グランドツアー 18世紀イタリアへの旅 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2010年9月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784004312673

感想・レビュー・書評

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  • 18世紀に流行した、イギリスからイタリアへの旅を語る。人、自然、遺跡そして絵画の世界へ。古典主義、ロココそしてルネッサンスへのイタリア文化への文字で訪ねる旅。可成り専門的、興味深いテーマだけに再読を目指す。

  • ii サロンなどの文芸的公共性

    18 ハーバマス 文芸的公共性

    56 ピチャレスク

    122 ディドロ

    156 ゼウス神殿

    162

  • 本書を読むまでグランドツアーという存在自体を知らず、
    題名を見て『岡田さんの歴史解説を兼ねた紀行文かな?』と思い購入した。

    ティッシュバインの《ローマのカンパーニャのゲーテ》と
    ジョセフ=マリー・ヴィアンの《キューピッド売り》は、
    グランドツアーという文脈を得て新鮮な気持ちで見ることができた。

    神話的風景画を打ち破ろうとしたトーマス・ジョーンズの、
    日常の風景であるが故にもはやナポリと言われても分からないような硬派な絵が印象に残った。
    イタリアが浪漫的な影響ばかり与えた訳ではないというのが面白い。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】 
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705876

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000680953

  • もしも私が18世紀イギリス貴族の令嬢だったら、
    グランドツアーに行きます、ぜったいに。

    アルプスの山々を超えて、イタリアに点在する湖に立ち寄ります。

    マルモレの滝、崇高の感情。
    カンパーニャでは神話の神々や古代の英雄たちの霊が出没しています。

    ローマで遺跡めぐりは言うまでもありません。
    ポンペオ・バトーニに肖像画を描いてもらいます。
    バックにはトライアヌスの記念柱とパンテオンを希望。

    イタリアで会いたい人はチチスベイとカストラート。
    ちょっとだけ、アマゾネスにも会いたい。

    ナポリで、ヴェズービオ火山、近くで見ましょう。
    イギリス公使ウィリアムハミルトン卿のサロンに入れていただけますか。
    ゲーテやヴィジェ=ルブランに、ぜひ、お会いしたいです。


    そんな妄想を楽しめる本でした。

  • ローマが次々とヨーロッパ大陸を支配下に治めるまで、イギリスも
    フランスも蛮族が暮らす地域だった。

    威容を誇ったローマ帝国が滅びて後の18世紀。今度は当時の先進国
    となったイギリスやフランスから、良家の子弟、芸術家や知識人が
    イタリアを目指した。

    グランドツアー。数か月をかけてイタリアを回る。ローマ帝国は消滅
    しても、そこは自然や芸術に恵まれた国だった。

    江戸時代の日本人がお伊勢参りをしたように、イタリアも腕は一種の
    流行になっている。

    本書は「人」「自然」「遺跡」「美術」の4章からグランドツアーを解説
    している。

    「君よ知るや 南の国」と書いたのはゲーテだったか。

    イタリアの話を読むたびに、このフレーズを思い出す。行きたいのに、な
    かなか行く機会が作れないイタリア。そりゃ、知りたいさ。南の国を。

    グランドツアーのように数か月は無理だろうけれど、せめて2週間くらい
    は滞在してあっちこっちと行ってみたい。

    アッピア街道を歩き、コロッセウムの前に立ち、ポンペイの遺跡を見、
    ナポリで海を眺め、ヴェネツィアで「海との結婚」を見て。

    あぁ…誰か私に資金をくれっ!

  • イタリアにある一定程度の知識や理解がなければ本書を楽しむことは難しいと思われる。資料などは豊富なのかもしれないが、当時の旅(グランドツアー)の臨場感は伝わってこない。

  • タイトルに反して、グランドツアーそのものの本ではない。
    グランドツアーの対象のひとつであった当時のイタリアに焦点をあてた本。
    ということで、グランドツアーについては全然出てきません。

  • 20年以上前に大学受験で勉強した知識だけでは、この本に書かれた結構な量の知識を整理しきれず、集中して読むのが難しかった。

    著者が読者の興味を引こうと、エピソードの並べたり、並べたエピソードに関連する絵画などの芸術作品の写真を掲載しているのでなんとか興味を持ち続けて読み進められる。

    専門的に地理や歴史を勉強してる人、旅行慣れしている人には物足りないのかもしれないが、イタリアや歴史に一般教養程度の知識も怪しい私にはお腹いっぱい。
    イタリアに旅行に行きたくなったので、実現したら出発前に読み返そう。

