和歌とは何か (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311980

作品紹介・あらすじ

たった三十一文字の歌のなかに、枕詞や序詞など、無用ともみえるレトリックが使われる理由とは?答えのカギは、「演技」という視点にあった-。身近な疑問を入口に、古典和歌の豊富な具体例をあげながら、千三百年も続いてきた文学形式の謎に真っ向から取り組む。歌の言葉と人が生きることの深いかかわりを読み解く、刺激的な一書。

感想・レビュー・書評

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  • Ⅰ 和歌のレトリック、Ⅱ 行為としての和歌 と題して、分かり易く解説しています。

  • [ 内容 ]
    たった三十一文字の歌のなかに、枕詞や序詞など、無用ともみえるレトリックが使われる理由とは?答えのカギは、「演技」という視点にあった―。
    身近な疑問を入口に、古典和歌の豊富な具体例をあげながら、千三百年も続いてきた文学形式の謎に真っ向から取り組む。
    歌の言葉と人が生きることの深いかかわりを読み解く、刺激的な一書。

    [ 目次 ]
    和歌は演技している
    1 和歌のレトリック(枕詞―違和感を生み出す声;序詞―共同の記憶を作り出す;掛詞―偶然の出会いが必然に変わる;縁語―宿命的な関係を表す言葉;本歌取り―古歌を再生する;和歌的レトリックとは何か―まとめの講義)
    2 行為としての和歌(贈答歌―人間関係をつむぐ;歌合―捧げられるアンサンブル;屏風歌・障子歌―絵と和歌の協和;柿本人麻呂影供―歌神降臨;古今伝授―古典を生き直す)
    和歌を生きるこということ

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    [ 参考となる書評 ]

  • 和歌を楽しむ人間としてではなく、「高校生に、受験の知識として教える人間」として、非常に感動的な本。
    和歌の技法を「単なる技法」としてのみ認識すると、生徒にとって「単なる暗記対象」になってしまう。それではまったく面白みがない。生徒たちはなぜ(一般的に)15〜18歳という人生にとって大切な時間を、そんな無味乾燥とした知識の詰め込みに使わなければならないのか。私たち教員はなぜ1000年以上の時を経てなおこの国に残っている(それどころか、今なお燦然と輝き続けている)和歌を、そんなつまらない知識に堕させるようなことをしなければならないのか。
    そういう気持ちで、「自分は大学で和歌を専攻したわけでもなく、在野の研究者というわけでもないのに、こんな教え方をしても良いのだろうか?」と悩みながらも、「これが生徒のためであり、和歌のためなのだ」と自分に言い聞かせながら(たぶん間抜けなヒロイズムに勝手に酔いながら)、「和歌の専門家」からすれば邪道と言われるだろうかたちで生徒に伝えてきた。
    しかし渡部泰明はこの本の中で、まさしく私の言いたかったことを示してくれていた。

  • 和歌とは演技性を持つ行為だ、というのが著者の主張の骨子のようだ。
    序詞や枕詞などのレトリックは、言葉を儀礼的な空間に呼び込むための技法だ、ともいう。
    そういった技法は言葉に二重の意味を持たせるものであり、声が重なるような感覚をもたらすものだと。
    歌の中で役割を演じながら、他者とのつながりを作り出す、ということらしい。

    こう書いていると、わかるような気もするし、ちっとも腑に落ちない気にもなる。
    本書では実際の和歌がやりとりされる空間のことも扱っていた。
    具体的には歌合せや古今伝授、屏風絵の歌など。
    こちらは具体性があり、読みやすい部分。

    やっぱり実際の歌合せや贈答の場面が見てみたいなあ。
    結局そういう感想に落ち着いてしまった。

  • 長年の学生への講義よって培われた論理と言葉だろうし、それだけ説得力も論理の迫力も感じられる。昔の干からびた文芸学ではなく、今の論理で、和歌の構造解釈に真摯に取り組んでいる。近代言語による和歌解釈の最も真摯な姿であると言える。特に、本歌取りや縁語、掛詞の背後に、「懐かしさ」を論じるあたり。
    しかし、近代言語による和歌解釈の達成とはいえ、それはやはり「近代」である。その「懐かしさ」の本源には近代的研究言語では決して辿りつけるものではない。「分かる」ことと「感じられる」こととは遥かなる距離がある。

  • 和歌は「演技」する文学であるという点と、掛詞・序詞などの文脈が重ならない言葉が「運命的」に一致するところに和歌の美があるのだという点、非常に面白かった。枕詞は、『日本書紀』では、神の言葉に萌芽的にみえるそうで、人類学的、呪術的な奥行きを感じさせる。第二部は歌合、人麻呂影供、古今伝授などの和歌の社会的側面に光をあてており、和歌をよむことは、演技をとおして、心を社会化する試みであり、その点で精神修養であり、「悟り」を求めることであり、為政者たる資格を証明するものであったという点も、たいへん面白かった。古典とはそういうものであろう。

  • 和歌は身近なものではない。
    和歌の詠まれる場に注目すれば、
    和歌の内容は、作者によって「演技され、理想とされ、社会に共有されるもの」である。

    それは儀式的空間を形成するものとして
    精神的状態の一種の憧れとして
    絵や美術と共鳴し合うものとして
    心的距離をもって接するものである。

    身近ではない。だからこそ、
    長い時代を生き永らえてきた。

    きわめて日本人的な、という但し書きはつくけれど、
    「和歌は、人の生き方に深く関わってきた。
    むしろ私たちの生き方そのものだ。」
    という筆者の説に、なるほど一理あり。

    むしろ、和歌コミュニティ拡大の過程が
    日本人的な社会観、価値観、思想の形成に
    大きく一役かっている。
    だから、「場にふさわしい」とか「無心をよしとする」とか
    人生を重ねてしまうのだろうと思った。


    歌合や、障子画や、歌集や。
    すごいな、和歌コミュニティ。
    感性が人生を為し、生き方が感性を為し。

  • 和歌における枕詞や掛詞、縁語などの解説。

  • とてもよくまとまっており、分かり易い本でした。これから和歌を学ぶ人にオススメしたいです。

  • S911.101-イワ-R1198  300037421

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著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は和歌史。
主な著書に『中世和歌の生成』(若草書房、1999年)、『和歌とは何か(岩波書店、2009年)、『中世和歌史論―様式と方法』(岩波書店、2017年)、などがある。

「2019年 『源実朝 虚実を越えて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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