平家の群像 物語から史実へ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 155
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312123

作品紹介・あらすじ

「賢人」重盛、暗愚な宗盛、「運命の語り部」知盛、こころ弱き人維盛-。それぞれ『平家物語』の描きだしたイメージでよく知られる平家の人びと。しかし「実像」はどうだったのか。当時の貴族社会や合戦の現実に目配りしつつ、人物それぞれの動きを丹念に追うことで、新たな「史実」が浮かびあがる。歴史研究の醍醐味を味わえる一書。

感想・レビュー・書評

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  • 平家関連ですが、本のメインは清盛の孫維盛と五男重衡です。この二人が軸になっているので、今まで読んできた平家物語や平氏関連書籍とはまた違う歴史・史実が垣間見え、とても新鮮でした。平家物語で書かれている人物像と実際の人物像はかなり違うようで、平家物語はやはり「物語」なんだなぁとしみじみ感じました…。この本を読んで、宗盛や知盛の印象はかなり変わりました。平家物語や源平盛衰記ではカッコ悪い姿の宗盛、対照的に書かれている知盛ですが、実際の人物像は後世の人が作り出した部分が大きいようで、とても衝撃を受けました。新書で学術書ポジションだと思うので、気軽に入門書として手に取る方はいないと思いますが、ある程度平家物語のキャラクターや流れがつかめていないと難しい本だと思います。自分も人物相関図を睨みながらの読書でした。でも、新たな発見が多かった、いい出会いでした。

  • 平家物語の世界に慣れていると、重盛は知性の人、知盛は武勇の人、そして宗盛は愚人ということになりますが、著者はそれを徹底的に分析して、英雄・敵役を物語として語るために創られたものとして否定しているかのようです。そして 光源氏の再来と謳われた小松家の長男維盛、牡丹の花の猛将・重衡の2人に焦点を当てて、真相を探っていきます。「父太郎」と「母太郎」の対抗関係として、清盛と頼盛、重盛と宗盛、維盛と資盛などの関係が描かれておりますが、これなどは今までこのような見方を知らずに平家一門を見ており、新鮮でした。それにしてもこのような研究をすることの意味がどこにあるのか?といってしまうとオシマイなのでしょうね。私としては物語の登場人物の本当の姿の追究は実に楽しかったのですが・・・。平家政権が武士による最初の幕府だったという証明にもっと力を入れるとか、あるでしょうが。清盛が白河法皇の落胤という説を受け入れているということでも、この著者は随分捌けた人です。

  • 読了。

  • 平家の六波羅幕府が日本史上初の幕府とする高橋先生の清盛以外の平家の人々を描く作品
    物語と違い、学術的な検討が行われ平家の人々の違う一面を発見できます。

  • 清盛の弟や子供、孫、公家の平家の人間関係などからどう運命が変遷したかを分かりやすく記述していておもろかったー。

  • (2012.11.20読了)(2012.11.12借入)
    【平清盛関連】
    図書館の蔵書検索で見ると、岩波新書の棚にあって、貸し出しが可能になっていました。図書館に行って、岩波新書の棚を端から端まで、二度三度と探してみたけど、見つけることができませんでした。探し方が悪いのだろうと、プロに捜してもらおうと、ネットで予約を入れました。図書館員が本を確保し、その日のうちにメールで通知が来るはずなのですが、来ませんでした。メールの代わりに電話がかかってきました。
    本が傷んでいて、修理が必要なので貸し出しできないけど、近隣の自治体から借りる手続きをしたので、届くまで待ってほしいという事でした。
    1週間ほどして、メールで通知が来ました。川崎にいた時のようには、行きませんでした。川崎の場合は、近隣の図書館でも、1日か2日で、借りることができました。
    近隣の図書館から借りる仕組みがあるだけ、進んでいると、満足すべきことかもしれません。
    閑話休題。
    「平家物語」で描かれている平家の人々と、公卿たちの日記に書き残されている平家の人々とに、どのような違いがあるかを記した本です。
    『源平盛衰記』、『吾妻鏡』、それと『平家物語』のいろんな版による違いなどについても言及しています。
    「平家物語」を面白くするために、いろんな工夫が行われ、史実と異なる役割を平氏とその周りの人々に与えていることが、述べられています。
    そういう意味では、何らかの形で、「平家物語」を予め読んでから、この本に取り組んだ方がいいだろうと思います。

    【目  次】
    序章 清盛の夢―福原の新王朝
    第一章 「賢人」と「光源氏」―小松家の「嫡子」
    第二章 「牡丹の花」の武将―はなやぐ一門主流
    第三章 内乱の中の二人―平家の大将軍として
    第四章 平家都落ち―追われる一門
    第五章 一の谷から壇ノ浦へ―平家一門の終焉
    終章 さまざまな運命
    あとがき
    主な参考文献
    平家関連略年表
    主要人名索引

