シベリア抑留―未完の悲劇 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312079

作品紹介・あらすじ

敗戦直後、旧満州の日本人兵士ら約六〇万人がソ連軍に連行され、長期間の収容所生活を送った「シベリア抑留」。極寒・飢餓・重労働の中で約六万人が死亡したこの悲劇は、今も完結していない。衝撃的な史料の発見、日本政府への補償要求と責任追及…。過酷な無賃労働を強いられた帰還者らは、「奴隷のままでは死ねない」と訴える。

感想・レビュー・書評

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  • 1941年7月2日御前会議 情勢の推移に伴う帝国国策要綱 状況に応じてソ連と戦う

    司馬遼太郎 学徒動員で関東軍に→本土防衛のために帰国

    ジャリコーヴァ密約
    マリノフスキーの脳裏には、日本によるかつてのシベリア出兵があったことは間違いないだろう。…ソ連にとってもっとも苦しい時期に干渉戦争をいどんだ日本への恨みは、深く残っていた。

    日本側が兵士を労働力として差し出す?

    捕虜→恥 行政文書でも抑留者

    飢えが精神を破壊 馬糞の中の麦

    第ニシベリア鉄道と言われるバム鉄道の建設

    スターリンへの感謝署名 署名しなければ帰国できないと信じ込まされていた抑留者
    日本人同士の密告

    帰国 前期1946年から1950年 後期1953年から56年
    ソ連が連合国側であったため実態は伝わらず・プレスコード

    引き上げ船内部の異様な雰囲気 アクチブ吊し上げ
    赤い帰還者

    1956年10月 日ソ共同宣言 人質外交

    政治学者・岡本清一 帰国者はロシアの事情を知るはずもない。…平和がどうの、再軍備がどうのと言わせてみたところで何にもならないのである。

    斎藤六郎 全国抑留者補償協議会 1981年提訴

    池田幸一 蟷螂の斧(とうろう) カマキリの会

    抑留者3団体の対立 与党側、野党と協力したもの

    米英は捕虜は勇敢な戦士
    ミズーリでの調印式に捕虜を招待 万年筆を与え、その労をねぎらった。

    日本政府 補償、謝罪はしない。しかし慰めはする。
    自然災害に遭った人への態度

    モスクワに政治犯の犠牲者の墓苑 宇山禄郎

    「もっと話を聞いておくべきだった」そう後悔する遺族は多い。

    1991年 シベリアで遺骨収集開始

    バム鉄道 枕木1本につき日本人1人

    余りにも無関心、見捨てられた、薄情だ→日本政府に対する気持ち アンケート

    窮地に立たされた時にどう振る舞うかによって、その人間の本質が現われる。国家も同じだろう。

  • シビアな内容ながらすいすい読めるやさしい新書。
    シベリア抑留関連書籍の入門編という印象。

    うちの曾祖父もシベリア抑留経験者。
    直接話を聞く機会を持てないままに曾祖父が亡くなってしまったので、こういうたぐいの本から知識を集めていくしかないわけで。
    とはいえ、読もうと思った一番の動機は、“MGSのリキッドが好きで、元工作員や捕虜体験記をぽつぽつ読んでいるからその一環として”。

    シベリア抑留者の家族としても、液蛇好きとしても、たいへん興味深くたいへん勉強になる本でした。

  • 満州引き揚げあたりから丁寧に追ってくれると思いきや、抑留の話はあまり掘り下げてなかった印象?!山崎豊子の不毛地帯の方が何倍も壮絶さが伝わった。

  • 2009年刊。著者は毎日新聞記者。◆第二次大戦末、満州侵攻ソ連軍の捕虜となった日本兵と民間人。彼らの戦後の来し方を生々しく描く。◆まず、帰還者による国への責任追及・補償制度の制定は、現代も未解決問題である点を重く見たい。加え、ソ連の問題性はもとより、①そもそもかかる抑留を関東軍高官が許容し、それをソ連側に伝えた可能性がある点、②日本軍の階級が収容所でも維持され、結果、食事・労働等、下級兵士に多大な皺寄せとなった点、③所謂「民主化運動」、④帰還者を「アカ」と看做す根拠なき差別等多様な知見に彩られる。

