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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004312246
感想・レビュー・書評
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マルコムXは、白人は悪魔であるとか、投票か弾丸かとか、過激な主張が目につくが、実際に暴力を振るったことはなく、横暴な警察に対する暴動を制するなどむしろ抑制的な立場であったのか。もっとマルコムに関するいろんな本を読みたいと思う。
最近、経済や経験の格差、搾取、環境問題などに立ち向かっていくためには、どのように行動すべきなのかを考えている。
この点で、マルコムが何に影響を受け、どのように変化し、何を成し遂げ、何を成し遂げられなかったのかをザッと概観するのにいい本だった。
オバマが就任するタイミングで、将来への希望を持って書かれた本というのが切ない。
結局キング牧師の主張した統合では根本的な解決には至らず、人種間だけでなくイデオロギーや経済的な分断が加速している現代において、マルコムの思想はどのように生きるのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカのブラック・ムスリムの伝道者マルコムXの評伝。キング牧師の非暴力主義や統合主義に対して、武力抵抗を辞さない過激主義や「黒人国家」建設を目指す分離主義が揶揄・非難されがちだが、本書ではアメリカ黒人の公民権の獲得にとどまらない普遍的人権の確立を目指した先駆性を強調する。両大戦間期の黒人解放運動・思想と日本の黒龍会との関係に言及しているのが興味深い。
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マルコムXは刑務所図書館で勉学に励んだ黒人解放の指導者という認識だった。読んでみて思ったのは純粋で処世術に不器用な人だったということだ。だからこそ支持する方々がたくさんいたのだろう。
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キング牧師との対比人物として描かれることの多いマルコムX。その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。
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2008年、ヒラリー・クリントンとバラク・オバマがアメリカ大統領の座を争っていた
時、
私はヒラリー・クリントンが勝つのではないかと思った。
政党や政策、選挙運動の巧拙とは関係なく、
ただ漠然とアメリカに「黒人大統領」が誕生するのはまだ早い気がしたからだ。
たとえ、オバマ氏が奴隷とされていた祖先を持たないとしても。
しかし、オバマ大統領が誕生した。
それは米国史上、本当に画期的なことだった。
そのオバマ氏が大きな影響を受けていた人物がマルコムXだとしたら、
それは大変、興味深いことだった。
なにせ、恥ずかしながら、
マルコムXはブラック・パンサー党のリーダーと誤解していたぐらい、
私には知識がなかったので。
それぐらいの初心者に丁度良いぐらい、
難しくない内容だった。
マルコムXの伝記という側面もあるが、当時の思想的流れも書かれている。
中西部の白人ばかりの学校で良い成績をおさめていたこと、
刑務所で聖書や名著を読んで勉強したこと、
聖地巡礼をしたこと、といろいろなことが印象的だった。
マルコムX自身は暴力的でもなければ、
宗教団体のスポークスマンではあったがエキセントリックでもない
ということもわかったし。
もっとも印象的だったのは、
著者がマルコムXが暮らした家を訪ねて、甥の話を聞けたエピソードかな。 -
マルコムXの概要を知りたくて読んだ。
色々と話が飛ぶので理解しづらい点もいくつか。
マルコムとキングの活動をそれぞれ
「アメリカ社会からの分離」と、
「アメリカ社会への統合」という、
方針の違いで見るのは勉強になった。
大きな視野でアメリカ・アフリカンの問題を
考え始めたマルコムXがもう10年でも生きていたら、
どうなっていたのだろうと思う。 -
【なんでも芋】
白人の価値観に左右されるな誇りを持て、と激しく彼らを鼓舞したマルコムXについての話の本です。
福岡国際大学:nao -
マルコムXに関して知りたく短いので選んだ。ほかにも読まないと語れない。イスラム教を布教した組織の重要人物となった人であるが、当時のアメリカにあった根強い黒人への差別に対して「目覚め」を与えたという点が大きく、イスラム教の教えとはやや異なる部分も感じた。
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マルコムXの伝道師としての成長と、その主張内容の変遷をたどる一書。
初期の荒唐無稽に聞こえる主張から徐々に人権活動家に
目覚めてゆく様は見ていて面白い。
ネイションオブイスラムと別れたのちの
アメリカの矛盾を鋭く、時に激しく主張する活動家としての面が
今のマルコムX評を形作っているんだと強く感じた。
本書はかなりマルコムXに傾倒しているように感じられ、
好解釈すぎるのではと感じる面も時にはあるが
内容としては無理のない範囲でまとまっている。 -
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岩波新書はクオリティが高いな。純粋な人柄だったというのがよく伝わってきた。
