社会主義への挑戦 1945-1971〈シリーズ 中国近現代史 4〉 (岩波新書)
- 岩波書店 (2011年1月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004312529
作品紹介・あらすじ
人民共和国の成立は、必ずしも社会主義政権の樹立を意味していなかった。それにもかかわらず、中国はなぜ社会主義をめざしたのか。戦後、さまざまな政治構想が交錯するなかで実権を握った中国共産党。急進化するその政策路線はやがて、文化大革命の嵐を呼び寄せてしまう。試行錯誤を重ねた四半世紀をたどる。
感想・レビュー・書評
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各指導者の失脚や死去、毛沢東個人のキャラクターといったある意味ドラマチックな部分は軽く触れるにとどまる一方、政治・経済・社会・国際情勢に目配りされており、バランスの取れた通史。
国共内戦における共産党勝利の背景には、予め東北に軍を集中させていたという共産党の戦略とともに、旧日本軍の装備接収をソ連が黙認していたことや国民党政権の経済政策の失敗(その原因の一端は米が日本の戦後復興を優先させるため対中賠償が減額されたことにもあった)に対し民心が既に離反していたこともあった。また、朝鮮戦争は台湾の武力制圧の道を閉ざしたという両岸関係への影響のみならず、中国国内でも戦時体制が敷かれ、三反・五反政策へとつながった。このように各要素が複雑に絡んでいたことが分かる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦後、革命から文革まで、激動すれ中国を冷静な目で一瞥する本です。やはり、この時代を経験した人で、この時代に戻りたい人はいない様な気がします。
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国共内戦、大躍進政策、文化大革命などの重要な歴史的事件について大まかに知ることができた。
政治、経済、思想、国際関係など複数の視点から簡潔に書かれており、大変読みやすかった。
あまり長い期間を対象にしても記述が薄すぎ、かといって細かすぎても退屈してしまうので、本シリーズくらいの時代区分はありがたい。 -
朝鮮戦争をきっかけに社会主義への道を邁進。そして中ソ対立。内政では大躍進と文革の失敗。この辺の歴史の流れをざっと押さえるには良本に思う。現代中国は毛沢東批判できずにズルズル・ダラダラと誤魔化し続けているが、ここをハッキリさせない限りは変われないだろう。
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中国の現代史を知りたい。
・国共内戦(1945-1949)
・大躍進政策(1958-1960)とその失敗
・文化大革命(1967) -
戦後中国が外交上、最優先課題としたのは戦災からの復興と国内統一に向け世界各国から支持をとるつけることだった。
朝鮮戦争はたんに軍事的対決にとどまるものではなく、朝鮮戦争を契機として東アジアは冷戦が広がり、中国の対外関係と国内政策は大きな制約を受けることになった。西側諸国との貿易が大幅に制限された。
大躍進政策の失敗を認めるようになったとはいっても、失敗の主要な原因は自然災害にあったとされ、大衆動員に依拠した高度経済成長政策に対し根本的な批判が提議されたわけではなく毛沢東も共産党の中で党主席としてトップの地位を保持していた。 -
国をつくるためには様々な社会実験が必要になるのであるが、中国の場合は「大躍進」や「文化大革命」を経験した。人間は悲しくなるほど愚かなものを考えつくものだ。それにしても中国は長い歴史を持つ国だが、今までこの世界にとって大いに役立った誇れるものをなにか残してきたのだろうかと、ふと思ってしまうのです。 日本、中国、韓国、北朝鮮はこれからまたどのような社会実験を繰り返し、どこへ行こうとするのだろうかと、少しく不安をおぼえるのです。
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9784004312529 209+2p 2011・1・20 1刷
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大戦後の1945年から国連復帰の1971年までの中国史を描く。
朝鮮戦争やベトナム戦争、米ソとの大戦に対する危惧等については
記載が物足りなく感じたが書面の都合上仕方のないところか。
その反面、反右派闘争から大躍進、文革までは
当時の社会の流れを順に追って分かりやすく説明されており、
理解しやすかった。