偶然とは何か――その積極的意味 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312697

作品紹介・あらすじ

偶然は避けることができない。確率論によってリスクを管理したり、合理的意思決定理論によって不運を消滅させることはできない。一方、生物の進化や人間の歴史を考えると、偶然の積極的な意味が見えてくる。偶然は、単に必然の否定といった消極的なものではない。偶然は想像力を刺激することによって、人生をより豊かなものとしている。

感想・レビュー・書評

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  • 新書という限られたスペースの中で、確率の解釈をめぐるベイジアン論争から偶然に対処するためにどう行動すればよいかに至るまで、偶然(≒確率)に関わるさまざまな問題が論じられている。ソーバーやハッキングの確率・統計の哲学の本を読む前のウォーミングアップとして最適。個人的には、木下是雄がロゲルギストのメンバーとして発表した「数理倫理学序説」を意識しているであろう部分に微妙な違いがあることが興味深いと思った。

  • 偶然のもたらす運、不運による影響をできるだけ小さくするべし、運や不運は他人と分かち合える、との主張に共感

  • 第1章 偶然と必然
    第2章 確率の意味
    第3章 確率を応用する論理
    第4章 偶然の積極的意味
    第5章 偶然にどう対処すべきか
    第6章 歴史の中の偶然性

  • 確率や統計の専門書を読みたい人は他の本を当たるべきだと思うが、哲学から歴史、確率論、心理学などあらゆる分野を横断した本はなかなかお目にかかることはできず知的な刺激を受けることができる。

  • 偶然とか、確率に関することをまとめた。数式なども出てきますが、言葉で補ってあるので、わかりにくくはないと思うのですが、基礎知識がないと理解しづらいところもあったかと思う。
    「偶然」が生物の進化や経済発展に関係してきたところは本当に面白いし、人間にとって偶然をどう捉えなければならないかなどの観点も面白い。

  • 本書「むすび」p.220より抜粋。
    「偶然は多様であり、けっして大数の法則によって解消されてしまうようなものではない。その多様なあり方をどのように理解し、それとどのように取り組むかが二十一世紀の大きな課題である。」
    本書の目的は、この一行に凝縮されていると思われます。

  • 宇宙から統計学、W杯の予言タコのパウル君にまで縦横無尽に偶然について言及しているが、やや散漫な印象を持ちました
    どちらかといえばジャンルを絞った内容が読みたかったのですが

  • 論理学、数学、哲学、宗教学、宇宙論など、広い分野に亘る説明で知的な興奮を与えてくれます。必然と偶然の定義、種別の説明から。英語では必ずしも必然と偶然が対応した反語になっているわけではない・・・。ラプラスという「天体力学」を著したラプラスが「特定の時点で、宇宙にある全ての物体の位置と運動の方向と早さと質量を知ることができれば、宇宙に起こる全ての現象を無限の過去から未来にわたって正確に知る」と主張し、ナポレオンが「ここに神はいないようだが」と尋ね、彼が「私はそのような仮説を必要としません」と答えたという話(P23)は何とも面白いです。ニュートンは神を信じていたそうなのですが。「賭博者は必ず破産する」現象の確率論的な説明は目から鱗の驚きでしたし、藝術論も、本人にとっては内面的必然性から出てきた作品と言っても、本人の主体性あるいは自由は偶然なのかを考えさせられます。 とにかく「偶然」と簡単に語ってしまう言葉の深遠な意味を考えさせられる刺激的な本です。

  • タイトルとサブタイトルの印象では、もう少し哲学チックな内容かと思いきや、著者は数理統計の専門家だった。
    偶然と必然は対立する用語だが、『必然を邪魔するものが偶然なのではなく、世の中は偶然によって成立している』という主張だが、半分ぐらいは確率の話(それはそれで面白いがちょっと本書の趣旨に反する気がする)で、なかなか偶然と必然の形而上的思索に耽られる内容ではなかったし、世の中の偶然性に以下に対処すべきか --- たとえば「保険に入ろう」的な --- 形而下の話は、正直いって面白くない。
    「偶然」に対する数学(確率)的以外のアプローチは雑多で、ギャンブル、生物の進化、金融工学、等々と比較的マクロな話が続くが、面白いのは、各方面の文脈により「偶然/必然」の意味合いがだいぶ違うということ。自然科学(量子論なんか)の「偶然」と歴史の「偶然」は全然意味のレベルが違う。しかし、どんな局面でも偶然という概念の把握は、人間の想像力に依存しているという見方が新鮮だった。まだ起きていない物事の可能性や過去に起きるかもしれなかった可能性と、実際の現実を対峙させて、はじめて偶然という形式が浮き彫りになる。「偶然」とは脳が進化した人間だけが味わえる特権なのであった。

  • 統計論のような、哲学書の様な。。
    割と趣味的な本。まぁ、軽く流して終了。

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著者プロフィール

日本学士院会員、東京大学名誉教授
1933年生まれ、56年東京大学経済学部卒業、61年同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、東京大学経済学部助手、63年東京大学助教授、66年経済学博士(東京大学)、75年東京大学教授、94明治学院大学国際学部教授、06年退職

「2018年 『歴史と統計学 人・時代・思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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