  • 著者は、戦争体験者や遺族への取材に基づいた戦争関連の記事、著作を多く持つ毎日新聞記者。
    本書は、2008年の毎日新聞(大阪)の連載をもとに、新たな構成で書き下ろされたものであるが、著者は本書執筆の目的を、戦争のような国家としての窮地に立たされたときに、日本国家は国民に対して何をし、何をしなかったのかを辿ることであるといい、そのために本書の半分近くが、抑留が終わった後の時代を追ったものとなっていると語る。
    本書の内容を大きくまとめると以下である。
    ◆終戦後、ソ連によって強制抑留された日本人は、日本政府の推計によるとおよそ57万5千人。中には民間人3万9千人も含まれる。死者は5万5千人。但し、この数値はあくまでも推定で、日ロ両国の研究者・機関が示すものとして下限に近いという。抑留者の多くは、ソ連も参加したポツダム宣言の条項に反する、明白な国際法違反によって抑留された。
    ◆抑留者は飢え、極寒、重労働という三重苦を受け、多くの命が奪われた。
    ◆更に、理不尽な旧軍秩序への反発を引き金に始まり、ソ連側がソ連式共産主義・民主主義を植え付ける思想教育に利用した「民主化運動」は、日本人が日本人をリンチする吊し上げや、「アクチブ」と呼ばれた運動のメンバーと反対派が帰国後までいがみあう悲劇につながった。
    ◆1946年に始まった抑留者の引き揚げは、ソ連が貴重な労働力が減ることを拒んだこと、冷戦構造が明確になりつつある中で駆け引きの道具に使われたことから、協定通りには進まずに50年に中断。日本政府は「人質」を取り返すために、北方領土四島の不法占拠を許したままで国交回復を図らねばならなかったが、53年に大半の抑留者の帰還が実現した。
    ◆帰還者の中には「赤い帰還者」も一部にいたが、その影響で「シベリア帰りはアカ」とあからさまな差別を受ける帰還者は少なくなかった。
    ◆戦争に関する賠償請求権をお互いに放棄した日ソ共同宣言の締結により、補償をソ連に求められなくなった帰還者と遺族は、日本政府に補償を求めているが、政府は南方で米軍等の捕虜となった日本人に対して支払った強制労働の労賃を、シベリア抑留者には支払っていない。
    ◆敗戦直後の日本政府・陸軍首脳の間には、「国体が護持されるなら日本人を労働力として差し出してもいい」、「満州の日本人の処遇はソ連に任せる」との方針があったことが、複数の文書から明らかになっている。
    そして最後に、ある帰還者の「生還した戦友に「シベリアでは何をしてた?」と聞くと、食料係とか医務室とか通訳などですよ。うまく立ち回って、重労働を逃れた。誰かが代りにその仕事をさせられたんです。・・・我々生き残った者はね、加害者なんですよ」という言葉を紹介しているが、これは、フランクルが自らのアウシュビッツでの体験を綴った『夜と霧』の「いい人は帰ってこなかった」という呟きと同じもので、収容所での体験を持つすべての人々に残る最も苦しいトラウマなのではあるまいか。
    戦争の生んだ一つの悲劇として、語り継がれなければならないものである。
    (2010年8月了)

  • ソ連の満州侵攻からシベリア抑留,そして抑留された人の「その後」を描いた著作。シベリア抑留はソ連による戦争犯罪であり,日本国家による国民の「棄民」である。南方戦線でも多くの日本人が死亡し,打ち捨てられたままでいる。こうした政府の振る舞いは,今後も繰り返されるだろう。

  • 抑留者の苦労が偲ばれる内容。

  • シベリア抑留がどのような状況で行われたのか。
    実際どのような生活を送っていたのか。
    帰還者たちへの戦後補償など、
    帰還者のインタビューや日本、ロシアが出した資料をもとに書かれた本です。


    あまりにも知識が無さすぎて入門編として読んでみたのですが、時代背景もざっくりと書いてあり、わかりやすく、一気に読めました。

    夜の霧じゃないけど、極限の状況で人間性が崩壊していく様はとても辛いですね。自分だったらと置き換えるととてもそんな自信はない。

    また、捕虜としての教育など、日本政府や関東軍が日本人をモノとして扱っていた様子、
    戦後の補償でも日本政府が人権を認めないような対応をしていることにひどくがっかりさせられました。

    もっと勉強しようと思います。

  • 「不毛地帯」というドラマがあったなぁと思い出して借りてみました。
    断片的ではありますが、経験談を淡々と語られているのでわかりやすかったです。強制労働に加えて思想教育という名の洗脳があったこと、アクチブの存在など初めて知ることもありました。
    同じく捕虜となったドイツ人兵士との違いなども興味深かったです。
    帰国後の抑留者たちの国に対する補償を求める裁判は負け続け、今日まで満足な補償がされずに来たということで、サブタイトルの意味を理解しました。

  • 敗戦と満洲国の崩壊とともに発生したシベリア抑留について、
    その実態と抑留以後の取り組みが記したもの。
    ページ数の割によくまとまっていて読みやすく、
    インタビュー記事や挿し絵も多く雰囲気や気持ちがよく伝わる。
    入門に適した一冊。

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プロフィール

1967年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、同大学大学院政治学研究科修士課程修了(日本政治史)。1996年、毎日新聞社入社。横浜支局などを経て、現在、毎日新聞東京本社学芸部記者。著書に『戦艦大和』『シベリア抑留』『勲章』『遺骨』(いずれも岩波新書)、『特攻』(中公新書)など。

「2018年 『シベリア抑留 最後の帰還者 家族をつないだ52通のハガキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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