季語の誕生 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.43
  • (1)
  • (2)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 44
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312147

作品紹介・あらすじ

季語はどのようにして生まれたのか。従来は、花・月・雪などの題目が揃った平安時代の美意識に起源をもつといわれてきた。しかし、季語誕生の底流には、縄文人以来長い間に蓄積された生活意識が民俗的伝承としてあったのではないか。芭蕉を季語の歴史を変革した先駆者と位置づけながら提言する新たな季語論。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 雪・月・花。
    日本人が培ってきた四季の美しさの愛で方である。こう云ってしまうと、何とも薄っぺらな表現になってしまった。意外にも、こうした美意識は硬直的なものではなく、時代を経てできあがってきたものであり、また中国の意識を大和風に解釈し直してきたものだったということ。時代と環境に揺られながら、「侘び・寂び」を経て今世では「萌え・かわいい」につながる脈絡の源泉が見える。

  •  はじめに。歳時記は、京都を中心に編纂されてきた。それゆえそれは北緯三十五度にあらわれる四季にすぎない。京都にある時雨も霞も、稚内の浜頓別にはないのである。歳時記は、浜頓別の実景を離れた虚構の産物である。ならば実景に触れよう。実景から始めよう。そのときはじめて、実景から一尺上がったところに設定された舞台で、虚構は輝き始めるに違いない。

  • [ 内容 ]
    季語はどのようにして生まれたのか。
    従来は、花・月・雪などの題目が揃った平安時代の美意識に起源をもつといわれてきた。
    しかし、季語誕生の底流には、縄文人以来長い間に蓄積された生活意識が民俗的伝承としてあったのではないか。
    芭蕉を季語の歴史を変革した先駆者と位置づけながら提言する新たな季語論。

    [ 目次 ]
    1 季語の歴史―どう考えられてきたか(季語はどのように生まれたか―和歌の時代;季語の本意の成立―連歌の時代;季語の本意の見直し―俳諧の時代)
    2 季語の世界(雪・月・花という季語はどのように生まれたか;雪;花;月)
    3 季語再考―縄文人の生活意識から探る(いのちを感ずる;季語の見直しにむけて;季感の定着まで;はるかな縄文人の声)
    付録

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  季語はどのようにして定型化してきたので、あろうか。地域によって季語と季節に乖離のあることもあるが、どのように受け止めると良いのであろうか。答えを用意している意欲的な提案。

     季語の起源を縄文の生活意識からさぐり、平安時代の歌語が起源になって誕生したとする説(207p)を深化させる。他方で、「季語の地貌化という視点」(同)を掲げる。季語「平安貴族によって山城盆地を中心とする近畿文化圏の風土の中なかで誕生し、育まれたもの」が、江戸時代に芭蕉の旅の体験を通じて「確立した不易流行の造化感は季語のもつ拘束を自在にした」とも、読む。

     季語の中核に、花月雪があり、これに鶯と紅葉が加わる。季語は北緯30度ー40度地帯にあてはまり、遠く縄文の意識に拘泥される。読んでいて、わかりやすい。

  • 俳句の理解の幅が広がりました。
    単なる写生を超えて「現実の世界から1尺(30センチ)上がったところに舞台を設けて、そこでドラマを演じることだ」とは言いえて妙だと。

    雪と花はそれぞれのイメージを超えて関連することでより豊かな内容を持っているという指摘や、月が秋の季語となった背景についての考察は非常に面白い。

全5件中 1 - 5件を表示

宮坂静生の作品

ツイートする