本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004312161
みんなの感想まとめ
現代の社会保障制度の課題を深く掘り下げ、特に日本型の制度が抱える男性中心の働き手モデルの限界を指摘しています。スウェーデンの制度との比較を通じて、より包括的で現代に即した生活保障の必要性を訴えています...
感想・レビュー・書評
-
日本型の社会保障制度が、男性が働き手として家族を養うことを基本に設計されているので、現代の状況にあわなくなってしまっている。
スウェーデンの仕組みのことなど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◯生活保障、社会保障と雇用政策との相互連携にという観点で、福祉国家の分析を丁寧に行なっている。
◯政策のフレームの議論中に、「生きる場」という、なんとなくエモーショナルな概念を持ってきたところが印象的で、福祉的な視点も含まれてきて新しく感じた(聞くところによると、政治学の世界では珍しいことではないようだが。)。
◯新書という性質上難しいかもしれないが、政策提言の部分をより詳しく充実してもらえれば、よりこちらの学びもますように感じた。 -
S364-イワ-R1216 300053394
(岩波新書 新赤版 1216) -
「生活保障」が「生活保護」と違うことは、何となくわかった。金銭的援助だけの生活保護では不十分であり、皆が意欲を持って生きがいを感じながらフレキシブルに働けることが理想であると思う。
さすが岩波新書、内容がお堅い。しかも大学院教授(政治学博士)の著作だけあって、大学の講義を聴いているようだった。お世辞にも内容を理解したとは言い難い。数年前の新聞書評欄で「分かち合いの経済学」とセットで紹介されていたのを、セットで購入したままとなっていた。
数年間もの積読書籍であったところ、何とか消化したい、スッキリしたい気持ちだけで、ようやく最後まで目を通した。ほとんど斜め読みであったが、ページは飛ばさずに繰ることができた。手垢をつけた程度というところか。
2015年は、「積読書一掃イヤー」として、読みたい本の合間に、積読書籍(ほんの数冊だが)にも手垢をつけていくことができればいいと思っている。 -
授業の参考図書ではじめに,1,2章,おわりにを読んだ今までの生活保障のやり方を解体し新たな保障が必要と述べてある。
現代の大きな政府を好むが、税徴収は望まない家計の矛盾を改めて実感し、非正規雇用の危うさもよくわかった。
政策と家計が乖離しないようより一層の政治参加が求められると思うので、政治に関心を持ちたい。 -
雇用と社会保障を結び、社会的包摂を目指す論調は新鮮。考える土台とすべき統計データとこれまでの施策が豊富に紹介されている。
しかし、雇用に関して世界が同時に行き詰まっているからか、決定打となる政策集を描くことに成功しているとは言い難い。示唆はあるのだが。
本書の範囲を超えるが、働くことの意義を深める必要性を感じた。
・パート・アルバイトの21.9%、派遣労働者の17.2%が配偶者の厚生年金を含めていっさいの公的年金に加入していない(平成18年版労働経済の分析)
・日本の失業者の内、失業手当を受給していないものは77%、アメリカは59%、ドイツ6%と大きな差がある(ILO、2009)
・国民健康保険は低所得者の加入者が多いほど保険料が高くなる。寝屋川市の場合、世帯所得200万円の4人家族の保険料は全国トップの年間約50万円(2008年毎日新聞)
・生活保障は所得保障ではなく、人びとが他の人びとと結びつくことを可能とし、生きる場を確保する見通しを提供できるものでなければならない。
・P19,日本人が信用する対象:1.家族、2.天気予報、3.新聞。スウェーデン人:1.医療、2.警察、3.大学
・政府に対する信頼の強さは、市民相互の信頼の度合いに比例する。
・所得制限などをせずに全ての市民に提供される普遍主義的な社会保障や公共サービスに接するとき、政府と他の市民に対する信頼が高くなる。
・子ども手当は家計に一息つかすことはできるが、保育サービスなど就労支援などと一体化して、雇用拡大につなげなければ財源を確保できない。
・今だけでなく将来に向けた安心とリンクしなければ、現金給付は預金に回る。
・広範な権利保障を主張する陣営に限って、国家権力の縮小を求める傾向が強かった。
・初めてついた仕事が非正規であった男性は1982年から5年は7%だったのに、2002年から5年は31%に。
