同性愛と異性愛 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2010年3月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312352

作品紹介

日本は同性愛者に寛容というのは本当だろうか。なぜ「見えない」存在なのか。エイズ問題や公共施設の利用拒否事件、ある殺人事件などを題材にしながら、異性愛社会に染み付いたホモフォビア(同性愛嫌悪)の諸相を描き出す。また、同性愛者が肯定的に生きていくための取り組みも紹介。同性愛者から見た、もうひとつの日本社会論。

同性愛と異性愛 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • セクシャルマイノリティの立場について、時代ごとの変遷が記述されています。

    同性が好きというだけで殺されたり、精神異常者として治療の対象とされた過去。今の日本も差別や偏見が多いとはいえ、過去と比べるといくらかは権利が認められ、前進しているのだなと感じました。

    またエイズの流行がセクシャルマイノリティへの「迫害の加速」、セクシャルマイノリティ自身の「前進の起爆剤」となった、相反する両面性について触れられていたことも興味深かったです。

  • さくっと概要をおさえられる新書らしさが魅力、そのぶんさらっと流してしまった… セクシュアリティやジェンダーがいかに社会において可視化されにくく課題を持ち、偏った規範によって排斥されているか、ということを改めて思う

  • つい最近まで、同性愛者は広辞苑で「異常性欲者」と定義付けされていたという。またこの本の中で取り上げられている「青年の家利用拒否裁判」は、同性愛者が常に"性的な"存在として見られてしまうことがその問題の根底にあるだろう。"普通の"異性愛者と"異常な"同性愛者、という構図が根強く存在するからこそ、同性愛者は自分の性的指向を隠す。そして闇に潜り、一人もがき苦しむ。
    同性愛者の問題がエイズ、裁判、社会的偏見など様々な視点から論じられる。なるほど、世間がいかに"普通の"異性愛者を基準にして作り出されているかが分かる。このような状況は、何も同性愛者に限らず、この社会におけるマイノリティと呼ばれる人々にも通じるものがあるだろう。
    同性愛の歴史や葛藤だけでなく、普通というものがいかにマジョリティの普通に過ぎないかがよく分かる一冊。再読したい。

  • 「日本は同性愛に対して昔から寛容だった」とたまに言われますが、果たして本当にそうなのか? という問いに答えてくれる本です。

    あとがきでも書かれていましたが、パートナーがいるかどうかを尋ねるときに必ず「彼女はいる?」「彼氏はいる?」という聞き方になる、という点からして、僕らは日常的に異性愛をノーマルなものとして考えているんですよね。

    そうした日常的な感覚に、刺激を与えてくれる良作です。

  • 実際の事例も細かに記されていて、内容の把握がしやすかった。「性同一性障害」と「同性愛」は何が違うのか、などの基礎的なことについても分かりやすく頭に入ってくる。まだまだ、自分自身の考えの足りなさや知識不足を感じさせてくれた本だった。

  • 「愛」を「生殖」に従属させるという発想が、そもそも即物的なイデオロギーだ。「種の保存」だとか「本能」だとか、誰が言い出したか知らない匿名のテーゼに束縛される必要は全くない。

    生殖可能性を根拠に「異性愛+結婚=自然、同性愛=逸脱・病気・犯罪」という異性愛主義(heterosexism)と同性愛嫌悪(homophobia)が"正当"化される。恣意的なジェンダー規範の強制から自由でいられる社会を望むならば、それは同時にセクシュアリティの規範からも自由でいられる社会でなければならないのではないか。「性愛」というのは、個人のアイデンティティの奥深くに根ざしているものの一つだ。多様な生/性の在りようを包容できる社会が望ましい。

    同性愛者は、往々にして「性」の側面ばかりが強調されて、常に同性間セックスのことばかり考えている「性的存在」とみなされてしまう偏見についての指摘は、興味深かった。

    具体的なケースを通して、セクシュアリティの問題に限らず社会的マイノリティとどのように向き合っていけばいいか、考えさせられる本。

  • 同性愛者がゲイ・レズビアンと呼ばれ始め自らを同性愛者したのは19世紀末のヨーロッパ・アメリカにおいてからだそう。
    長い歴史の間,ヨーロッパ・アメリカの同性愛者処罰の対象となり病理化されていった。
    一方日本では,男色が武士から庶民に広がり
    同性間の性的接触を禁じるものではなく,男色を通して売春が町民に美徳を失わせ統治の妨げになるという事からである。そして明治になり
    ヨーロッパ・アメリカ同様処罰の対象となり
    病理化される。興味深いのはヨーロッパ・アメリカに比べ日本では病理化されたという側面が大きなことだろう。

    著者が最後に記したあとがきでは,当たり前のことを当たり前だと改めて認識させられた。異性愛者は同性愛を認め側では無い。そして同性愛者がが生きやすいと感じる世の中は異性愛者にとっても生きやすい社会となる。
    男女が結婚し子供を持つ事が当たり前だという結婚・生殖のイデオロギーを強制される事なく,性と生の多様性が生まれ始めて同性愛・異性愛も超えて互いを認め合える世の中になっていく。

    メディアなどでは同性愛はいつも真面目に捉えられることは少なくそこには悪意のある好奇心に満ちた眼差しを向けられることも多々ある。
    今だからこそ生き方が多様化し様々な人生の選択肢が増えているからこ自分がどんなセクシャリティであり性的指向でも読んで欲しい一冊。

  • H7 ジェンダー・セクシャリティ論

  • 僕は同性婚にも賛成で、どのような性的指向であっても、個人が暮らしやすい社会になるべきだと思っているけど、本書は少し惹きつけるものが弱かった印象がある。でも同性愛と社会の関わりが分かりやすく書かれていて参考になった。

  • さすがにセクシャリティとジェンダーの区別はつくが、そこに性自認、性的指向(嗜好、志向とは異なる)、性同一性障害などの軸が入ってくると段々わけがわからなくなってくる。
    そのような性の多様性が認められてきたからこその細分化が政治的に利用され、逆に異性愛主義の病理を深めるということにはなるほどと思った。考えさせられる一冊。

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