偶然とは何か その積極的意味 (岩波新書 新赤版1269)

  • 岩波書店 (2010年9月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004312697

作品紹介・あらすじ

偶然は避けることができない。確率論でリスクを管理したり、合理的意思決定理論によって不運を消滅させることはできない。一方、生物の進化や人間の歴史を考えると、偶然の積極的な意味が見えてくる。偶然は、単に必然の否定といった消極的なものではない。偶然は想像力を刺激することによって、人生をより豊かにしている。

みんなの感想まとめ

偶然の本質を探るこの作品は、確率論や統計的推測を通じて、偶然がどのように私たちの生活や歴史に影響を与えているかを示しています。偶然は単なる運の要素ではなく、生物の進化や人間の自由意志においても重要な役...

感想・レビュー・書評

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  • 偶然というものについて、まず確率論(大数の法則、中心極限定理、統計的推測等)から導かれるものから入り、統計的に偶然をどのように扱ってきたのかを示してくれます。
    また、生物、歴史、人の自由意志などにまつわる偶然にも触れ、さらに偶然がもたらす運不運との折り合い方にも示唆を与えてくれます。
    将来の不確実さは本質的に偶然に満ちているもので、いわゆる合理的な意思決定には限界があるなど、自身の心の持ちようについてもいろいろと考えさせてくれました。

  • 新書『働くということ』で紹介されて気になった本。偶然の出来事によって幸運、不運が決まる。現代の科学は偶然を予測し、合理的な判断をくだせるよう進歩してきた。しかし、確率論の導入によって「偶然」は克服さらたということは、自然の認識としても人間の生き方としても正しくない、と説明した本。
    やはり終わりあたりの「運」「不運」は他人と分かち合うことによって「偶然の専制」を和らげるべき、という主張は、個人的に好きな部分。震災、困窮等の社会的救済の時の考えがちょっと参考になる。

  • 突然変異という偶然が、自然選択というふるいにかけられながら蓄積していくことによって、新しい種を生み出すという創造がなされる

    進化とは進歩ではない
    生物の進化の過程で『偶然』が本質的な役割を果たす

    「運」「不運」は、各人にとっては結局は自ら引き受けなければならないとのであるとしても、社会の中で自分の「幸運」は当然自分の権利であり、他人の「不運」はその人の自己責任で知ったことではないとするのは、道義的に正当であるとは言えない

  • 「人生においては「運」「不運」はそれぞれに一回限りのもので、相互に打ち消し合うものではない。」

    「すべての人々に人間として必要な生活条件が保証されるべきであり、そのための費用をより幸運な人々が負担すべきであるという社会福祉国家の理念は最近ともすれば忘れられがちであり、ときには自由主義経済学者たちによって明確に拒否されている。」

  • 偶然は必然の反対と言う感覚は日本語独特のものと言うのは意外な発見でしたが、全体的に分かりにくい本でした。

    過去に起きた事は理由が説明できるので必然と考えたり、唯物論的に考えたくなりますが、我々は未来の出来事を何一つとして断定的に予想外できないわけですから、偶然と言う事は自分にはどうにもならない事として必ず自分自身の身に降りかかるものなんだろうなとは思います。

    偶然だろうが、神の意思だろうが、妖精の悪戯だろうが、自分でどうにもならない事はどうにもならないものとして付き合っていくしかないですし、一つ一つの事柄に過剰に反応はせず、でも主体的に幸運による幸福を増大させ、不運による不幸を減らすようにしなければならないと言う事かと思いました。

    自分なりの結論だけ見ると、なんだか良くある感想だなぁとなってしまいました。

  • 九鬼周造の誤読というか、中途半端な解説はまだ我慢できる。
    だが、確率論に関する記述が、公理と”主張”いや、著者の”お気持ち”?とのギャップがあまりにひどく、誤った解釈で論を進める点が我慢できない。
    これが数学の”Formatting Power"ってやつなのだろう。議論をしながら定理の例を挙げたり、推論の再構成を図ったりという、数学を語ったり人に示したり、教えるという立場なら当然磨き続けなければならないことを差し置いてるなぁと感じた。
    結局、経済学者が片手間にやった数学を使って何かを話し始めたら信用できなってことなのかもしれない。

  • 偶然との付き合い方。
    偶然はただただ偶然でしかない。
    人の主観で持って不運を分かち合うのも、合理的な結果以上に捉え方もあるのかも。
    大数の法則の平均な時代から、一つ一つの意識を持つ時代になった今だからこそ、偶然との付き合い方を気にしたい。