・1968年の永山事件は社会からの差別的なまなざしが彼の自由を奪ったが、秋葉原事件はまなざし不在の地獄の中でおこった。
・スウェーデンでは1971年に所得税を夫婦合算非分割の世帯単位の課税から個人単位にして、女性の就労を促した。
・教育休暇制度
・日本では現金給付というと就労意欲をそぐと言われているが、スウェーデンでは、頑張って働けば賃金が上昇し、社会保障給付も上昇する。
・日本の最低賃金はOECDの中でも低い。フランス60.8%、イギリス41.7%、アメリカ36.4%、日本は32.9%がフルタイム平均賃金に対する最低賃金。背景は男性稼ぎ主が中心ということ。
・第6次産業
・参加支援は翼の保障。日本型の殻の保障ではなく。
・ドイツの育児休暇中は所得比例型の手当。出産、育児と就労、キャリア形成をともに奨励していることになる。
・日本の生活保護自立支援プログラム:140万人の受給者。プログラムの対象者5万6000人。実際の支援開始7300人。就職者3000人。
・日本では事業主の社会保険料負担が相対的に小さく、GDP比で、4.5%(2002年)。フランス11.4%、ドイツ7.3%。
・「貧困はなぜ生じるか」日本では、社会の不公正が原因と答える人の割合がOECDで一番小さい。 -
賃金や所得保障だけでなく、社会の中に居場所を見つけることが大事。派遣では、その居場所がない。
福祉重視と小さな政府は成り立たない。政治不信行政不信が関連している。
政府に対する信頼の強さは、市民相互の度合いに比例する。福祉国家になると人々相互の結びつきが強くなる。
すべての人に適用される公共サービスは信頼されるが選別的な制度は不信を生む。
日本は雇用保障があったがそれが崩れた
スウェーデンは就労原則(皆が働くべき)がある。公正感の確保タダ乗りは許さない。
労働移動を進める。同一労働同一賃金。
デンマークのフレクシキュリティ。デンマークは失業を怖がらない。
大きな社会保障支出は経済活力を奪う、か。
スウェーデンも雇用なき成長へ。職の減少。失業の長期化。
ベーシックインカムは、定期給付か一括給付か。定期給付は生活のクッション、一括給付は成功への発射台。
一定の時期にまとまったお金を給付する。
トービン 給付付き課税。一定までは給付が多い。
還付金付き消費税。
スウェーデンは高齢者にも就労倫理が根強い。支給繰り上げは上限年齡撤廃。
スウェーデンの年金制度=拠出は固定。保険料を老死で折半。給付は、その年の平均余命で計算される。 -
はじめにー生活保障とは何か
第1章 断層の拡がり、連帯の困難
第2章 日本型生活保障とその解体
第3章 スウェーデン型生活保障のゆくえ
第4章 新しい生活保障とアクティベーション
第5章 排除しない社会のかたち
おわりにー排除しない社会へ -
変化への対応が遅いことと、社会への参加を促すような保障制度になっていないことが現行制度へのもやもやの要因か。スウェーデンの社会保障の内容がメリット・デメリットの両面から分かってよかったです。
-
-
正直かなりベーシックインカム、アクティベーションの勉強になった。
-
北欧のActivation政策や日本の社会構造など、具体的な内容に踏み込んで生活保障を説いた本。
-
「翼の保障」と「殻の保障」の例え話はおもしろいと思った。
個人的には日本には小さな政府になって頂きたいのだが。
備忘録
◆生活保障とは、最低生活の保障というニュアンスではなく、もっと大きな社会設計の根本にかかわる言葉。
◆もともと社会保障はさまざまな格差を修復される事が期待されていたが、むしろそれを固定化し、拡大している。
◆排除には「制度的な排除」「実質的な排除」がる。
◆新しい生活保障の形成には4つの条件がある
その4つとは、柔軟性、就労を軸とした社会参加の拡大、補完的保障、そして合意可能性
◆雇用と社会保障の新しい連携のモデルとして、雇用と直接かかわる政策領域は機能別に4つに分けられる。
参加支援型、働く見返り強化、持続可能な雇用創出、雇用労働の時間短縮と一時休職
◆この4つの領域における政策それぞれがしっかりと機能を果たすことにより、雇用の「場」が持続的に提供され、「人」をその場に結びつけることが可能になる。 -
社会のありようを働くという視点から捉えた本。
男性中心の終身雇用など企業に頼った雇用保障やそれに合わせた社会保険制度が崩れている。
筆者は「4つの橋」論を提唱し、
性別や年齢関係なく、
働いたり学んだり休んだりを選択できる社会を提唱している。
内容でいちばんひっかかったのは
不安定で満足な収入を得られない仕事が
貧困だけでなく
人の承認される場や生きる意欲を奪っているということ。
