希望のつくり方 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312703

感想・レビュー・書評

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  • 希望学を研究している東大教授、玄田氏の本。

    希望とは何か、からスタートし、自身の体験を絡めながら、非常にやさしい文章で進んでいく。

    本書で一番重要なのは、希望を絶対的に良いものとして捉えていない点だ。

    希望は失望に変わることを認めている。

    そして、失望も、絶対的に悪いものとして捉えていない。

    この複眼的な捉え方は、インタビューなどによる調査によって生まれているし、著者の大らかさによるものだろう。

  • weak ties やserendipityという最近他の本で読んだ言葉が出て来たのは意外な発見。

    「ニートって言うな!」で批判されていたので読んでみたけど、読む前の印象とはちょっと違った。

    若者の雇用の周辺化は構造的な問題だという認識は共通してて、その上で、制度にいくのか、人の心にいくのかというアプローチの違いにも見える。

    そのあたりは、批判された言い方を変えたのかもしれないけど。

    両者は、若者が「閉塞感」や苦しい状況に陥っていることを前提としてるけど、その視角じたいを問い直したい。

    希望学が発展していくようなイメージはあまり持てなかったなぁ。釜石市での調査は面白い事例だとは思うんだけど、ネーミングの問題なのかな?今の枠組みで言うと「希望」の重要さが、脳科学とか科学的な分野で実証されると、また注目されるのかも。

  • 希望の定義とは、
    Hope is a Wish for Something to Come True by Action
    であり、行動によって実現させたい何かを求めることだそうだ。
    本書ではこのような希望の定義から始まり、仏教やキリスト教の希望に対する考え方が解説されたり、仕事に関する希望が多いことは日本特有の現象であることがデータを基に説明されている。
    また、Weak tiesやセレンディピティなど最近よく耳にする用語も頻繁に出てきて興味深く読むことができた。
    後半の希望の物語性では、希望を抱き挫折することを繰り返すことによって新たな希望を抱き続けることができるという部分は、なるほどなと思いながら読めた。

  • もうだいぶ前に読み終わっていた本・・・
    ちょっと内容は・・・忘れかけている・・・

    一昨年、キャリコンの講座に通ってる時に先生に聞いたお勧め本
    何冊かあった中、玄田先生の本もありました
    正直、もっとお年を召した先生なのかとずっと思っていたら
    意外に?意外?(笑)1964年生まれで想像よりもずっとお若い方でした
    この新書には玄田先生自らポーズをとってる写真もあってね(笑)

    この本の中で希望とは4つの柱からなっていると玄田先生はおしゃっています
    ①気持ち
    ②何か
    ③実現
    ④行動
     
    Hope is Wish for Something to Come True by Action

    希望が見つからない時、この4本の柱のうちどれかが欠けていると・・・

    この本を読んでいた時、ふんふんと思いながら読み進めていたけど
    数週間前に起こった大災害を思うと、今もなお被災地にいる人たちの事を思うと
    「希望」ってなんだろう?って思う・・・
    あの場所にいる人たちに「希望」を持ってなんて言えるのだろうか・・・

    「おわりに」で
    希望は与えられるものではなく、自分で(もしくは自分たちで)つくり出すもの・・・
    と書かれています

    私もそうだと思います、与えられるものではないと・・・
    でも今、やっぱり「希望」という名の力を世界各地から集めて被災地に送りたいと思うのです
    それが与えられた希望であっても、少しだけ、ほんの少しだけ前向きな気持ちになれたら
    それだけで良いと思うのです・・・
    そうやって「希望」が世界を循環していけば良いのに・・・

    いつのタイミングで読むかによって感じ方も変わってくるんだな・・・
    もう1回、今のタイミングで読みなおしたいな

  • 『失われた20年』といわれて久しくなりました。自分たちがこのような状況の中でいかに希望を見いたして生きていくのか?この本にはそのヒントが書かれております。

    さっきこの記事を書くためにもう一度この本を読み終えていたんですけれど、本来、僕が希望というものをこの本を通じてというカタチですが、そんな大それたことをかたれる身分ではないんですね。でも、途方にくれたところで誰も手を差し伸べてくれるわけではありませんし、まぁ、どうすればいいんでしょうね。結局希望を見つけるのは個人の問題に帰結しますから。

    今、この本をまたパラパラとめくっていますが、当然のことながら明日からハッピーになれます、なんていうことはただの一言も書いていません。でも、最後のほうで作者が説く『まんざらではない』ということについては少しだけ心が動かされた様な気がしました。僕はこういうことをいうにはまだまだ、そうあと40年くらいは少なく見積もってもたりませんが、もしも
    「まんざらじゃないって、ちゃんといえるのは、六十歳を過ぎてから」
    とほかの人に言えるときが来るまでは幻想でも何でもかまわないんで『希望』にすがり付いて生きてみようかな、とそんな殊勝なことをこの本を読んで思いました。

    ま、こういう本でも読まないとやっていけないけないわけでござんすよ。まぁ、明日もがんばっていきまっしょいっ。お後がよろしいようで。

  • かつて希望は前提だった時代から、誰にも希望は与えられているような時代ではなくなりつつあります。そのような今の時代の声を分析しつつ、「希望学」を研究している筆者がその考えを、分かりやすくまとめた本。「希望とは何か」、「希望なはぜ失われたか」、「希望という物語」、「希望を取り戻せ」という流れで本書は進んでいきます。現状を真摯に分析しつつ多くの人が共感できるような「希望」の持ち方を提案する筆者の姿勢に共感できました。(2011.8.2)

  • 今更と思うけれど、「希望」について社会学的に考察した小著。わからないことの中にこそ、チャンスがあり、希望があるのです。

  • Hope is a Wish for something to Come True by Action.

    ウィークタイズの大切さ
    挫折と無駄が希望へとつながるということ

    社会人一年目の自分としては、いい本のように思える。

  • ハンズオン!さいたまのニュースレターで紹介されていたので、手にとった。ただその後震災があり、しばらく手に取るのをためらわれた。
    いわゆる自己啓発本ではなく、様々な視点やフィールドワークから希望とは何かをわかりやすく書いた本だった。著者が雇用問題など経済の専門家であるところもあり、面白く読めた。

  • 仕事のためにと思った狙いとはずれたが、おもしろかった。希望は人により異なるものであり、かたちとしてつかまえることは難しいもの。それに学問として向かい合うことがまずすごい。先が見えないことに希望をもてるということの証明かもしれない。

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著者プロフィール

1964年生まれ。88年、東京大学経済学部卒業。ハーバード大、オックスフォード大各客員研究員、学習院大学教授等を経て現職。博士(経済学)。
主著
 『仕事のなかの曖昧な不安』(中央公論新社、2001年、日経・経済図書文
 化賞、サントリー学芸賞)
 『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞社、2004年、エコノミスト
 賞、労働関係図書優秀賞)
 『孤立無業』(日本経済新聞出版社、2013年)
 『危機と雇用』(岩波書店、2015年、沖永賞)
 『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』(慶應義塾大学出版会、
 2017年、編著)
 ほか多数。

「2022年 『仕事から見た「2020 年」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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