〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312406

作品紹介・あらすじ

一人ひとりが「私」意識を強く持ち、他人とは違う自分らしさを追い求める現代。分断された「私」と「私」を結びつけ、「私たち」の問題を解決するデモクラシーを発展させることは可能なのか。人々の平等意識の変容と新しい個人主義の出現を踏まえた上で、「私」と政治の関係をとらえなおし、これからのデモクラシーを構想する。

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  • 著者:宇野重規

    【書誌情報】
    価格:本体780円+税
    通し番号:新赤版 1240
    刊行日:2010/04/20
    ISBN:9784004312406
    新書 並製 カバー 222ページ

    一人ひとりが〈私〉意識を強く持ち,他人とは違う自分らしさを追い求める現代.分断された〈私〉と〈私〉を結びつけ,〈私たち〉の問題を解決するデモクラシーを発展させることは可能なのか.人々の平等意識の変容と新しい個人主義の出現を踏まえた上で,〈私〉と政治の関係をとらえなおし,これからのデモクラシーを構想する.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b226028.html

    【メモ】
    著書の案内
    http://shigekiuno.hatenablog.com/entry/20160521 

    【目次】
    はじめに [i-xii]
      〈私〉らしさの氾濫/「折り返し点」を過ぎた近代/〈私〉から〈私たち〉へ/答えなき時代のデモクラシー
    目次 [xiii-xv]

    第一章 平等意識の変容 001
    1 グローバルな平等化の波 002
    グローバルな政治的覚醒/「その他すべての国の台頭」/トクヴィルの平等論/〈私〉の平等
    2 可視化した不平等 016
    現代日本における不平等意識の爆発/「閉じた共同体的空間」内部の差異/仕切られた生活保障/中間集団の動揺と〈私〉の平等
    3 「いま・この瞬間」の平等 028
    平等意識と時間感覚/戦後日本における家族と「不平等感の消失」/世代間対立の顕在化/〈私〉の平等意識の必然性

    第二章 新しい個人主義 043
    1 否定的な個人主義 044
    現代的な「個人化」/秋葉原の通り魔事件/社会問題の心理化と個人化/社会的なものの個人化/福祉国家における個人の変容/個人に襲いかかるリスク
    2 「自分自身である」権利 058
    「ナンバーワン」より「オンリーワン」/一人ひとりの個人に固有なものの尊重/「自分自身に忠実であれ」という理想/「自分自身である」ための基準の不在/意味供給源の枯渇
    3 自己コントロール社会の陥穽 072
    現代の箴言/オーディット文化/セラピー文化/「ノー・ロングターム」/「待つことができない社会」/時間の「溜め」

    第三章 浮遊する〈私〉と政治 087
    1 不満の私事化 088
    まとまらない不安/うつろいゆく民意/二〇〇七年の政治の混迷/二重の脈絡のなさ/政治は格差を語れるか/アゴラの機能不全
    2 〈私〉のナショナリズム 102
    安倍首相の「思い入れ」/年金問題における不満の噴出/二〇〇七年の混迷が意味したもの/〈私〉のナショナリズム/パラノイア・ナショナリズム/〈私〉のナショナリズムではなく、デモクラシーを
    3 政治の時代の政治の貧困 117
    政治における意味の回復/政治の時代の政治の貧困/社会保障問題に見られる日本政治の機能不全/政策対立軸の不在/政権交代へ/政治の矮小化を超えて

    第四章 〈私〉時代のデモクラシー 133
    1 社会的希望の回復 134
    見えない社会/ピーター・ドラッカーの「社会」/「人生の意味を創出するメカニズム」としての社会/「希望の分配のメカニズム」としての社会/国家と社会
    2 平等社会のモラル 150
    自己犠牲と徳から自己利益へ/他者との比較、羨望/リスペクトの配分/名誉と尊厳/〈私〉の尊重とエゴイズム/共感
    3 〈私〉からデモクラシーへ 167
    五里霧中のデモクラシー/デモクラシーとは何か/納得のプロセスとしてのデモクラシー/〈私〉にとってのデモクラシー

    むすび 181
    本書の拠って立つ時代認識/〈私〉から社会へ/歴史の意味/〈私〉が可能にするデモクラシー/デモクラシーへの希望

    参考文献 [195-198]
    あとがき(二〇一〇年三月 宇野重規) [199-204]

  • 政治思想史、政治哲学研究者による、現代社会における諸問題を概括した新書。本当にこれはすごい。
    多様な社会学的文献を引用し、今日本で起こっていること(政治の混迷、プリナショナリズム、自分探し、主体性の賛美等々)がどのような文脈の中で起こってきたことなのか、具体例に寄り添いながら丁寧に書かれている。

