ことばと思考 (岩波新書 新赤版1278)

  • 岩波書店 (2010年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004312789

みんなの感想まとめ

言語と認識の関係について深く考察された一冊で、思考が言語によってどのように影響を受けるのかを探る内容が魅力です。著者は、言語が世界の捉え方にどのように線を引くのかを具体的な事例を交えて論じており、特に...

感想・レビュー・書評

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  • 思考に言葉は必要か。語彙力が豊富な人間ほど、思考は深いのか。

    考えさせられるテーマだ。思考には必ずしも言葉はいらないというのが私の考えで、物忘れしたときに漠然としたイメージで思考する事はあり得ない話ではない。寧ろ、緻密な文章やなど頭の中では構築せず、正確な語彙も無視して、感情を想起しながら考える事が普通だ。

    これに対し、本書を読んで考え直させられた。三つある。深い思考には言葉は必要だという事。相手の思考に作用するために、言葉が必要なのだという事。しかし、時に言葉が思考を制限し、誘導してしまうという事。

    ー 隣接する二つのカテゴリーの境界にある刺激を、二つのカテゴリーの中間の曖昧な刺激として知覚するのではなく、はっきりとどちらかのカテゴリーのメンバーとみなすことを、心理学では「カテゴリー知覚」(あるいは「範疇知覚」)という。
    英語を母語とするアメリカ人の見せた判断の偏りは、まさにそのカテゴリー知覚なのである。つまり、ことばを持たないと、実在するモノの実態を知覚できなくなるのではなく、ことばがあると、モノの認識をことばのカテゴリーのほうに引っ張る、あるいは歪ませていまうということがこの実験からわかったのである。

    曖昧なものを曖昧なままで解釈できず、近似の言葉に寄せてしまう。怒りとも言えないが、怒りという言葉に寄せて峻別してしまう、など。これは何となくわかる。このことにより、言葉が思考を規定してしまうというのだ。こうした定義づけに関しては、次の話も面白かった。

    ー rice(米)とlice(しらみ)の区別ができない。私たち日本人の耳にとって、この二つの語は同じように聞こえるが、生まれたばかりの赤ちゃんには、この違いがはっきりと聞き取れる。しかし、この聞き分け能力は一歳の誕生日ころまでに失われてしまう。つまり赤ちゃんは、最初はそれぞれの言語でつくる音のカテゴリーというものは明確に持たないが、生まれてから自分の母語にさらされ、そればかりを聞くうちに、母語の音のカテゴリーを学習し、音に関しての母語特有のカテゴリー知覚をつくり上げるのである。

    ー 赤ちゃんは・・・イヌとアヒルの見た目の違いに注意を向けず、「一個」と考えてしまうようだ。それが、「イヌ」とか「アヒル」ということばを知るようになると、二つのおもちゃが「違うモノ」であるとはっきり認識するようになるのである。
    実は、まだ「アヒル」、「イヌ」ということばを知らない赤ちゃんに、「見て、アヒルだよ」「見て、イヌだよ」と言いながら、さっきのように、一つのついたての後ろからイヌとアヒルが出たり入ったりする実験をすると、「アヒル」「イヌ」ということば自体を知らなくても、二つのことばが言われたという事実から、モノが二つあることを期待することもわかった。つまり、モノの見た目よりもことばが同じか違うかを頼りに、赤ちゃんは、時空間上に同時には存在しないモノが、同一のモノなのか、それとも二つの違うモノなのかを決めているようなのである。

    文字を覚えるまで、子供の外国語の発音は完ぺきだった。文字を覚えて、その読み方につられて、カタカナ英語になってしまう、という事を経験した。人間は、慣れ親しんだ経験に極力、認知を振り分けることで脳を省エネ化しようとするらしい。そのことが、言葉が複雑な思考を促すようで、時に制約ともなるようだ。言葉を用いて思考するという事は変えられないのだから、語彙は豊富な方が良い、というのが結論だ。

  • ゆる言語学ラジオを聴いて興味を持ち手に取った今井むつみ先生本。ラジオ内で語られていた内容がちょくちょく出てきて、相乗効果で楽しめた。
    言語によって認識の仕方や思考に影響が出るという話は、非常に興味深い。言語によって世界にそれまで無かった線を引く、ってこととかすごく腑に落ちる。いやー、おもしろいわ。高校生がこれ読んだら言語心理学とか認知科学とかの道に進みたいって思ったりするんじゃなかろうか。文系学問もおもしろいなって改めて思えた1冊。

