかも受入れてねっていう使用者/労働者間のギブ&テイクな関係だった。でも、それは成長経済だったからで。これからの企業は、さすがにそこまで面倒をみれなくなる。
     だから、企業が放棄した「年齢に相応しい生活を送るためのお金」を今度は国が負担する必要がある。
    ある意味「働くこと」という縛りからの開放でもある気がする。
     社会福祉と能力主義はセットで考えていかなければならないんだなぁと勉強になった。

  • ・日本型雇用システムの三種の神器→長期雇用制度(終身雇用制度)、年功賃金制度(年功序列制度)、企業別労働組合
    の3つだそうだ。

    ・男性正社員の過重労働の原因とは→彼らに課せられている過重責任。

  • 似た趣向の「雇用身分社会」と異なり、多角的に雇用を捉え、問題点を抽出している。
    企業が人件費の掛かる中高年層をリストラし、終身雇用制度が、崩壊した現在は、生活給制度は、崩壊しており、それら企業が負担していた育児、教育、住宅費については、政府が負担する必要がある。

  • 労働・雇用のシリーズインプット。紙の本に到達しました。

    京都〜白馬で読了。

  • 735円購入2010-11-18

  • 正規非正規の問題の根源を知りたいときに真っ先に読みたい一冊(和田)

  • 労働階層を研究してる先輩に勧められて読んでみたけど、難しかった…2015/12/24

  • 著者が労働政策に知悉しており、歴史的変遷や制度の考え方について大変参考になった。
    ただ、解決策を論じる部分では論旨が難解に過ぎ、かつ現実的なロードマップが示されていないように思えた。
    参考になる部分もあるが、いかにも役人の書いた本という感じ。(元だけど)

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著者プロフィール

*2008.11.17現在労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門

「2013年 『福祉と労働・雇用』 で使われていた紹介文から引用しています。」

濱口桂一郎の作品

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