「分かち合い」の経済学 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 326
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312390

作品紹介・あらすじ

深刻な経済危機が世界を覆っている。不況にあえぐ日本でも失業者が増大し、貧困や格差は広がるばかり。この「危機の時代」を克服するには、「痛み」や「幸福」を社会全体で分かち合う、新しい経済システムの構築が急務だ。日本の産業構造や社会保障のあり方を検証し、誰もが人間らしく働き、生活できる社会を具体的に提案する。

感想・レビュー・書評

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  • 網膜剥離を45歳から15年患いながら、日本を熟れう稀有な東京大学名誉教授・元民主党政権下の元税制調査会座長の著書。

    スウェーデンを引き合いにしながら、我が国に欠けてる精神や行動様式・振る舞いを、「分かち合い(スウェーデンではオムソーリと表現されている)」、という分かりやすいレトロなキャッチフレーズで読み解く、素人でも解りやすい名著。

    オムソーリ=『悲しみの分かち合い(具体例:失業・親族友人の氏・経済的精神的貧困の経費分担)』であるという前提から、社会全体を包みこむ、セーフティーネットのある制度設計が、結果、経済成長を促すという政策論まで言及。
    また、著者が網膜剥離であって、社会的に成功しながらも、本人自身が社会的弱者であることも共感でき説得力あり。

    知り合いの教授いわく、著者は頭の構造が一般人とは違うらしいとのことが、だからこそ、庶民にも分かりやすく書けるのだと納得。

    文系大学生のネタ本にもあるし、比較的安いし、興味あるかたはぜひ一読を。学者にも神野氏のようなマトモな人もいる。

  • レビュー省略

  • 「機会の平等」と「結果の平等」
    この本は新自由主義を否定する体裁で「結果の平等」を求めてるとしか読めませんでした。
    言うまでもなく「結果の平等」は個人の努力を否定すると思います。
    やってもやらんでも同じやったら楽に逃げるのが人間をはじめとする動物です。
    もちろん「結果の平等」が生活の安定安心を保障することは否定しませんが。

    確かに新自由主義では「機会の平等」すらないのかもしれません。
    でも経済成長のないところで今を前提に分配を議論するところに僕は共感できませんでした。

    もちろん「分かち合い」を否定する気はありません。
    ノブレスオブリージュや武士道精神を出すまでもなく他人の利益を自己の利益と受け止めることは新自由主義であろうと共産主義であろうと社会民主主義であろうと変わらないと思います。
    まあ今回は違う立場からの意見を勉強することができたので読んでよかったとは思っています。

  • S331-イワ-R1239 300101433

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]080/I-3 [資料番号]2010102712

  • 神野直彦の経済思想を中心に色々と書いているという印象を受ける。

    筆者は福祉国家の登場に一定の評価を与えつつもそれを全肯定しているわけでもない(もっともスウェーデンをかなり礼賛している感は否めないが)

    新自由主義を厳しく批判している。

  • 財政学の大家による著書。
    掲載された資料も興味深いものが多く、手元に置いておきたい本である。


    特に印象的だったのは、以下の内容だ。
    財政学とは、単に政府の収支という話に留まらず、共同体の成員が負担を「分かち合い」、共同の問題を解決するための営為である、と。

    確かに、財政学は単に数学的な分析に留まらず、社会哲学的な素養を必要とする深遠な分野なのかもしれない。
    労働経済学よりも自分の興味に近いかもしれない。「財政学」という名前に騙されず、もっと勉強していきたい。

  •  国が司る財政の基本機能に所得の再配分があることは、学生時代に誰しもが教わったこと。
     新自由主義の潮流の中で、競争原理による優勝劣敗、自己責任、小さな政府がうたわれてきた。経済の失速の過程で再検証され、3.11の後社会の在り方も問われているが、本質は変わったのか。
     我々の生活の場である社会の基本的あり方が、大きく変化している時代の中で、財政の仕組みも変わらなければいけないという主張をじっくりと考えていきたい。

  • アメリカをマネする世界はもうイヤだ。日本人はお互いの悩み・苦しみを協力して分かち合ってきた。原点に戻ろう。

  • 序盤は新自由主義の批判からはじまるが…あまり必要ないのでは?

    小さな政府よりも大きな政府がいいというのは、データが示されているが、古いのでは?

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