  • 言語の多様性を紹介した上で、「言語が異なれば認識も異なるのか」「多様な言語の中にも普遍性はあるのか」「ことばを学ぶなかで子供の思考はどう発達するか」といった問いに迫る。そのアプローチは科学的で、実験によって明らかになったことを積み上げて論を展開していく。科学的な本を読むのが好きな人には楽しい一冊。

    発見に満ちて面白かった。面白かったけど、この分野の話に日頃から関心が高いのか、知っていることも多かった。例えばこのTed talkと扱っている分野は近い。
    https://www.ted.com/talks/lera_boroditsky_how_language_shapes_the_way_we_think/up-next

    一番最後に外国語を習得する意義が書かれていて「翻訳機が発達したら人は外国語を学ばなくて良くなるのか?そうではない気がするんだけど…」という疑問に対する一つの回答を提示してくれていた。

    222p 外国語を勉強し、習熟すると、自分たちが当たり前だと思っていた世界の切り分けが、実は当たり前ではなく、全く別の分け方もできるのだ、ということがわかってくる。この「気づき」はそれ自体が思考の変容といってよい。

  • 今井むつみさんの「言語の本質」を読んだ後にこちらを読んだので若干の重複はあるが、面白く読めた。

    言葉があるがゆえに見えない世界を描くことができる。他人の思考も理解できる。一方で言葉によって考え方が規定されてしまったり、自分の既知の言葉に寄せてしまったりすることもある。

    しかし言葉を通じて考えることは変わらないので、結論は語彙を多く覚えた方がよい、とのこと。言語の本質に出てくる「記号接地」の話につながる。二冊を同時並行で読むとさらに理解が進むかもしれない。

    筆者が指摘していた「言語の定義」を2か所抜粋する。噛みしめたい表現だと感じた。
    ・言語は、われわれ人間が、環境を多様な見方で眺め、認識の基本的なパーツ、つまり、ヒト以外の動物も持っている、知覚能力、カテゴリー形成能力、推論能力など、基本的な認知能力のそれぞれを、用途に応じて組み合わせることを可能にしているのである。

    ・言語は、子どもに、自分以外の視点から世界を眺めることを教え、世界を様々に異なる観点からまとめ得ることに気づかせ、様々な切り口、様々な語り方で自分の経験を語ることを可能にし、さらに、経験を複数の様々な視点、観点から反芻することを可能にするのだ。そのことに対する気づきそのものが、ヒトの子どもを、ヒト以外の動物が持ちえない、柔軟な思考へといざなうのである。

  • ここ最近読んだ言語学関連の本でいちばん面白かった。

    言語が思考に影響を及ぼす例として、「文法的性」があげられているが、確かにそうかもしれないと思う。
    私は大学時代に文法的性をもつ言語を学んでいた際に単数形、複数形以上によく分からない概念だし、ネイティブの人はどういう感覚を持っているのだろうと疑問に感じていた。
    しかし、この文法的性と私たち日本人が使う助数詞は、ものを文法で決められたカテゴリーに分類している点で同じという説明を読んで考えが変わった。
    私たちが助数詞に対して持っているなんとなくのイメージや無意識下の使い分けを、ネイティブの人たちは文法的性に対してしていると考えるとすごく腑に落ちた。

  •  実は一回挫折している。
     どうして挫折したのか、自分でもわからないけれど、なんとなく察してはいる。こう右斜め後ろ30度あたりから、どかっとぶん投げられた感じなのだ。私は右利きで、なんだったら真後ろではないし角度も浅いから、ギリギリ視野に入っている感じだ。その気になればかわせるし反撃も出来る。そう出来るはずだったのだが、それよりも先にとんずらこいたのである。理解することを私は畏れ、時間がないからという、現実的な理由を持ち出して遁走してしまった。
     本の内容についてはすでに知っていることも多い。日本人が『青』と『緑』を区別してなかったとか、世界には色を示す言葉を2つしかもっていない人々がいるとか、うんちく程度に知っている。そのうんちくで知ってる程度という部分を刺すようにして、論が展開する。
     まずは定義、言葉の定義だ。
     知っていると思っていたことの知識の浅さを指摘され、軽く叩かれる感じ……はい済みません、なんか《なんとなく》でした。それをイッコイッコ事例で指摘されて、認識をあらためざるを得なくなる。人間まったく知らんかったことを教えられるよりも、知ってると思い込んでいた部分の間違いを指摘される方がしんどい。ざっくりぐっさり突き刺さる。しかしながら、こういうことだったのかと目が開く部分も多かったし、思わぬ場所で以前読んだ本とのつながりが結びついたりして面白かった。
     『思考』と『認識』の定義付け『基礎語』『カテゴリー知覚』『ウォーフ仮説』『知覚と言語の関係』……etc.について、わかりやすい白黒を付ける方が楽だけど、それでは立ちゆかないのも事実。
     一度挫折はしたものの、今こそが読む時だったのかもしれないと、自分をなぐさめていたりする。

