トクヴィル 現代へのまなざし (岩波新書)

著者 : 富永茂樹
  • 岩波書店 (2010年9月18日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312680

作品紹介

『アメリカのデモクラシー』『アンシァン・レジームとフランス革命』で知られるフランスの思想家アレクシス・ド・トクヴィル(一八〇五‐五九)。デモクラシーのもとで生じる社会と政治の変容に透徹したまなざしを向ける彼は、人間の未来をどう考えていたのか。生涯いだいていた憂鬱な感情を手がかりにして、今に生きるその思想を読み解く。

トクヴィル 現代へのまなざし (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 『アメリカのデモクラシー』を読む前に、トクヴィル案内として読んでおこうと思っていた一冊。
    トクヴィルは文明化・民主化された18世紀のアメリカで、社会体制が個人に与える心理的影響に気づく。アメリカに住む人々の"奇妙な憂鬱"、それは一見自由で平等な生活のようで、満たされることのない物質的野心にたえず追い立てられる焦燥感ともいえるものだった。
    穏和・優しさというのも、トクヴィルによるとデモクラシーに生きるアメリカ人たちの特徴だそうだ。そう考えると、『穏和で優しいひと』なんて、飼いならされた性格だととらえられなくもない・・・。

    「都市や農村、また学校や病院などさまざまな社会制度は、それぞれかつて保持していた独立した意志を失い、「行政はフランス人を被後見状態においた」とトクヴィルは言います」
    この独立心喪失は日本のさまざまな社会問題を彷彿とさせる。
    現代日本の問題の多くはデモクラシーに起因しているのかも・・・。

    『卑小な安楽』、『虚栄心』『羨望』、聞いていれば耳が痛いですが、社会と闘い、貴族的な人格を築き上げようする人にはおススメ。
    トクヴィルを読むことは、社会が個人に与える心理的影響を考える足がかりになるかも。

  • 革命後のフランスに生まれ、アメリカを旅して『アメリカのデモクラシー』を書いた思想家、トクヴィル。


    「社会が画一的になるにつれて、人はどんなにわずかな不平等にも耐えられなくなる」。

    人間は平等になればなるほど、小さなことに憂鬱を感じるようになる。利益を求めれば求めるほど、得られないことに落胆し、他者を妬むようになってしまう。トクヴィルは、アメリカ旅行のなかで、そうした心情を現地の人々に見出していく。

    新しいデモクラシーの見聞録・未来予想図と読まれがちな『アメリカのデモクラシー』とは、実は、人間の気持ちの観察記録かもしれない……読後に感慨を新たにさせられた。

    人間は、不平等に耐えられない。しかし平等は憂鬱さを必然とする。
    ではどのように憂鬱さとうまく関係を結んでゆくべきか。
    トクヴィルは、宗教や名誉、伝統といった内面的な「形式」にひとつのヒントを見出してゆく。

    彼が旧世界と新世界を往復するなかで注目するのは、「平等とは何か」というテーマ。
    革命や、アメリカ合衆国の成立という事件を読み解く中で、『アメリカのデモクラシー』『旧体制と大革命』という二大著作が現れてくるが、本書はその概要を紹介する入門書ともなっている。

    デモクラシーといえば制度やシステム論に陥りがちだが、そのエートスと問題を探究したトクヴィルならでの眼差しをあざやかに浮き彫りにしてくれる本書は、議論をもう一度人間の問題として提示してくれる。類書が少ないなかでは、手頃な一書。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784004312680

  • トクヴィル個人の伝記ではなく、
    トクヴィルの思想を順を追って紹介する一冊。
    向き不向きがあるのか、内容が難解で、
    正直言ってあまり理解できなかったが、
    「平等」に関する記載は多少興味がそそられた。

  • 「アメリカのデモクラシー」の著書として知られるトクヴィルはフランス革命直後の1805年にフランスで生まれ、外務大臣にもなっていた!驚き。いまから200年ほど前の人でありながら、「デモクラシーの時代には特に専制は格別に恐るべき」「多数の圧政」という問題意識を持っていたとは、その慧眼ぶりに驚きです。トクヴィルの両親がフランス革命に翻弄された時期の人でありながら、この現代性を見るにつけ「市民が楽しむことしか考えない限り、人が娯楽に興ずることは権力にとって望ましい。権力は市民の幸福のために喜んで働くが、その唯一の代理人、単独の裁定者であらんとする。」正に至言です。アリストクラシーからデモクラシーへと価値の転換が行われつつある時代に生きたトクヴィルの民主主義に対する考え方は、私たち以上に客観性があるように思いました。

  • 以前、政治哲学者ハンナ・アーレントの書籍を読んだ時に紹介されていたアレクシス・トクヴィル。彼の「自由」についての考察に関する一冊です。
    フランス革命後の19世紀初めに生きた思想家ですが、現代の民主主義(自由主義、個人主義)について深い洞察を残しています。

    階層社会からデモクラシーが起こり、個人の自由が保障されると、各個人は満たされることのない(どこまでもキリがない)欲のために、達成感のない不安に苛まれること。・・・自由なのに不安。

    自由のもとに個人主義が広まると、権利と責任が個人レベルに細分されるので、組織や集団の意義がなくなっていく。
    「ゆるやかな専制」と彼が云う国家と個人とのタテの関係は存在しても、地縁や職業集団など「中間的な組織」の存在意義が失われていくこと。・・・コミュニティ、人の繋がりの欠如。

    200年も前の思想とは思えないほど、現在の社会問題に対しても鋭い視点で「自由」というものを見つめています。

    自分の仕事や家族、地域などの在り方、関わり方、活かし方に投影してみたいと思います。

  • 高校の政治経済で少しだけ登場するトクヴィル。あまり知らない人物なので勉強のために読んだ。

    本書はエッセイ風に書かれていて丁寧な説明がないし、トクヴィル以外の思想家に話がとぶことも多いので、難しい本だと感じた。フランス革命前後の欧米の歴史を理解してないと、読み進めるのはかなり困難だろう。

  • まず「アメリカのデモクラシー」を読んで、フランス革命について勉強してから本書を読もう。

  • 諸条件の平等でどうして人は幸せになれないのか、民主政が専制をもたらしてしまうのはなぜなのか、支配から解放された後の方がむしろ個人が自由でないのはなぜか…。
    今の日本の閉塞感の理由の一部分(大部分?)を昔のフランス思想家に教われるとは!久しぶりの教養本でしたが読んでよかったです。

  • アメリカの社会はもともとイギリスからの人の移住で始まったのですが、アメリカ人は非社交的なイギリス人とは違い、彼らの話しぶりは自然で率直だった。
    フランス革命はそれ以前の世界と手を切って、新しい世界をもたらしたというのが19世紀の考え方だった。これと並べるならhる案すの歴史に切断ではなく連続を診るトクヴィルの視点は大変画期的なものだった。
    国王の身体と国家機構とのあいだではある種の分離が始まっていた。
    統計学Statiqueという言葉はドイツ語のStaat(国家)あるいは状態(Status)に由来するという二説がある。どちらにせよ、国家が国民の状態(領土と人口)を把握するための手段。

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