    ●源氏と平家(12頁)
    律令制では親王、三位以上の上流貴族の「家」は公的な存在で、家政を掌る職員(家令)が官給されていた。平安中期以降これらの家政機関は変質するが、公卿とそれ以下は厳格に区別された。当時の源氏と平氏を、源氏と平家と呼んでも源家と平氏とはいわない。語呂の善し悪しの問題ではなく、両者の朝廷における位置の高下差によるものである。
    ●重衡と知盛(84頁)
    (清盛の男の子どもは、重盛、基盛、宗盛、知盛、重衡、と5人で、宗盛以下が時子との間にできた子どもです。)
    重衡は一軍を率いる将師の器であった。同時代の確実な史料でも「武勇に堪ふるの器量」をうたわれている(『玉葉』)。こうして彼は「入道殿にも二位殿(時子)にも、おぼえの御子」(『平家物語』覚一本)だった。石母田正の名著『平家物語』の強い印象もあって、平家一門中では知盛の軍事指導者としての指揮ぶりに光が当たっているけれど、それは『平家物語』作者の物語構想に添った人物造型の結果、というべきである。
    ●鵯越の逆落とし(168頁)
    義経は七十余騎の別動隊を率い、険阻な鵯越を越えて平家軍を奇襲し、合戦の勝利に決定的な貢献をしたといわれている。たしかに『玉葉』にも、別働隊が北の「山方」から迫って大きなダメージを与えたと明記されているが、「多田行綱山方より寄せ、最前(真っ先)に山手を落とさると云々」とあるように、功は多田行綱をリーダーとする摂津武士たちに帰さなければならない。
    ●宗盛、知盛、重衡の最後(185頁)
    時子の三人の男子は、宗盛は乳母子を見殺しにし、知盛は乳母子と手を取り合って死に、重衡は乳母子に裏切られる。三者三様のふるまいであるが、辻本恭子氏によれば、家長は知盛の有力郎党であっても乳母子ではありえない。物語作者は、おそらくは木曾義仲・乳母子今井兼平の関係と、知盛・家長のそれを重ね合わせている。
    これに対して重衡の悲劇は乳母子に裏切られる、宗盛の怯懦は乳母子を見殺しにすることでより鮮明になる。これからしても後藤兵衛盛長は重衡の乳母子でなければならなかった。覚一本作者の人物把握はかくのごとくまことに周到であり、それゆえそれらは、史実とは別種の堅固なリアリティを構築できたのである。
    ●平家政権成立の意義(195頁)
    平氏系王朝の樹立をめざした
    鎌倉期以降盛んになる中国貿易、中国からの文化流入、技術移転の道筋をつけた
    鎌倉幕府のそれにつながる政治権力を創出した
    頼朝の歴史的評価は、幕府を創設したことにあるのではなく、平家の創りだしたひな型を踏襲し、その手法をより厳格、より本格的に追求した点に求められるべきである。

    ☆関連図書(既読)
    「平清盛福原の夢」高橋昌明著、講談社選書メチエ、2007.11.10
    「平清盛-「武家の世」を切り開いた政治家-」上杉和彦著、山川出版社、2011.05.20
    「平清盛 1」藤本有紀原作・青木邦子著、NHK出版、2011.11.25
    「平清盛 2」藤本有紀原作・青木邦子著、NHK出版、2012.03.30
    「平清盛 3」藤本有紀原作・青木邦子著、NHK出版、2012.07.30
    「清盛」三田誠広著、集英社、2000.12.20
    「平家物語(上)」吉村昭著、講談社、1992.06.15
    「平家物語(下)」吉村昭著、講談社、1992.07.20
    「海国記(上)」服部真澄著、新潮文庫、2008.01.01
    「海国記(下)」服部真澄著、新潮文庫、2008.01.01
    「西行」高橋英夫著、岩波新書、1993.04.20
    「西行」白洲正子著、新潮文庫、1996.06.01
    「白道」瀬戸内寂聴著、講談社文庫、1998.09.15
    「方丈記」鴨長明著・武田友宏編、角川ソフィア文庫、2007.06.25
    「鴨長明『方丈記』」小林一彦著、NHK出版、2012.10.01
    (2012年11月24日・記)

  • 系図や地図、役職の表など図が豊富でより深い知識を得ることができると思います。
    特に第3章〜5章ではあの有名な壇ノ浦の戦いまでの流れが詳細に記されており、日本史好きにはたまらない一冊だと思います。
    ただ一つ気になるのは本の題名です。
    私だけかも知れませんが、「群像」という言葉の意味が曖昧で本の表紙を見ただけでは読む気になれませんでした。
    目次を見て初めて平家の盛衰についての本であることを知りました。
    もっと分かりやすい題名の方が逆に印象に残ると思います。

    大河ドラマと併せてより深く学んでみませんか。

  • 平家物語に親しんでいて大体の場面とか人物ごとのエピソードを把握している人向けだと思う。重盛、維盛、資盛が好きな私にはすごく面白かった。

  • 様々な史料を駆使して平家物語の影響を排除して平家の人々や政権の性格を描き出そうとしている。今までも自分では平家物語はあくまでフィクションだということは分かっているつもりだったけど、jこれを読んで人物像とかかなり影響を受けていたことを再認識した。平家物語ではあんなに印象の強い知盛が実はそれほど活躍していなかったとかは今回初めて知った

  • 資料を参照した分析が主で、主観の少ない文章であることは好感が持てた。
    資料の抜き出しは、もう少しだけ、前後も入れて貰えるとよりうれしかった。

    玉葉本文を読んでみたくなった。

    侍大将と侍、大将軍との関係、隷属関係もわかりやすい。
    知盛の持病について、踏み込んだ分析をしている。

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