希望のつくり方 (岩波新書)

著者 : 玄田有史
  • 岩波書店 (2010年10月21日発売)
3.45
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  • レビュー :86
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312703

作品紹介・あらすじ

希望は与えられるものではない、自分たちの手で見つけるものだ。でも、どうやって?著者が出会った、さまざまな声のなかに、国の、地域の、会社の、そして個人の閉塞した現状をのり越えて、希望をつくり出すヒントをさがしていく。「希望学」の成果を活かし、未来へと生きるすべての人たちに放つ、しなやかなメッセージ。

希望のつくり方 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 当たり前と言えば当たり前なのだけれど、希望について考えるためのヒントがつまっていた。

    希望は物語のかたちをとる。
    現在が苦しいから、かなうかどうかにかかわらず、希望を持つ。
    希望を持てるための条件として、挫折を乗り越える経験、無駄を切り捨てない遊び、ウィーク・タイズなどが挙げられていた。地域の活性化という側面からの研究にも興味を持った。

    実践的なことでいえば、前々から気になっていた「頑張れ」と「大丈夫」の使い方については参考になった。

  • 仏教の経典には「希望」という言葉は出てこない。その一方で、キリスト教では「希望」を持つことの大切さが述べられる。表面的な違いこそあれ、両者に共通しているのは「人間は困難の中で生きざるを得ない存在であることを認めている」という点である。その困難を避けようとするのか、直視するかの違い--これは、日本人と西洋人のメンタリティーの違い(日本人の危機管理の弱さ、「水に流す」文化、辞任で事態の収束を図ろうとする体質)に繋がっているようようだ。

    "Hope is a Wish for Something to Come True by Action (with Others)" 希望はこのように4つの柱から成り立っている。つまり、希望とは、変化に必要なものである。しかし、自分たちが守るべき(誇りを感じる)アイデンティティがはっきりしていてこそ、新しいことにも挑戦する気持ちや行動が生まれるものである。「希望」の有無には、いくつかのファクターとの「関係性」、他者との「関連性」がある。しかし重要なことは、集団(職場)の内外との "Weak Ties" により、お互いの違いを持ち寄り、共有することで新たな希望のある発想や可能性が生まれてくることである。つまり、立場を超えて「話し合うこと」である。 そして、失敗や無駄を恐れず、「自らの挫折を物語として語れる人ほど、明るい希望を持つ」という。勉強が「分からないことに慣れる練習である。しかし、簡単に諦めないための練習でもある」という筆者の考え方に、何か目から鱗が落ちる思いであった。

  • 304

  • 希望をつくる8つのヒントから、①希望は「気持ち」「何か」「実現」「行動」の4本の柱から成り立っている。希望がみつからないとき、4本の柱にうち、どれが欠けているか探す。②いつも会うわけではないけれど、ゆるやかな信頼でつながった仲間が自分の知らなかったヒントをもたらす。⑦大きな壁にぶつかったら、壁の前でちゃんとウロウロする。など。希望を見つけられない方に「希望のつくり方」を教えてくれます。

  • 三葛館新書 361||GE

    希望がないというのなら、希望を作りだしてみるのはどうでしょう。
    でも、その作り方がわからない、そう思われた方にぜひおすすめしたい一冊です。
    もし、困難に遭遇していて希望など持てるものか、そう思っているとしたら、実はその困難こそが次の新しい希望を見つける第一歩になっていることもありえます。本書の希望をつくるヒントを元に、自分なりの希望を考えてみてはいかがでしょうか?
                                   (ゆず)
                               
    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=59860

  • 希望は与えられるものではない、自分たちの手で見つけるものだ。でも、どうやって? 著者が出会った様々な人々の中から、希望をつくり出すヒントを探していく。

    第1章 希望とは何か
    第2章 希望はなぜ失われたのか
    第3章 希望という物語
    第4章 希望を取り戻せ
    おわりに―希望をつくる八つのヒント

  • 「ウィーク・タイズ」ゆるやかな人間関係ーー
    こういう考え方で生きていけるといいな。
    希望学は高度成長期の価値観から脱却できない日本人がこれからの成熟した社会をよりよく生きるヒントに満ちあふれていると思います。

  • 本書を読んでいるときに色々なことを思ったので、キーワードをピックアップして感想にします。

    ・浄土宗や禅宗には希望という言葉がない
    西洋宗教と東洋宗教の違いが希望にあるとは思いもせず、なるほどなぁと感心する一方、来世に希望を求めるという点では、希望という言葉の使われ道はあるわけで、希望の力点をどこに置くかの違いでしかないと思います。

