農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312710

作品紹介・あらすじ

「海を越えてやってきた渡来人が、縄文人にかわり、西日本を中心に新しい文化を築いた」という一般的な弥生時代のイメージ。しかし、稲作の導入を契機とする日本列島の歴史の大きな分岐点は、もっと緩やかにして多様なものであった。縄文から弥生への連続性と、地域文化の豊かさに注目しつつ、「複線」としての歴史像を新鮮に描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • 日本史の授業などでは時代区分としてスパッと切り分けているが、ある地域ではこう、かたやこちらの地域ではこう、と連続した部分・変化した部分など様々な形があり、面白かった。
    また、稲作が行われた弥生時代に比べ縄文時代は…と言われているが、縄文時代の時点でクリなどの栽培が行われている。「獣を追いかけ駆け巡り、木の実を取って食べる」だけでない、生活が見えてくる。
    そして、古墳時代。こちらはどんどん発掘が進んでほしいね。未知の部分が多い。

  • ちょっと最新の日本史を通史で読んでみようと初めの1冊目を読みました。なお読み始めてから気づきましたがこのシリーズは近現代史まで通算で全25冊あるので、全然ちょっとではありませんね……。

    この1冊目は文献が出てくる前の弥生時代まで。数年前にリニューアルされた歴博の展示でも感じましたが、新たな発見によって自分が学生だった80年代のようにスパッと時代区分が別れる訳でないというのが見えてくるのが興味深いです。
    そりゃ日本中の地面をすべて掘り返したわけではないので、これからも新発見で歴史が書き換わり続けるのでしょうね。

    そもそも自分が歴史を高校で学んだ頃は、まだゴッドハンドに汚染された旧土器時代でしたからねぇ……。変化量も大きくなります……

  • 今や「弥生時代」という用語の定義そのものが難しい――二項対立的に捉えられがちな縄文時代と弥生時代。しかしその変化は一変と呼べるようなものではなかった。縄文時代の伝統が連続した部分もあれば、変化した部分についても各地域での変化は内容もかかった時間も違ったという。弥生文化とは異なる独自の展開を見せた沖縄や北海道についてもその環境・状況に適応した変化だったと述べる。多様な展開を見せた縄文・弥生時代を描く通史。

  • 縄文文化と弥生文化は断続性と連続性を持つ。

  • 新書ではあるが、初学者には敷居が高い。それなりに古代史がイメージできていて、これから本格的に勉強したいという人に向けたものだろう。今の古代史の世界で、何が定説で何が古い説とされているかについて、信頼して良さそうな情報が得られる。(門外漢なので本当かどうかは分かりません。)

  • はじめに―三つの道筋から日本列島をみる
    第1章 発掘された縄文文化
    第2章 弥生時代へ―稲作のはじまり
    第3章 弥生社会の成長―地域ごとの動き
    第4章 弥生文化を取り巻く世界
    第5章 生まれいづる「クニ」
    おわりに―「弥生時代」を問い直す

    著者:石川日出志(1954-、新潟県、考古学)

  • 弥生時代は渡来人がいきなりやってきて開拓したわけではなく、むしろ縄文時代と繋がっている部分が多い。

  • 弥生時代に興味があり、入門として読んでみた。

    結果的には、まぁまぁでした。(入門としては不適切かもしれない。というのは、弥生時代を学問的にどう解釈してるか、どこで議論がわかれているかということを詳細に、事実ベースで語る箇所が、いくつかあって、素人がサクッと弥生時代を理解しようとする意味では、邪魔でしかなかった。)

    従来の説もよくわかってないので、著者があとがきに書いている、時代が漸次的に縄文から弥生に移動してったよ、という主張が新しいのかどうかもわからなかったのは、まぁ仕方ないところか。

    一方で物足りなさもある。高地性集落や倭国大乱についてほとんど記述がなく、そこらへんを知りたかったのでそういう意味では肩透かしであった。

  • <目次>
    はじめに  三つの道筋から日本列島を見る
    第1章   発掘された縄文文化
    第2章   弥生時代へ~稲作のはじまり
    第3章   弥生社会の成長~地域ごとの動き
    第4章   弥生文化を取り巻く世界
    第5章   生まれいづる「クニ」
    おわりに  「弥生時代」を問い直す

    <内容>
    考古の時代をまとめたもの。旧石器は例の偽造問題からあっさりと書かれ、専門の弥生時代を詳述する。現在では弥生時代の定義も変わり、西日本と東日本でかなり弥生に入る時期が違うし、弥生時代は渡来人系が作ったわけでもない。そして、縄文文化がすべて弥生文化になったわけでもない(併存している)。また青銅器の地域差は大きく分けて、九州中心の銅戈・銅矛系と近畿中心の銅鐸系に分かれる。あたりかな。

  • 2010年刊。著者は明治大学文学部教授。◆本書の対象たる弥生時代=灌漑稲作というテーゼ自体、その時期や地域によって差がありすぎて、とても同一の括りでは理解できないと思っていた(北海道と沖縄に灌漑稲作はなく、関東と北九州ではまるで時代相が違うのは明快)。本書はその事実を正面から受け止め、新書ながら、各地域の異同、特徴、相互関係(朝鮮半島や中国、特に長江流域にも目配せされる)ばかりか、旧石器時代や縄文時代との連続性に関心を向ける等、個人的に痒いところを掻いてくれた、これぞ読みたかった本といえるもの。
    なお、邪馬台国論であるが、①北九州最大の伊都国(世々王ある)ですら「女王国に統属す」とある(魏志倭人伝の記載)から、女王国は北九州外の所在と見るべき、②纏向遺跡など、弥生末の大型墳墓等の存在と漢鏡出土地域が北九州から機内へ変動した事実から機内、奈良盆地南西部説とのこと。

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著者プロフィール

明治大学文学部教授 ※2022年11月現在
【主要著書】『農耕社会の成立』(岩波書店、2010年)

「2022年 『南関東の弥生文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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