生物多様性とは何か (岩波新書)

著者 : 井田徹治
  • 岩波書店 (2010年6月18日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312574

作品紹介・あらすじ

クロマグロの大量消費は何が問題なのか?人類を養う絶妙な生物ネットワークの破壊が進んでおり、生物多様性条約もその歯止めになっていない。今なすべきことは何なのか。世界で最も多様性に富み、脅威にさらされているホットスポットの現状と、保全のための新しい仕組みをレポートし、人間と自然との関係修復を訴える。

生物多様性とは何か (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 共同通信社記者による、生物多様性の維持が何故必要なのか、世界のホットスポットの現状、生物多様性の維持のための世界的な取り組みについてのレポートである。
    本書で著者は、
    ◆国際自然保護連合の「レッドリスト(絶滅危惧種リスト)」には、2008年現在約45,000種が指定されており、その中には、かつては日本のどこでも見ることができたメダカや秋の七草であるキキョウなども含まれている。
    ◆地球では、40億年前の原始的生物の誕生以来、急速に種が減少した時期が過去にも5回あったが、今回の危機は人間の活動による人為的な環境変化が原因である点において、過去のものと性格が異なっている。
    ◆こうした中、最も効率的に生物多様性を維持するためには、限られた資源をどこに投入すればいいのかという考え方から「ホットスポット」と呼ばれる地域が指定されており、それは、マダガスカル、ブラジルの大西洋岸の森、日本などを含み、面積は地球の地表面積の2.3%にすぎないが、絶滅が最も危惧されている哺乳類・鳥類・両生類の75%がそこに生息している。
    ◆現在、世界各国で様々な試みが進んでいる一方で、世界レベルでは、1.生物多様性の保全、2.持続的な利用、3.利益の公平な配分の実現の3点を主要な目的とした「生物多様性条約」が193ヶ国に批准されているが、3に不満を持つ米国は同条約を批准しておらず、その取り組みは一枚岩とは言えない。
    ◆だが、生物多様性リスクは、企業のビジネスチャンスともなっていることも事実で、その中でも、「カーボンオフセット」と同じアプローチである「生物多様性オフセット」は特に注目されている。
    と述べている。
    地球温暖化も生物多様性低下も、現代人の活動が原因のひとつであり、人類として何らかの手段を講じるべきことに疑問の余地はないが、私はこの種の問題を資本主義的手法で解決しようとすることには、なぜか違和感を抱く。
    著者は終章で「重要なことは、地上にわれわれが残す「足跡」を小さくし、地球の生態系の許容範囲の中で豊かな暮らしを実現することなのである。われわれの日常生活や目の前にある製品が、どのような形で生産され、場合によっては海外の生物多様性にどのように関連しているのかを知る努力も必要」と結んでいるが、その主張に大いに共感する。
    (2010年9月了)

  • 書名通り。わかりやすい内容。
    動物だけでなく、植物も含めて、地球上のあらゆる生命は連鎖しているということが、よくわかる。
    どれか一つでも欠ける(絶滅する)と、バランスを失っていく。
    現代社会において人間、とくに先進国の快適な世界の裏には、種の絶滅を招くような環境破壊の上に成り立っていることを思い知らされる。
    中盤は少し冗長な感じがしたが、全体的にみて良書だと思う。

  • 先週読了したものです.
    機内で読んだもので,あまり内容を覚えていません.
    生物多様性の問題は,私が勉強不足な分野の1つであり,いつも分かったような分からなかったような気分になってしまう.

  • 興味ある内容ではなかったから、ほぼ流し読み。生物学の観点での多様性から最後は条約締結、規制の中で見えるビジネスチャンスに触れていたかな。多分。

  • 読んでいてあまり面白いものでもなかったので、ざっと2~3時間で読んだ。「生物多様性とは何か?」という主題に真に迫ろうというような箇所もなく(あったのかもしれないが、伝わってこない)、筆者の職業柄仕方がない部分もあるのだろうが、例えばニューズウィークの類の「環境保護は大切だ」というような趣旨の記事をたくさん集めてまとめました、という印象しか残らない。あるいは高校の時の英語の授業の副読本を読まされているような感覚とも言えるかもしれない。確かに大筋で間違ったことは言っていないのだろうけど、僕にとっては、ただそれだけでした。もちろん環境保護が大切であることは自分も深く同意するけれど・・・

  • 生物多様性に関する入門書。
    ただし、教科書的な内容。

  • 新書らしいまとめです。

    入門書として生物多様性を知るのによい。

    読者の一人一人が生活している地域でも生物多様性の調査方法を、
    もっと詳しく説明があるとよかったかもしれない

  • 一度絶滅してしまった生物を再生させることは不可能。恐竜を見ろ。
    1987年に、国連環境計画が生物多様性保全のための国際条約作りを目指すことを聞けて専門家会合を作って、条約の内容や具体的な案文を検討することになった。20世紀後半くらいから注目を集めるようになったのか、遅かったな。
    生物多様性や温暖化はビジネスにもなりつつある。

  •  生物が支える人の暮らし。生物がそこに存在するということは、生物が生態系ネットワークの中で役割を果たしているということである。人間の手が加わると、ハゲワシが絶滅しミツバチが消失する。生物が多様であることこそ自然の恵みなのだ。自然は、資源を供給し環境を調節し生態の基盤になり人類の文化になる。その経済的な評価の手法がいま確立されつつある。

  • 岩波新書にしては、読みやすい本だった。

    生物多様性が人間の活動によって失われている現状と、これからの活動は、自然を維持していく形で行わなければならないという提言を謳っている。

    一度破壊したものを回復するためには、結局余計に費用がかかってしまうことと、一度失われた種は、二度と見ることができないということが認識できた。

    生物多様性が失われている根拠・原因については、ある程度抽象的に書かれているため(人間の活動が原因であることが前提になっている)、ある部分では極論であり、もう少し検証するならば、他の本も読んでみなけれならないと思う。

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