働くことと生きていくことの切り離せない繋がりを考えさせられた。 -
アクティベーションの視点に立った生活保障が必要。Ⅰ参加支援Ⅱ働く見返り強化Ⅲ持続可能な雇用創出Ⅳ雇用労働の時間短縮・一時休職。スウェーデン型かモデル。
-
雇用の問題と社会保障の問題は結び付けて考慮されるべきとの主張。男性の正社員安定雇用が前提となってきた日本の社会保障は、その前提が崩れた今、機能を失っている…そうなんだろうなぁ。足元の「一体改革」とやらは十分な議論を国民に問うているのでしょうか。
-
どうやれば、みんなが幸せになることができるのでしょうか。
そういえば管元首相が「最小不幸社会」なんて言っていましたね。
で、「最大幸福社会にすべきだ」とか、「今の首相は自信を無くしている」なんて言われていましたね。
この本が発行された2009年秋は、総理が麻生さんから鳩山さんに変わったころでした。
「いま政治が熱い!」と、みながニュースに噛り付いていた時期でした。
2008年のリーマンショックで景気が後退して、だれが世界の、あるいは国のリーダーシップをとっていくんだろう。どうすれば国がよくなるんだろうかと。
話は逸れまくりましたが。
6pの、母子世帯の貧困率が66%で、就労しているひとり親の母親のうち43.6%が非正規雇用、というデータにはびっくり。
男女共同参画とかいいつつ、ジェンダーで不平等があるのが現状なんですね。
それから、10pの保育の話。
行政サービスの地域格差は前々から知っていたのですが、たとえば保育料。
東京都渋谷区が月額1.13万円、北海道夕張市が5.35万円。
改めて数字で見直してみると、かなり差がありますね。
何度も繰り返し書かれていたことで、政治への不安から、人々は「大きな政府」がいいけれども、「負担増は嫌」という態度をとっています。
低所得者にばっかり給付されて自分たちには回ってこない、タダ乗りがいる、などで中産階級が税金引き下げを訴えるという話。
正社員が優遇されすぎ、保証を受けている人は甘やかされているなど、諸悪根を誰かに押し付けようとする話。
どうすればいいんんでしょうかね。
セーフティネットが意味をなしていない、そもそも綱渡りの縄(=雇用)が不安定だったり、途中で切れていたり(=契約社員、リストラ)、細かったり(=給与が乏しい)。
給与もさみしい、人とのつながりも弱い、そして孤独へ陥り、生きる気力を失う若者たち。
現代の若者の一人である私にとっても、明日はわが身の話です。
北欧モデルは、よく絶賛される。
でも、リーマンショックで失業者が増え、就労支援をしても雇ってくれる企業が少なく(だってそもそも首を切っているから)、「どーすればいいの、オレ?!」な状況に陥っていることも事実です。
それから、年金・就労支援・育児支援・税制をトータルコーディネイトしてあの体制が成り立っているのであって、いいとこどりでそのまま日本に流用するというのは土台不可能であるということも、この本は指摘しています。
ヨーロッパでは、一度社会に出て、自分の適性を見極めてから大学に行くという人々もいる。
生涯を通じて学習する人もいる。
すっごくうらやましい。
でも、日本でそれをやるのはなかなか難しい。
中途採用はイレギュラーだし、高等教育に対する試験は薄くてほとんど自腹だし、日本社会が長らく男性の稼ぎ手が家族を扶養し妻が育児や介護を担うという社会だったから、なかなか世間の認識や仕組みは変わらない。
結局、社会について考えるとき、ある一面からだけで考えるのは無理なんですよね。
広い視野と、「こんなのどうかな」と新しいアイディアを生み出す発想力、それが必要なんじゃないかなと思います。
今も、これからも、ずっと、いろんなことを勉強したい、視野を広げたい、考えるだけでなく行動できる大人になりたい、そう思いました。 -
生活保障や社会保障を雇用と結び付けていく必要があるというのが筆者の主な主張であるように思える。
そのための例としてスウェーデンやデンマークなどの政策を取り上げているが、これらの国と日本とでは税制度も違えば国民の意思も違うから政策をそのまま採り入れればよいと言うものではない。なにより近年は環境の変化によりその政策も効果を無くしてきている。
日本国民の意思の多くは福祉国会を望むのに増税は望まないのは国民の行政への信用が薄いためであるというのが筆者の見解のような気がする。
日本はまず国民の信頼を取り戻すことから始めるべきなのだろう。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
宮本太郎の作品
本棚登録 :
感想 :
