グランドツアー――18世紀イタリアへの旅 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312673

作品紹介・あらすじ

折しもポンペイ遺跡発見の世紀、ヨーロッパじゅうの知識人や芸術家たちが、こぞって馬車にゆられてアルプスを越え、イタリア半島を目指した。そこで彼らを魅了した、人、自然、遺跡、芸術とは?ゲーテやサドも書き残した当時の旅を追体験しつつ、人々の交錯のなかで芽吹き始めていた新しい感性を活写する。貴重な図版を多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • もしも私が18世紀イギリス貴族の令嬢だったら、
    グランドツアーに行きます、ぜったいに。

    アルプスの山々を超えて、イタリアに点在する湖に立ち寄ります。

    マルモレの滝、崇高の感情。
    カンパーニャでは神話の神々や古代の英雄たちの霊が出没しています。

    ローマで遺跡めぐりは言うまでもありません。
    ポンペオ・バトーニに肖像画を描いてもらいます。
    バックにはトライアヌスの記念柱とパンテオンを希望。

    イタリアで会いたい人はチチスベイとカストラート。
    ちょっとだけ、アマゾネスにも会いたい。

    ナポリで、ヴェズービオ火山、近くで見ましょう。
    イギリス公使ウィリアムハミルトン卿のサロンに入れていただけますか。
    ゲーテやヴィジェ=ルブランに、ぜひ、お会いしたいです。


    そんな妄想を楽しめる本でした。

  • ローマが次々とヨーロッパ大陸を支配下に治めるまで、イギリスも
    フランスも蛮族が暮らす地域だった。

    威容を誇ったローマ帝国が滅びて後の18世紀。今度は当時の先進国
    となったイギリスやフランスから、良家の子弟、芸術家や知識人が
    イタリアを目指した。

    グランドツアー。数か月をかけてイタリアを回る。ローマ帝国は消滅
    しても、そこは自然や芸術に恵まれた国だった。

    江戸時代の日本人がお伊勢参りをしたように、イタリアも腕は一種の
    流行になっている。

    本書は「人」「自然」「遺跡」「美術」の4章からグランドツアーを解説
    している。

    「君よ知るや 南の国」と書いたのはゲーテだったか。

    イタリアの話を読むたびに、このフレーズを思い出す。行きたいのに、な
    かなか行く機会が作れないイタリア。そりゃ、知りたいさ。南の国を。

    グランドツアーのように数か月は無理だろうけれど、せめて2週間くらい
    は滞在してあっちこっちと行ってみたい。

    アッピア街道を歩き、コロッセウムの前に立ち、ポンペイの遺跡を見、
    ナポリで海を眺め、ヴェネツィアで「海との結婚」を見て。

    あぁ…誰か私に資金をくれっ!

  • イタリアにある一定程度の知識や理解がなければ本書を楽しむことは難しいと思われる。資料などは豊富なのかもしれないが、当時の旅(グランドツアー)の臨場感は伝わってこない。

  • タイトルに反して、グランドツアーそのものの本ではない。
    グランドツアーの対象のひとつであった当時のイタリアに焦点をあてた本。
    ということで、グランドツアーについては全然出てきません。

  • 20年以上前に大学受験で勉強した知識だけでは、この本に書かれた結構な量の知識を整理しきれず、集中して読むのが難しかった。

    著者が読者の興味を引こうと、エピソードの並べたり、並べたエピソードに関連する絵画などの芸術作品の写真を掲載しているのでなんとか興味を持ち続けて読み進められる。

    専門的に地理や歴史を勉強してる人、旅行慣れしている人には物足りないのかもしれないが、イタリアや歴史に一般教養程度の知識も怪しい私にはお腹いっぱい。
    イタリアに旅行に行きたくなったので、実現したら出発前に読み返そう。

  • 通常の配架場所: 1階文庫本コーナー
    請求記号: 702.37//O38

  • イタリア、イギリスのみならず、東西南北問わず18・19世紀のロマン主義の文化に関心のある人なら読んで損はないと思います。グランド・ツアーの多面性を掘り下げるには格好の本です。個人的にはベンヤミンの「都市の遊歩者」を先取りすることとなったヴァランシエンヌの「記憶喪失の風景」画にすごく惹かれます。

  • 人間、自然、遺跡、芸術。
    18世紀イタリアに求められたもの。の考察。

  • 18世紀当時のイタリアのキラキラとした華やぎが、そのまま伝わってくる本。

  • グランドツアーとは英国貴族の間で流行った、子息教育の最終段階としてイタリアなどの欧州大陸への遊学旅行のこと。
    本書は、その流行をイタリア側から見た、というが実際はグランドツアーで訪れる人々がイタリアに何を求め、そして当時欧州内では政治状況等により後進国の地位に甘んじていたイタリアがいかにそれに応えていったか、ということを追っている。

    人間、自然、遺跡、芸術という4つの分野から「イタリアに求められたもの」を考察しているが、本来、論述の核となるはずのグランドツアーに関する記述が、あくまでも「多少なりとも知識がある」という前提で非常に最小限に抑えられているので、本書で初めてグランドツアーに触れる読み手だと、なかなかに記述が散漫な印象をぬぐえないのではなかろうか。

    実際、私は本書で初めてグランドツアーに触れたので、最後まで視点が定まらない印象を受けました。そして読み終えた今になって、本書の中に散見されるグランドツアーについての概要的な記述が脳内で集約され、少しずつイメージになりかけている段階です。
    なので、初心者向けでないのかもしれません。

    ですが非常に興味深く読み終えることができ、グランドツアーをもっと知りたくなったので、ほかの書籍でもっとベースの知識を固めたうえで、本書に戻ってきたいと思います。

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著者プロフィール

1954年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は西洋美術史・思想史。著書に『もうひとつのルネサンス』(1994)、『ルネサンスの美人論』(1997)、『モランディとその時代』(以上、人文書院、2003/吉田秀和賞)、『ミメーシスを超えて』(勁草書房、2000)、『マグダラのマリア』(中公新書、2005)、『芸術(アルス)と生政治(ビオス)』(2006)、『フロイトのイタリア』(以上、平凡社、2008/読売文学賞)、『半透明の美学』(2010)『映画は絵画のように』(以上、岩波書店、2016)、『映画とキリスト』(みすず書房、2017)など。編著に『カラヴァッジョ鑑』(人文書院、2001)、『ジョルジョ・モランディの手紙』(みすず書房、2011)など。訳書に、ロンギ『芸術論叢』(全2巻、監訳、中央公論美術出版、1998/1999)、アガンベン『中味のない人間』(共訳、人文書院、2002)『スタンツェ』(ありな書房、2008)『イタリア的カテゴリー』(共訳、みすず書房、2010)『開かれ』(共訳、平凡社/平凡社ライブラリー、2011)など。

「2017年 『映画とキリスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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