摂関政治〈シリーズ 日本古代史 6〉 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312765

作品紹介・あらすじ

我が世の栄華を満月にたとえた藤原道長。彼が他の貴族を圧倒する力を得たのはなぜか。『枕草子』『源氏物語』などすぐれた女房文学はなぜ生まれたのか。殿上人は、そして都の庶民は、どんな一年を送っていたのか。力をつける地方国司、武士の台頭、そして末法思想と浄土教の広がりなど、古代の終わりと中世への胎動を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 摂関政治って天皇制の補完だと思う(´・ω・`)
    藤(蔓)が御上を頼りに上に行くイメージ
    奈良時代を生き延びた藤原氏は昇進や婚姻で
    他の貴族にアドバンテージをつけ、准皇族化
    していく
    (1)皇室との婚姻
    (2)皇室以外で皇后
    (3)皇族以外で摂政
    (太政大臣の職掌から派生)
    (4)内裏に摂政は直盧=執務室を持つ
    で、本書の感想といえば、摂関が生まれた訳
    は天皇に皇后を差し出せたからではなく、母
    后が表向きの政治に関われない橋渡しとして
    「摂政・関白」が誕生した気がしました

  • 「シリーズ日本の古代史」の最終巻は平安朝の摂関政治の時代。摂政関白はなぜ生まれたのか、道長が栄華を謳歌した「わが世」とは、華やかなりし宮廷文学はどのようにして生まれたかなど、前半は宮廷中心の世界を描き、後半では地方支配の実態(受領が律令制の戸籍・計帳や班田収受が崩壊した後、どのような在地支配を行っていたか=「負名制」)、唐帝国が崩壊した後の東アジア情勢(刀伊の入寇など)が描かれていく。平安時代研究はフロンティアだと述べているように、結構、知らないことも多く、勉強になった。

  • 道長・頼通の時代を軸に扱う。道長の時代に始まった体制が、院政にも影響を及びしているとする点は、目からうろこ。 彰子・紫式部を軸に女性の政治的影響力、政治的行動、文化的影響が取り上げられているところは興味深く読んだ。摂関政治期についてまずは読んでおきたい概説的通史。

  • 藤原氏による摂関政治を完成させ、後の時代の流れを作ったのが頼通だという。なるほど、道長な氏の長者として君臨し、摂関というよりも国父の立場で宮中を仕切っていたことを考えると、その子の代に制度として固まったこと、道長は橋渡し役として大きな、大きすぎる存在として君臨していたと感じる。

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  • <目次>
    はじめに~藤原道長の「我が世」とは
    第1章  摂政・関白制度の誕生
    第2章  道長がつくった時代
    第3章  「殿上人」の世界
    第4章  ひろがりゆく「都市」と「地方」
    第5章  国際関係のなかの摂関政治
    第6章  頼通の世から「末法」の世へ
    おわりに~「古代貴族」と「律令国家」の終焉

    <内容>
    オーソドックスな摂関政治史。第4章、5章あたりをもう少し書いてほしかった。ただこのシリーズ全部に感じたのは、歴史研究は進んでいること。摂関政治の定義も武士の定義も、荘園制の内容も変わっている。最後に、”おわりに”に書かれていた、中央集権体制は、白村江からの東アジア危機の中で、必死に構築し、唐との関係が安定しても維持していたが、摂関期に至り、唐が滅亡すると、その必要もなくなり、必然的に権力の分化(太政官制をなし崩しにした道長の政治スタイルや受領制による地方の衰退)をもたらしたとの指摘は納得だった。

  • 岩波新書の古代史シリーズ完結編。本書は、摂関政治ということで、藤原道長の活躍や摂政関白の制度としての発展から、この時代の文化など。

  • 新書文庫

  • 日本古代史シリーズ読了。全般的に詳細すぎて退屈だったが、内政、外交、統治機構の展開に歴史のダイナミズムは感じた。日本だけの歴史はなく、一人の英雄だけの歴史もない。単純な歴史はなく、複雑な歴史があるのみ。

  • 史料に関する次の指摘は意外でした。
    「摂関期の日記や儀式書を読み解けるようになったのはこの30年と言っても過言ではない。日本古代史の中で、平安時代史はフロンティアなのである。」

    そして、天皇と摂関を対立視するのは不適切で、諸貴族に容易にとって代わられることのない、天皇の地位が確立し、権威権力が拡大したからこそ、摂関のような天皇直属の令外官が登場したとのことです。また、幼帝が登場して、摂関政治が行われたのも、幼帝でも天皇制が機能するようになったことを示していると解釈されています。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学教授 ※2016年2月現在

「2016年 『東アジアの礼・儀式と支配構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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