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[ 内容 ]
アメリカの「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師として熱烈な説教で人気があったマルコムX。
彼はキング牧師の「公民権運動」を批判しつつ、より普遍的な人権の獲得を主張して、一九五〇~六〇年代黒人運動の指導者として活躍した。
その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。
[ 目次 ]
第1章 マルコム少年―家族の背景とガーヴィー主義
第2章 「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師
第3章 言葉の人間・その演説
第4章 アフリカの鼓動を共有する
終章 マルコムXの遺産
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
私はまず、〜Xという名の意味すら知らなかった。
だってよくいるじゃん、ヒップホップに、sadatXとか Movement Exとか。日本ならトコナX、ノリシャムXとか。
とかいうところから入り、彼がキングと違う意味での指導者だったという事など、私のニーズにはぴたりとはまりました。 -
マルコムが暴力的だというのはやはり作られたイメージだった。正当防衛の意味で暴力を否定しなかった彼は白人こそ悪魔であり、黒人は被害者であるとし、黒人は自らの歴史を学ぶ事で、そのプライドを取り戻すべきだと主張した。彼がイスラム教徒であったのも興味深い。彼やキングの動きが、やっと実を結びオバマは生まれた。
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本書を読むまでの知識は「キング牧師=穏健、マルコムX=過激」
読むきっかけは、「オバマ=Xの強い影響」と知ったこと。
キング牧師と比べXは過激。しかし、その真意を知ることで、過激な発言は必要だった、そう思うようになった。言葉は武器になる。
白人への憧れを捨て、黒人の誇りを訴えるようになる。
Xの苦悩しながらも、成長する姿、特に思想面での成熟には、感動し、刺激を受けた。 -
もっぱら戦闘的なイメージで捉えられていたマルコムXだが、実際に暴力に訴えたことはなく(だから、彼は喋っていただけだという批判もある)、もっぱら黒人の自己に対する信頼の回復と奴隷根性から脱却することを訴えてたことが強調されている。
八年に及ぶ刑務所内での独学で、「失楽園」「白鯨」あるいはシェークスピア、プラトン、アリストテレス、カント、スピノザ、ショーペンハウアー、ニーチェなどを学んでいたという。それらから言葉、特に即興的な言葉を操る達人、アジテーターとしての資質を伸ばした。
第二次大戦前に日本人サトハタ・タカハシが黒人と共闘を試みようとしたり、真珠湾攻撃を一部黒人が白人文明の終わりの始まりと捉えていたというあたりも興味深い。 -
話がぴょんぴょん跳ぶので、「マルコムXって何をしたの」というのがいまひとつよくわからない。冷静な書き方が急にマルコムXに入れ込んだ書き方に変わったりするので、思い入れが激しすぎるのかもしれない。であればいっそ、激しい思い入れをそのまま書いてもらった方がわかりやすい。
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マルコムXの生涯を辿る1冊。少年時代から暗殺されるまでの人生を、家庭や社会の環境、マルコムXに関係する人々、マルコムXのスピーチの内容をもとに描き、最後に、未来のアメリカやオバマ大統領に通じるものを分析している。
一言で言えば、マルコムXがいかに純真な人であったかが分かる。ただその純真さゆえに、メディアによって虚像が作られ、誤解され、また組織(ネイション・オブ・イスラム)に利用され、捨てられてしまうといった部分が興味深い。特にp.102「ヤヌス的メディアの権力と暴力」の部分は、メディアが偽善的で、巧みに人々の恐怖を煽るやり方が恐ろしいと思うし、現代にも十分通じるものがある。また、少年・青年期のマルコムに影響を与えた異母姉のエラという女性も魅力的で、マルコムXという人がいかに作られていったのかを知ることができる。(09/02/15) -
スパイク・リーの映画『マルコムX』をご覧になりましたか?もしまだなら、ぜひ一度。そこに描かれているマルコムXは、彼のすべてではありませんが、良質のエッセッスが詰め込まれています。わたしたちは、何度でもマルコムXに立ち戻らなければなりません。彼が暗殺された1965年からすでに45年も経ち、あるいは奇しくも同じ39歳で凶弾に倒れたキング牧師の1968年の暗殺からも42年を経ましたが、一見、オバマ大統領の誕生など表向きは人種の壁など無くなったかのように錯覚しがちですが、もちろん黒人が乗ってはいけない電車や黒人が入っていけないレストランが今はある訳ではありませんが、明らかに厳然として人種差別は根強く続いていて、黒人の貧困からの脱出は何度でもマルコムXに立ち返ろう
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2010.02.07 日本経済新聞に掲載されました。
著者プロフィール
荒このみの作品
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