    信仰が失われ、家族制度が崩れ、不平等が明確には意識されない、〈私〉という個人に重きが置かれるこのポストモダンの世の中でニヒリズムに陥るのか、それとも未来に希望を持って生きて行くのか。
    目指して行くべき明確な方向性がない中、どのように模索するのか、そもそも模索を放棄するのか、個人的にずっとモヤモヤしていただけに、解決策が得られたわけではないが、モヤモヤの社会的文脈を改めて見直すことができた。

    はじめに、の文章がいいので一部引用したい。
    消費者の「自分らしさ」意識を満足させるための商品が、次から次へと生み出されています。とはいえ、それらは綿密な市場調査によって割り出された、類型化された「自分らしさ」に他なりません。「あなたらしさを演出する、定番アイテム!」などという吊り広告を見ると、なんともいえない気分になります。

  • 本書の位置づけは、おそらく時代診断的な記述理論といったところになるだろう。政治学や社会学、社会心理学の理論を用いて、現代社会を記述していく。「〈私〉」、「平等」、「デモクラシー」といった馴染み深い言葉をキーワードになっており、これらを手掛かりにあるべき社会像を構想しようと努めている。しかしながら、紙幅の都合からかあるべき社会についての規範理論には不満が残るといわざるを得ない。

  • 今年のベスト候補①

  • 2年前に読んだ.
    政治思想研究者の現代への眼差しに感動したことを覚えている.

  • 現代の日本人、特に若者の抱えているもやもやとした感情や思いを、社会学としてトクヴィルの平等理論を柱に用いて説明。

    ・〈私〉であることを強く求めるようになっており、そのため〈私たち〉というデモクラシーを起こす事が難しくなってしまっている。社会の中で以前は機能していた、公私をつなぐ中間の存在が、企業など、役割を縮小していることが一因

    ・一方で、〈私〉であろうとするには、社会が機能していなければならない。なぜなら、〈私〉であるためにはどうしても他との比較が必要であり、かつ、〈私〉でいてもよいという承認機能を持つのは社会であるから。

    など。

    他、印象に残ったこと。
    ・社会問題が個人問題として現出する。
    ・ノブレスオブリージュや名誉、といった概念は階層がある、つまり不平等を前提にした社会において成り立っていた
    ・グローバリゼーションにより、国家は「美観」を気にするようになり社会との差異を生んでいる。美観を気にする事により、そこについてくる事の出来ない国民を気にかけている余裕がなくなっている

  • 【読書その74】SMAPの「世界で一つだけの花」のように「ナンバーワンよりオンリーワン」。一人ひとりが私という存在を強く意識する社会。その中にあっていかに「私たち」の問題を解決するデモクラシーを実現するか。郵政選挙での自民党の圧勝時の中曽根元首相による「粘土が砂になった」という言葉は極めて重い。

  • トクヴィルをはじめ多くの思想家・理論家の言葉が引用されている。
    そのどれもが意味をもって2014年を照らしている。
    今民主主義について考えるにあたって、最良の一冊のひとつであるように思われる。

  • 階級社会から平等社会への移行期に民主主義を見つめたトクヴィルを起点に、グローバルに平等意識が拡張された「私」時代の21世紀の日本及び世界でのデモクラシーの在り方について論じた好著。デモクラシーは権力の場に空虚を配置したフラジャイルなものであると同時に、それが故に常に内省を促すシステムであること、そして、個人主義が蔓延する現代で、各人の尊厳をリスペクトしつつ、「私」のイシューを「私たち」社会のイシューにして行く、ある種対話の場の重要性を提起している点に共感を覚えた。

  • トクヴィルの議論を契機としながら、個人化が進展した再帰的近代におけるデモクラシーの重要性を説いている。おおよそ、様々な社会現象を社会学や政治学の知見を用いながら、個人化の進展という視点のもとに分析する前半部と、そのような時代においてこそデモクラシーという政治制度が必要であることを主張する後半部に分けられる。そして最後に結論で本書での中核的主張をまとめてある。現代政治への規範的アプローチを考えるための手がかりを提供してくれる良書である。

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プロフィール

1967年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授。同研究所で〈希望学〉プロジェクトをリードするほか、『政治哲学へ』(東京大学出版会)で渋沢・クローデル賞、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ)でサントリー学芸賞。『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、『民主主義のつくり方』(筑摩選書)、『西洋政治思想史』(有斐閣)、『社会統合と宗教的なもの』(編著、白水社)他。

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