  • 【まこ記入:2023.4.5】

    偶然とは何か?/竹内啓

    目的:偶然と必然の関係を知ること
    Q1:偶然って存在しますか?
    Q2:そもそも偶然の定義は?
    Q3:偶然への対応は?
    Q4:偶然って確率ですか?
    仮説(著者への問い)をしっかり持って読んだので、
    回答がどんどん得ることができました。
    ややマニアックな統計学の知識が多かったのですが、
    フォトリーディングのおかげで、無理に理解せず、
    読み飛ばしながらながら読むことができました。

    https://www.facebook.com/groups/898247247572913/permalink/1001137453950558/

  • 【1冊フォトリーディング】【マインドマップ】
    偶然とは何か?/竹内啓

    目的:偶然と必然の関係を知ること
    Q1:偶然って存在しますか?
    Q2:そもそも偶然の定義は?
    Q3:偶然への対応は?
    Q4:偶然って確率ですか?

    仮説(著者への問い)をしっかり持って読んだので、
    回答がどんどん得ることができました。

    ややマニアックな統計学の知識が多かったのですが、
    フォトリーディングのおかげで、無理に理解せず、
    読み飛ばしながらながら読むことができました。

  • 偶然を数学的に読み物として書くと難解になってしまう。
    かといって砕きすぎるとスナック菓子のようにかるくなってしまう。その点本書はとても良くまとまっていたと思う。

  • 756円購入2010-11-18

  • 確率論の概観から、偶然の哲学的意味、偶然性への対処の仕方まで幅広く論じている。読んでいて難しいところも(と言うか素人むけには明らかに説明不足の箇所も)あるが、結局のところ、わりと当たり前のことしか言っていない気がする。著者が批判するところの「『不確実性の下における意思決定の理論』により人は偶然の要素を排除して合理的に行動できるようになった」、なんて考えている人はそもそも余りいないんじゃないかと思うんだが。

    ・つり鐘型分布の前提として「偶然現象が重なるとき、その結果は和になる」というものがあるが、実際には乗法で累積したり、現象が互いに独立でなかったりする場合が多いのに注意。
    ・偶然と看做される現象が実際にランダムな系列を生じるか否かは、論理的には証明できないので、経験的に確かめる他ない。

    ・ネイマンの考え方:確率を頻度と同一視。統計的品質管理のように大量生産工場で多数のロットを処理する場合向け。
    ・フィッシャーの考え方:実験結果から客観的判断を下す時の論理。実験農場生まれ。
    ・ベイジアンの考え方:主観的確率。偶然変動を含む場に直面した主体の立場。

    「起こってはならない大事故」について確率論の無意味さを説いているのは、まさに「偶然」ながらタイムリー。

  • ・エントロピー増大の法則と情報量増大の法則
    ・ネイマン:統計的方法は機能的行動を示す。フィシャー:実験結果から客観的判断を下す時の論理。ベイジアン:偶然変動を含む場に直面して行動する主体の立場を表している。p.120
    p.136 ゴールトン:親が平均より離れても、子は平均にもどる傾向をregressionと読んだ。もとにもどる。

  • 偶然のもたらす運、不運による影響をできるだけ小さくするべし、運や不運は他人と分かち合える、との主張に共感

  • 【書誌情報】
    著者:竹内 啓[たけうち・けい](1933-) 統計学、経済学、科学技術論。
    シリーズ:岩波新書
    通し番号:新赤版 1269
    ジャンル:自然科学
    刊行日:2010/09/17
    ISBN:9784004312697
    Cコード:0240
    体裁:新書・並製・カバー
    頁数:238頁
    定価:902円

     偶然は避けることができない.注意したのに交通事故に合う.成功率95%の手術に失敗する.幸運は分配できるが,不運はすべて自己責任で引き受けるべきなのか.物理学,生物進化,確率論,金融工学などにおける「偶然と必然」を検討すると,偶然の積極的な役割が見えてくる.不運の分配とは,偶然の専制を逃れる方法である.
    [https://www.iwanami.co.jp/book/b226056.html]

    【目次】
    はじめに [i-vii]
    目次 [ix-xi]

    第1章 偶然と必然
    1 偶然をどう考えるか 002
    2 偶然の意味 013
    3 近代科学の決定論 022
    4 決定論の中の偶然性 029

    第2章確率の意味
    1 確率とは何か 038
    2 大数の法則と中心極限定理 050
    3 ランダムな事象 062
    4 主観的確率と賭けの論理 075
    5 確率の意味 082
    コラム 地獄行きは誰か? 087