    ・ウィークタイズ
    ウィークタイズ(弱い繋がり)の重要性は特に感じています。近場の人たちの情報だけではどうしても偏りが出来てしまい、大事に気付かないこともあるので、この関係性は重要だし、このネットワーク構築方法を画期的なものとして作れないかと思っています。
    他者を結ぶコンテンツは、既存のものとして婚活紹介所や異業種交流など様々ありますが、感覚的に『何か違う』のです。
    僕はいまソフトテニスサークルを運営していて、これなんかはウィークタイズの構築に適しているなぁと感じます。
    僕は基本的に『人と人は繋がり合って、(良い意味で)助け合った方がいい』と思っているので、風通しの良くて、入脱退自由の交流場所ができればなーと思います。

    ・無駄が栄養
    『若いうちは無駄が栄養でした』と名言を残した野茂英雄。プロ野球で成績を残した彼が『無駄が栄養』と言うからこそ、その言葉に重みが出てきます。と同時に、成功者でも無駄が必要だと言うことで、僕のような凡人に勇気を与えてくれます。まぁ僕は怠けすぎなんですが(笑)

    ・物語性で希望を語る
    これは商品販売等でよく使われている手法で、例えば車のCMでは『車を手にして彼女と素敵なドライブデートを楽しむ』、ダイエットサプリでは『これを飲んでダイエットに成功して異性にモテる姿を想像する』等、商品そのもののメリットに訴えるのではなく、『その商品を使う事でこんな素敵な未来が待ってますよ~』と希望を持たせる手法。物語性を付与で希望をつくるのは非常に魅力的です。

    ・予言の自己実現
    ポジティブな人ほど良い事が起こり、ネガティブな人ほど悪い事が起こる。それは視点の違いにより生じ、また後天的に変えられるので、是非実践したいものです。

    ・希望とは「みえていないようでみえている」「みえているようでみえていない」両義的状況からポジティブな想像をかきたてること
    これは私が前職を辞めた理由の一つでびっくりしました。順調に仕事をこなしていたのですが、初秋の残業終わりの帰りに、ふと『このまま行けば、近いうちに事務局長になるのかぁ。なんかつまんないな』と思いました。実際上司からは確約されていて、本当に最終地点に辿り着ける状態でした。けれど、本書にある通り、先がみえてしまったことで、『面白くない、つまらない』と本気で感じました。
    『昇進したら、あなたの好きなことができるよ』と言われましたが、何か違うんだよなぁ~。先がみえたら終わり。何が起こるか分からないから面白い。この想像力のせめぎ合いの中で、『先の知れた将来は面白くない』と思い、結局仕事を辞めました。
    宝箱の中にはガラクタが入っているかもしれない。けれども、一生懸命宝探しをする。駄目かも知れないけれど、やってみる。やっぱり結果じゃなくて過程が大事なんだなぁと思います。
    あと、エロチックやチラリズムも同じです(笑)。『見せられたパンツはただの布だ』という名言(?)はその通りで、見えそうで見えない、見えたとしても、そこに想像の余地がある(チラ見せ)か、余地がない(モロ見せ)では大きく違います。結果は同じ『見える』かもしれませんが、やはりここでもプロセスや想像によって興奮の度合いが変わってくるので、このあたりは人間ならではの能力ではないかと思います。
    となると、機械には想像力がないので、機械自体には希望はない、と言えます。

    キルケゴールの名言『人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない!』という言葉は、まさに希望を言い当てていると思います。『死に至る病、それは絶望である』と言った実存主義の彼だからこそ言い残せた言葉だと思います。

    希望に関連して、自分らしさの表現があります。ここで思い浮かぶのは、アニメ『ばらかもん』の主題歌、『らしさ』です。
    SUPER BEAVERというアーティストは知らなかったのですが、胸に刺さる歌詞と盛り上げ方の上手い曲調が素晴らしいと感じました。アニメの方も、『自分らしさとは何か』をテーマにしたものですが、真剣さにもふっと息を抜くような笑いもあって、面白かったです。

    いや、サクサク読めたにもかかわらず、本当に色々なことが頭の中で連鎖反応を起こしました。
    実に有意義な本ですが、ブックオフに100円で売ってあったのはもったいない良書です。
    僕の評価はA+にします。

  • 読了。

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