社会主義への挑戦 1945-1971〈シリーズ 中国近現代史 4〉 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312529

作品紹介・あらすじ

人民共和国の成立は、必ずしも社会主義政権の樹立を意味していなかった。それにもかかわらず、中国はなぜ社会主義をめざしたのか。戦後、さまざまな政治構想が交錯するなかで実権を握った中国共産党。急進化するその政策路線はやがて、文化大革命の嵐を呼び寄せてしまう。試行錯誤を重ねた四半世紀をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 読了。

  • 戦後中国が外交上、最優先課題としたのは戦災からの復興と国内統一に向け世界各国から支持をとるつけることだった。
    朝鮮戦争はたんに軍事的対決にとどまるものではなく、朝鮮戦争を契機として東アジアは冷戦が広がり、中国の対外関係と国内政策は大きな制約を受けることになった。西側諸国との貿易が大幅に制限された。
    大躍進政策の失敗を認めるようになったとはいっても、失敗の主要な原因は自然災害にあったとされ、大衆動員に依拠した高度経済成長政策に対し根本的な批判が提議されたわけではなく毛沢東も共産党の中で党主席としてトップの地位を保持していた。

  • 国をつくるためには様々な社会実験が必要になるのであるが、中国の場合は「大躍進」や「文化大革命」を経験した。人間は悲しくなるほど愚かなものを考えつくものだ。それにしても中国は長い歴史を持つ国だが、今までこの世界にとって大いに役立った誇れるものをなにか残してきたのだろうかと、ふと思ってしまうのです。 日本、中国、韓国、北朝鮮はこれからまたどのような社会実験を繰り返し、どこへ行こうとするのだろうかと、少しく不安をおぼえるのです。

  • 各指導者の失脚や死去、毛沢東個人のキャラクターといったある意味ドラマチックな部分は軽く触れるにとどまる一方、政治・経済・社会・国際情勢に目配りされており、バランスの取れた通史。
    国共内戦における共産党勝利の背景には、予め東北に軍を集中させていたという共産党の戦略とともに、旧日本軍の装備接収をソ連が黙認していたことや国民党政権の経済政策の失敗(その原因の一端は米が日本の戦後復興を優先させるため対中賠償が減額されたことにもあった)に対し民心が既に離反していたこともあった。また、朝鮮戦争は台湾の武力制圧の道を閉ざしたという両岸関係への影響のみならず、中国国内でも戦時体制が敷かれ、三反・五反政策へとつながった。このように各要素が複雑に絡んでいたことが分かる。

  • 9784004312529 209+2p 2011・1・20 1刷

  • 大戦後の1945年から国連復帰の1971年までの中国史を描く。
    朝鮮戦争やベトナム戦争、米ソとの大戦に対する危惧等については
    記載が物足りなく感じたが書面の都合上仕方のないところか。
    その反面、反右派闘争から大躍進、文革までは
    当時の社会の流れを順に追って分かりやすく説明されており、
    理解しやすかった。

  • アジア交易圏と日本の課題図書(選択)。
    中国の1945年から71年までの戦後26年史が説明されている。
    これは、第二次世界大戦後に国民党から共産党へと政権が交代し、急速な社会主義が強まってゆく混乱の時期。

    以下、感想というよりもまとめです。


    ★印象に残った内容が二点
    ・中国の社会主義がはじめから極左なわけではなかったということ。
    ・同じ社会主義といっても中国とソ連のそれは似て非なるものであったこと。

    ●背景:戦後中国の外交課題

    01 戦後の復興と国内統一の回復に向け、世界各国から支援を得ること。→失敗。
    …大戦中から中国を援助してきたアメリカは次第に独裁色を強める中国政府に距離を置くようになり、中ソ友好同盟条約締結を頼りにしていたソ連との交渉も難航。

    02 植民地を取り戻して中国の領土を回復すること。→難航
    …戦中に日本軍が占領した香港の返還は宗主国イギリスが利権保持の立場から反対。台湾も現地住民との軋轢が強まってしまう。

    03 日本から戦後賠償を獲得すること。→失敗
    …戦争直後はアメリカも、日本の軍事力を削除し多額の賠償を支払わせることで中国の戦後復興を助け、東アジア情勢の安定化をはかろうとしていたが、中国の混乱の長期化と共産党の勢力拡大を受けて、しだいに日本を拠点としてソ連に対抗し、東アジアをアメリカの影響下に置く戦略に転換してしまった。

    ●「中国の社会主義がはじめから極左なわけではなかったということ」まとめ
    :国内外の動向に左右されて中国の社会主義は急進的であったり、失速、試行錯誤、混乱と転換、行き詰まりなど様々な過程をたどっている。

    戦後中国の外交失敗により、復興の兆しの見えない不安定さと国際的な孤立が国民党への不信に→共産党に政権交代。


    1949年、中華人民共和国の誕生。


    1950年、朝鮮戦争→財政負担の拡大


    ・反革命鎮圧:民間の自衛的武装組織を一掃して治安の安定化を図る
    ・思想改造:思想・学術・文化・教育に厳しい統制をかける


    社会主義の急速化。
    ・工業化の推進→軍事力の強化
    ・農業生産低迷を打開→経済発展


    ・商工業部門の国営化
    ・農業部門の集団化
    →「単位(ダンウェイ)」を基礎とする社会を形成し、単位社会の広がりは政府に民衆を個別に挙握させ、政治思想を効果的に統制することを可能に。


    「社会主義」と一言で括っているものの、実は沢山の状態があるとても抽象的な言葉なのだと知った。(もう疲れちゃったから書かないけれど、中国とソ連の社会主義の間にも相違点が色々とある)

  • なぜ中国は「社会主義」を選択したのか? 終戦から中華人民共和国の国連加盟までを扱った本書のテーマである。この時期の混迷は毛沢東個人の資質に帰されることが多いが、本書ではそうした立場を取らずに、できるだけ多面的な分析をおこなおうと試みている。資料的な制約も多い混乱期の叙述だけに、隔靴掻痒の観もなきにしもあらずだが、大躍進、文化大革命の時期にもそれ以前からの民主主義的な思想水脈が途絶えることはなかったとする著者の視点は一貫している。

    当該期をテーマにした中国の映画や文芸作品なども、端々で紹介されているのも有益だ。関心のある読者は、たとえばホウ・シャオシエン監督の「非情城市」を見て台湾の「二・二八事件」を、「黄色い大地」の監督チェン・カイコーの「私の紅衛兵時代」を読んで文革期の少年たちの心情を知ることができよう。

  • 1945年から1971年までの26年間。中国は国民党と共産党との内戦、共産党の政権、急進的な社会主義化、そして文化大革命と、たった26年の間に、様々な変化(混乱)がおこっている。
    そんな現代中国の歴史を「グローバルな視野の中で位置づけ、現代日本の歴史と重ね合わせて捉え」て著述されている。
    分かりやすく、読みやすい。特にその時代時代を題材とした映画を紹介しているところが自分好みだった。これらの映画を端から全部観てみたいと思った。

  • 岩波新書(赤版) 222.07/Ku11
    資料ID 20101044616

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