グランドツアー――18世紀イタリアへの旅 (岩波新書)

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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312673

感想・レビュー・書評

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  • 20年以上前に大学受験で勉強した知識だけでは、この本に書かれた結構な量の知識を整理しきれず、集中して読むのが難しかった。

    著者が読者の興味を引こうと、エピソードの並べたり、並べたエピソードに関連する絵画などの芸術作品の写真を掲載しているのでなんとか興味を持ち続けて読み進められる。

    専門的に地理や歴史を勉強してる人、旅行慣れしている人には物足りないのかもしれないが、イタリアや歴史に一般教養程度の知識も怪しい私にはお腹いっぱい。
    イタリアに旅行に行きたくなったので、実現したら出発前に読み返そう。

  • グランドツアーとは英国貴族の間で流行った、子息教育の最終段階としてイタリアなどの欧州大陸への遊学旅行のこと。
    本書は、その流行をイタリア側から見た、というが実際はグランドツアーで訪れる人々がイタリアに何を求め、そして当時欧州内では政治状況等により後進国の地位に甘んじていたイタリアがいかにそれに応えていったか、ということを追っている。

    人間、自然、遺跡、芸術という4つの分野から「イタリアに求められたもの」を考察しているが、本来、論述の核となるはずのグランドツアーに関する記述が、あくまでも「多少なりとも知識がある」という前提で非常に最小限に抑えられているので、本書で初めてグランドツアーに触れる読み手だと、なかなかに記述が散漫な印象をぬぐえないのではなかろうか。

    実際、私は本書で初めてグランドツアーに触れたので、最後まで視点が定まらない印象を受けました。そして読み終えた今になって、本書の中に散見されるグランドツアーについての概要的な記述が脳内で集約され、少しずつイメージになりかけている段階です。
    なので、初心者向けでないのかもしれません。

    ですが非常に興味深く読み終えることができ、グランドツアーをもっと知りたくなったので、ほかの書籍でもっとベースの知識を固めたうえで、本書に戻ってきたいと思います。

  • 行くべきところをリストアップ。

  • ゲーテのイタリア紀行などを通じて、以前からヨーロッパの北方からイタリアを訪れた人達に興味があったので、その意味では待望の本である.クロード・ロラン、サルバトーレ・ローザ、ニコラ・プッサンの風景画がイタリアへの憧れをかきたてたことや、ヴァランシエンヌの風景画の斬新さや、古代ギリシャのアンチテーゼとしてのピラネージの意味、パンニーニ、カナレットの作品が旅行者に人気のあった理由など、知らないことがたくさん書いてあって勉強になった.
    ただし,著者も書いている通り、グランドツアーが行われていた時代のイタリアを書いた本なので、訪れた人達やそこで書かれた旅行記はゲーテを例外とすればあまり登場しない.そして著者の専門が美術だからか、当時のイタリアがどういう社会だったのかは十分には書かれていない.もっとも旅行者たちはイタリアの社会に無関係に、あくまで旅行者として振る舞っているようだ.
    登場する人物が多いので、欧文のついた人名索引がほしい.
    この著者の本はたぶん初めてだが、過去からみた未来の事実に「だろう」を何回も使うのはちょっと違和感がある.

著者プロフィール

1954年広島県生まれ。1978年京都大学文学部卒業、1985年同大学大学院博士課程修了、岡山大学助教授を経て、現在京都大学大学院人間・環境学研究科教授。西洋美術史・思想史専攻。『モランディとその時代』で吉田秀和賞『フロイトのイタリア』で読売文学賞受賞。『処女懐胎』『マグダラのマリア』『キリストの身体』『アダムとイブ』『グランドツアー』『デスマスク』ほか著作多数。

「2018年 『映画と芸術と生と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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