    第3章 確率を応用する論理
    1 保険と大数の法則 090
    2 統計的推測の論理 096
    3 ランダム事象の積極的利用 103
    コラム 予言ダコの引退 120

    第4章 偶然性の積極的意味
    1 生物の進化と偶然 124
    2 歴史における偶然と必然 140
    3 人間の自由意志と偶然 154

    第5章 偶然にどう対処すべきか
    1 「運」「不運」と人間の主体性 162
    2「不運」の分配 169
    3 偶然と想像力 177

    第6章 歴史の中の偶然性
    1 大数の法則の時代 188
    2 大量技術の時代 194
    3 量から質への転換 199
    4 確実性の追求の時代 206
    5 偶然の再発見 216

    あとがき(二〇一〇年八月) [221-222]
    参考文献 [223]

  • 確率や統計の専門書を読みたい人は他の本を当たるべきだと思うが、哲学から歴史、確率論、心理学などあらゆる分野を横断した本はなかなかお目にかかることはできず知的な刺激を受けることができる。

  • 本書「むすび」p.220より抜粋。
    「偶然は多様であり、けっして大数の法則によって解消されてしまうようなものではない。その多様なあり方をどのように理解し、それとどのように取り組むかが二十一世紀の大きな課題である。」
    本書の目的は、この一行に凝縮されていると思われます。

  • 宇宙から統計学、W杯の予言タコのパウル君にまで縦横無尽に偶然について言及しているが、やや散漫な印象を持ちました
    どちらかといえばジャンルを絞った内容が読みたかったのですが

  • 論理学、数学、哲学、宗教学、宇宙論など、広い分野に亘る説明で知的な興奮を与えてくれます。必然と偶然の定義、種別の説明から。英語では必ずしも必然と偶然が対応した反語になっているわけではない・・・。ラプラスという「天体力学」を著したラプラスが「特定の時点で、宇宙にある全ての物体の位置と運動の方向と早さと質量を知ることができれば、宇宙に起こる全ての現象を無限の過去から未来にわたって正確に知る」と主張し、ナポレオンが「ここに神はいないようだが」と尋ね、彼が「私はそのような仮説を必要としません」と答えたという話(P23)は何とも面白いです。ニュートンは神を信じていたそうなのですが。「賭博者は必ず破産する」現象の確率論的な説明は目から鱗の驚きでしたし、藝術論も、本人にとっては内面的必然性から出てきた作品と言っても、本人の主体性あるいは自由は偶然なのかを考えさせられます。 とにかく「偶然」と簡単に語ってしまう言葉の深遠な意味を考えさせられる刺激的な本です。

  • タイトルとサブタイトルの印象では、もう少し哲学チックな内容かと思いきや、著者は数理統計の専門家だった。
    偶然と必然は対立する用語だが、『必然を邪魔するものが偶然なのではなく、世の中は偶然によって成立している』という主張だが、半分ぐらいは確率の話(それはそれで面白いがちょっと本書の趣旨に反する気がする)で、なかなか偶然と必然の形而上的思索に耽られる内容ではなかったし、世の中の偶然性に以下に対処すべきか --- たとえば「保険に入ろう」的な --- 形而下の話は、正直いって面白くない。
    「偶然」に対する数学(確率)的以外のアプローチは雑多で、ギャンブル、生物の進化、金融工学、等々と比較的マクロな話が続くが、面白いのは、各方面の文脈により「偶然/必然」の意味合いがだいぶ違うということ。自然科学(量子論なんか)の「偶然」と歴史の「偶然」は全然意味のレベルが違う。しかし、どんな局面でも偶然という概念の把握は、人間の想像力に依存しているという見方が新鮮だった。まだ起きていない物事の可能性や過去に起きるかもしれなかった可能性と、実際の現実を対峙させて、はじめて偶然という形式が浮き彫りになる。「偶然」とは脳が進化した人間だけが味わえる特権なのであった。

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著者プロフィール

一九三三年(昭和八年)東京生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学経済学部教授、同先端科学技術研究センター併任教授、明治学院大学国際学部教授を歴任。東京大学名誉教授、明治学院大学名誉教授、日本学士院会員。統計学の理論研究で知られ、現代の科学技術社会の諸問題に関する評論も多い。『数理統計学』(日経・経済図書文化賞、東洋経済新報社、一九六三)、『無邪気で危険なエリートたち』(石橋湛山賞、岩波書店、一九八四)など著書多数。

「2022年 『数学の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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