平安京遷都 シリーズ日本古代史5 (岩波新書)

  • 岩波書店 (2011年6月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004312758

みんなの感想まとめ

平安時代の遷都を背景に、文化と政治の変革が織りなす歴史の深淵を探る作品です。桓武天皇の即位から始まるこの時代は、対外的には唐の文化を取り入れつつ、国内では摂関政治の始まりや武士の台頭といった激動の時代...

感想・レビュー・書評

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  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    平城京から長岡京、平安京へと遷都された時代
    桓武天皇の即位から始まった時代は対外関係は遣唐使で唐の文化を取り込む一方で国内は「幼帝」の誕生と摂関政治の始まりと大きな変革があった時代と言える。
    しかし、平将門、藤原純友が叛乱を起こした時代でもあり、それらを討伐するために武士が生まれた時代でもある。
    後の基礎が築かれた時代と言えるだろう。

  • 読みやすい文章。わかりやすい叙述。内容は深い。歴史的な流れとトピックがメリハリを効かせて配置されていて読み飽きない。歴史的事件、事象のなかにあるその本質にまで言及されているので、理解が深まる。

    昔の人たちが、日本という国をつくってゆく、その努力の積み重ねをひしひしと感じる。九世紀、格式の編纂が行われ、日本は法律面でようやく唐に追いついた。延喜式は完成したものの施行までに四十年を費やした。その間、内裏全焼で編纂事業も大打撃を被ったという。涙ぐましい努力。

    皇位継承をめぐる争いも、伊予親王の謀反、薬子の変、恒貞親王をめぐる謀反事件と激しい。

    一方、歴史の狭間に埋もれた人々のことにも目を配られているところがキュンとくる。円仁に代表される入唐僧のなかには、二度と日本の地を踏むことのなかった多くの犠牲者がいたと。

  • 岩波新書の日本史シリーズを読んでいくシリーズ、今回は平安時代の初期。この時代は奈良時代と摂関期の狭間にあって今一つ印象がはっきりしない時代というイメージですが、著者も「奈良時代以前に比べて研究史の絶対量は少なく」とマイナー分野であることを認めています(まぁこのシリーズの著者は自分の分野こそマイナーであると宣言しがち過ぎるのですが)。
    そんなマイナーな平安前期を、唐風化により明治以前の基礎を築いた時代としてまとめているのが、今まで気づいてなかった視点で良い発見でした。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  桓武天皇とその時代
    第2章  唐風化への道
    第3章  「幼帝」の誕生と摂政・関白の出現
    第4章  成熟する平安王朝
    第5章  唐の滅亡と内乱の時代
    第6章  都鄙の人々
    おわりに

    <内容>
    まず大変読みやすかった。文がすんなりと頭に入る。次に、平安時代を新しい研究を基にきちんとまとめてくれている。教養書としてレベルが高い。
    授業で使いたいフレーズが多くあった有益な本だった。

  • 本書は桓武天皇による2度の遷都から10世紀の終わりまで、いわゆる平安朝の時代を対象としている。平安朝の特色は明治まで続く日本文化、とくに貴族文化の枠組みがつくられた時代であった。著者はその原因として宮廷の構成原理が私的なそれを中心としたものから公的なものへと変化してきたこと、イエや家職が成立してきたことと関係すると論じる。

    また天慶の乱を契機に成立してくる武士について、職能制的武士論の立場を筆者は採る。「武士とは一種の殺し屋でありながら、武力を必要とした都の人々に、眉をひそめられながらも用いられた必要悪であったといえるであろう」(187)と述べられている。

  • 中学高校ではさらっと習った事が、詳細に綴られていく。これまでの巻の天皇中心の記述に比べ、蝦夷の反乱や仏教者の動き、武士の起源などに触れていて、単調にならない膨らみのある内容になっていた。

  • 明治天皇は、もともと白粉を塗り、お歯黒をつけていたことをアーネスト・サトウが目撃しており、孝明天皇が、描き眉、白粉、頬紅、口紅をさして、お歯黒をつけていたことも、イギリスの外交官ミッドフォードが証言しているという指摘が興味深かったです。明治天皇の像が、作為的なものだったことがわかります。
    また、次の指摘も興味深かったです。平安時代には、しかるべき地位にいれば誰でも天皇になれたのであり、天皇の「機関化」といってもさしつかえない。
     そして、次の指摘は納得できます。「称徳天皇以来、近世まで女帝は出現しないが、その背後には、幼帝の出現も大きく関係していたと思われる。」

  • 桓武天皇による長岡京遷都、平安京遷都から、平安時代~10世紀までを記述。この時代になると、もう古代というよりは中世のにおいがプンプンとしてくる。それだけに、現代との直接的なつながりもあり興味深い。

    天皇の存在は、格式で規定され機関化された。さらに、政治機構が整ったため、天皇が実際に政務をとる必要がなくなった。その結果、幼帝が出現するようになった。天皇機関説は平安時代から存在したということか。

    古代の豪族支配の名残だった郡(評)の長が試験採用となり、中央支配となって在地豪族が消えた。しかし、国―郡―里制における税収が成り立たなくなった。これを捨てて国司受領制という間接支配に切り替えた。(ちなみにこの「受領」が現代の「受領証」に引き継がれている

    租庸調を中央が総取りして後、官費や俸給で分配することをあきらめて、必要分を証文(切下文)で代用させ自助努力で取らせるようにした。これが中世以降の「手形」に発展する。

    一方で古代から残ったものとして、匍匐礼、跪伏礼がある。中国は基本的に立礼。地べたに這って礼をするのは日本独特で、魏志倭人伝にも描写がある。桓武天皇はこの地べた礼を禁止したのだが、結局、現代まで残った。「土下座」も跪伏礼らしいです。

    他にもいろいろあるけど、かな文字とか、密教の伝来などは教科書にもあるので省略。

  • 9784004312758 223+6p 2011・6・21 1刷

  • 自然災害の影響について書かれているのはこの本の特徴の一つかもしれない。光孝天皇の死に地震や台風が関わったのではないかという話は興味深かった。
    あと武士の発生について将門の乱の関わりとかもう少し詳しく読みたかった

  • 平安時代前期について、わかりやすくまとまっていてオススメです。

  • 通史です。
    「日本の場合、神が神であることに苦悩し、仏教の力により、神の身から離脱し救済されたい・・・」というところは刺激的でした。

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著者プロフィール

川尻 秋生(かわじり あきお)
早稲田大学文学学術院教授。日本古代史。
〔主な著作〕『古代東国史の基礎的研究』(塙書房、2003年)・『全集日本の歴史4 揺れ動く貴族社会』(小学館、2008年)・『シリーズ日本古代史5 平安京遷都』(岩波書店、2011年)・『古代の東国2 坂東の成立』(吉川弘文館、2017年)・『シリーズ古代史をひらく 文字とことば』(編著、岩波書店、2020年)

「2023年 『墨書土器と文字瓦 出土文字史料の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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