  • 通常の配架場所: 1階文庫本コーナー
    請求記号: 702.37//O38

  • イタリア、イギリスのみならず、東西南北問わず18・19世紀のロマン主義の文化に関心のある人なら読んで損はないと思います。グランド・ツアーの多面性を掘り下げるには格好の本です。個人的にはベンヤミンの「都市の遊歩者」を先取りすることとなったヴァランシエンヌの「記憶喪失の風景」画にすごく惹かれます。

  • 人間、自然、遺跡、芸術。
    18世紀イタリアに求められたもの。の考察。

  • 18世紀当時のイタリアのキラキラとした華やぎが、そのまま伝わってくる本。

  • グランドツアーとは英国貴族の間で流行った、子息教育の最終段階としてイタリアなどの欧州大陸への遊学旅行のこと。
    本書は、その流行をイタリア側から見た、というが実際はグランドツアーで訪れる人々がイタリアに何を求め、そして当時欧州内では政治状況等により後進国の地位に甘んじていたイタリアがいかにそれに応えていったか、ということを追っている。

    人間、自然、遺跡、芸術という4つの分野から「イタリアに求められたもの」を考察しているが、本来、論述の核となるはずのグランドツアーに関する記述が、あくまでも「多少なりとも知識がある」という前提で非常に最小限に抑えられているので、本書で初めてグランドツアーに触れる読み手だと、なかなかに記述が散漫な印象をぬぐえないのではなかろうか。

    実際、私は本書で初めてグランドツアーに触れたので、最後まで視点が定まらない印象を受けました。そして読み終えた今になって、本書の中に散見されるグランドツアーについての概要的な記述が脳内で集約され、少しずつイメージになりかけている段階です。
    なので、初心者向けでないのかもしれません。

    ですが非常に興味深く読み終えることができ、グランドツアーをもっと知りたくなったので、ほかの書籍でもっとベースの知識を固めたうえで、本書に戻ってきたいと思います。

  • 行くべきところをリストアップ。

  • ゲーテのイタリア紀行などを通じて、以前からヨーロッパの北方からイタリアを訪れた人達に興味があったので、その意味では待望の本である.クロード・ロラン、サルバトーレ・ローザ、ニコラ・プッサンの風景画がイタリアへの憧れをかきたてたことや、ヴァランシエンヌの風景画の斬新さや、古代ギリシャのアンチテーゼとしてのピラネージの意味、パンニーニ、カナレットの作品が旅行者に人気のあった理由など、知らないことがたくさん書いてあって勉強になった.
    ただし,著者も書いている通り、グランドツアーが行われていた時代のイタリアを書いた本なので、訪れた人達やそこで書かれた旅行記はゲーテを例外とすればあまり登場しない.そして著者の専門が美術だからか、当時のイタリアがどういう社会だったのかは十分には書かれていない.もっとも旅行者たちはイタリアの社会に無関係に、あくまで旅行者として振る舞っているようだ.
    登場する人物が多いので、欧文のついた人名索引がほしい.
    この著者の本はたぶん初めてだが、過去からみた未来の事実に「だろう」を何回も使うのはちょっと違和感がある.

  • おもしろかった。
    チチスベイ、カストラートのこと・・・知ることができてよかった。
    とても整理されていて、飽きさせない。
    読むものを惹きつける。

  • 「グランド・ツアー―英国貴族の放蕩修学旅行 (中公文庫)」を面白く読んだ記憶があります。ゲーテの旅行記、エルガーの「南国にて」でもイタリアへの思い入れを再認識しましたが・・。
    ---
    読了。タイトルだけで買ったのでおもいきり勘違いをしていましたね。旅そのものではなく、人々がイタリアでどのような光景を期待したのか、あるいは実際に出会ったのか、そしてそれを祖国にどのように持ち帰ったのか、を美術、美術史にて読み解くものでした。(帯を読み、ちょっとでも本書を開けばすぐに判ることでしたね。)
    人、自然、遺跡、美術と章立てし、整理して読者に提示してくれるのですが、大変な情報量で、読者である自分の知識不足と受け皿が浅いために多くを取りこぼしてしまいました。でも、面白かったです。著者はこのツアーの名ガイドでした。
    カナレット等本書で取り上げられた絵、画家をもうちょっと追ってみたく思います。

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著者プロフィール

【著者】岡田 温司(おかだ・あつし)
1954年広島県生まれ。京都大学名誉教授。
西洋美術史、思想史。著書に『モランディとその時代』(人文書院、2003年、吉田秀和賞)、『フロイトのイタリア』(平凡社、2008年、讀賣文学賞)、『映画とキリスト』(みすず書房、2017)、『映画と黙示録』(みすず書房、2019)、『イタリア芸術のプリズム』(平凡社、2020)。訳書にロベルト・ロンギ『芸術論叢』(中央公論美術出版、1999年、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞)など多数。

「2025年 『映画が恋したフロイト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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