グリーン資本主義 グローバル「危機」克服の条件 (岩波新書 新赤版 1221)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312215

作品紹介・あらすじ

二〇〇八年以来の世界同時不況と深刻化する地球温暖化-両者のかかわりをどうとらえ、打開への道をどう描くか。著者は、「経済成長か、環境保全か」ではなく、「経済のためにこそ環境を」と主張。その具体的な構想と政策にもとづく脱石油・低炭素社会への展望を示し、新しい経済システムとしての「グリーン資本主義」を提起する。

感想・レビュー・書評

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  • 序章 グリーン資本主義革命
    第1章 「環境の世紀」の幕開け
    第2章 二〇世紀の意味を問い直す
    第3章 高まる気候変動への関心
    第4章 国際金融危機と世界同時不況
    第5章 日米両国の政権交代
    第6章 経済成長のパラダイム・シフト
    第7章 人類の生存を脅かす九つの危機
    第8章 気候変動の緩和策
    第9章 グローバリゼーションの曲がり角

  • 【由来】
    ・アテネの最終日で

    【期待したもの】
    ・「宇沢弘文のメッセージ」を読んでて気になった。

    【要約】


    【ノート】
    ・あまり宇沢さんへの言及はないみたい。

  • 地球温暖化対策が景気を悪化させるという人がいるが、全く逆で、温暖化を防止する中で新しい産業が生まれ、そこから景気の良循環が始まると著者は主張している。そして、オバマ大統領が推し進めるグリーン・ニューディール政策については、自分がかねてから主張していたことが実際にスタートし結果に大変期待されている。景気の底はついた。今は上昇傾向だ。そのきっかけを与えたのは中国。中国に投資し、特に内部に住む人々の消費を喚起することで、日本からの輸出が増え、お金が動き出す。日本内部で公共事業にお金をかけただけでは、経済の流れは良くならない。グローバル・ケインズ主義。本書の中で数字をうまく操って、数字に弱い人々を信用させ、思うように動かしていく、そういうような官僚の話が出てくる。(いや官僚自体が数字に弱いと主張していたのだったか?)数字に弱い人ほど、数字の力を信じやすい(だまされやすい)。細かい数値ばかり気にしたりしている。どこの世界でも同じだ。地球温暖化についてはいろんな人がいろんな数値を出していろんな主張をしている。どれをどう信じてどう行動していくのか、うまく頭を使わなければいけない。

  • レポート課題で読んだだけです。

  • 経済成長戦略と環境問題を対立して考えるのではなく、環境問題の克服こそ次の経済成長の源泉であると論じた本。

    脱石油、低炭素化社会へ具体的な道筋を述べている。
    例えば波及効果の多い自動車産業に変わる産業として、環境、エネルギー(スマートグリッドの普及)等の産業を育成することがある。

    一貫した主張と共に、具体例、数値が豊富で読みやすい良書。

  • 著者は、計量経済学の専門である。
    環境問題は、人類にとって、喫緊の課題である。
    環境関連投資は、経済成長にとってマイナスではなく、プラスである。オバマ大統領の経済施策「グリーン・ニューディール」はまさに環境関連投資によって、有効需要を産出し、経済成長も成し遂げようとするもの。
    特に地球温暖化対策は、待ったなしの問題である。
    日本も世界に対し、リーダー・シップを図るべきだろう。
    現代の環境問題について、理解が深まった。

  • 地球温暖化と、経済問題を含むその他の世界的な危機を同時解決する処方箋として、<span style='color:#ff0000;'><u><b>グローバル・ケインズ主義の提唱、グリーン・ニューディールの推進</b></u></span>を主張する。span style='color:#0000ff;'>世界の供給力が有効需要を超過</span>している状態
    (3)一方、発展途上国では温暖化の海面上昇、干ばつ洪水、衛生問題など<span style='color:#0000ff;'>人類の生存危機を招来しかねない問題の発生</span>を未だ孕む

    これを解決するために、
    (1)世界的には、新興国・発展途上国における耐久消費財の着実な普及を促進する<span style='color:#0000ff;'>グローバル・ケインズ的な施策と、先進国におけるグリーン・ニューディール政策の組合せで、先進国から新興国、途上国への資金の流れを構築</span>
    (2)我が国では、?グリーンカラー・ワーカーズの創出、?スマートグリッドの巨額の公共投資、?エコ製品の開発による個人消費押し上げ、?排出枠取引制度による企業のグリーン化推進、?企業がCDMをしやすくするように、認可プロセスの簡素化、クレジット買上げ約束とその原資となる環境税導入

    といった提案を行う。
    *****
    総論として綺麗であるが、厳しい削減目標の設定とそれに伴う制度導入で、勝ち組産業と負け組産業が出ることもまた確実。

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著者プロフィール

滋賀大学前学長。京都大学名誉教授。専攻は計量経済学、エネルギー・環境経済学。
『経済学とは何だろうか』(岩波書店)、『佐和教授はじめての経済講義』(日本経済新聞社)、『レモンをお金に変える法』(翻訳、河出書房)など、著書多数。

「2020年 『12歳の少女が見つけたお金のしくみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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