  •  中国語や英語では、時計は“鐘”clock“表”watch、カギも“yaoshi”keyと“鎖”lockに分けられる。こんなふうに、言語によって、世界がいろんなふうに切り分けられていることは、鈴木孝夫さんの『ことばと文化』『日本語と外国語』(岩波新書)等によって、日本でもよく知られるようになった。しかし、ことばの分化が認識に影響するかどうかは、サピア・ウオーフの仮説をどう評価するかにもかかわる古くて新しい問題だ。色の種類を二つしかもたない民族でも、色の識別はできるということがわかって、認識はことばに関係ない、ということも言われるようになった。たしかに、人間の認識というものは基本的なところでは、驚くほど一致する。しかし、ことばが認識に影響を与えることはないのだろうか。本書は、著者がそのような問題意識にたち、実験心理学の成果をふまえ、人間の認識の普遍性と、ことばが認識に影響を与える事例を興味深く提示する。普遍性にかかわるものを一つあげれば、英語や他の言語では「歩く」や「走る」を表す動詞がたくさん存在するが、「歩く」と「走る」の間は、多くの言語ではっきり分かれるとか、色の認識は確かにその核となる部分では一致するが、周辺部の色名が変わる部分ではことばに左右されることがあることをロシア語の例を引いて述べている。日本語と中国語はともに助数詞をもっているが、中国人が「椅子、傘、包丁」を共通のものとしてくくろうとする傾向は、同じ助数詞(“把”)を使っていることから来ている、などの指摘はとても興味深い。(ぼくも「言語文化論」の授業で実験してみたが、その通りだった)バイリンガルの思考と言語がどうかかわっているかの記述も興味深いが、それは本書を手にとって読んでほしい。もっとも、今井さんの関心は、認識が先か言語が先かということではなく、わたしたち人間の認識と思考に言語がどれほどかかわっているかを明らかにすることだという。熟読玩味に値する、深い本である。

  • 「英語独習法」に続く、今井先生2冊目。

    「英語〜」はタイトルの通り、英語と日本語の違いを軸に、言語感覚と認知のつながり、言語の違いによる認知の違いを教えてくれた。
    この本はもっと幅広く、英語ドイツ語フランス語ロシア語中国語、更にはイヌイット語、ゴドベリ語(どこよ?)、グーグ・イミディル語(ゆる言語学ラジオで言ってたやつだ!)まで、様々な言語の様々な差異を通して、サピア=ウォーフ仮説を検証する。

    イヌイット語では、雪の種類に応じて20以上の独立した単語があるとか。
    数の数え方の影響で、一般的にアジア圏のこどもは欧米のこどもより小さいうちに計算ができるようになるとか。
    そういうトリビアな雑学だけでも結構楽しい。

    個人的に1番面白かったのは、空間認知能力にも、複数の情報を組み合わせて推論することにも、言語が影響していて、だから、「色」情報と「相対位置」情報をヒントに宝探しをさせる実験(たとえば『黒い壁に向かって左側の角』)で、言語野を機能させなくする(ヘッドホンから聞こえてくる文章をどんどん復唱させながら宝探しをさせる)と、成功率が低下するという話。
    この実験を考えたのがまず、すごいと思う。

    言語がいかに認知に影響するか、人間の言語習得プロセスの面白さ、そして、世界の広さに驚かされる。

  • 違う言語を使う者同士の認識はたしかに違う部分がある、しかし、それ以上に、言語が思考に与える影響、違う言語感の違う認知を知ることが大切。

  • とても興味深い本でした。

    日本に生まれて、日本語の観点で自然にものを見ている事を改めて知ることが出来た。
    色を「明るい・暗い」の2語しかない言語や「1と2しかない」言語
    世界中の様々な言語についても取り上げている。
    その言葉を使いこなす民族の思考をいろんな実験から解く。

    生き物としての人とねずみやチンパンジー・オラウータンなどとの比較もおもしろい。
    まだ言葉を習得していない赤ちゃんたちの反応も面白く、子供の発達に興味がある方はぜひ読んでほしい。

  • 言葉は思考に影響を与えるのか?
    思考が言葉で成形されるなら言葉は思考の器になる。器、そして枠、あるいは枷に。思考は言葉によって縛られているのでは?
    そんな疑問に、各種の実験を紐解きながら検討する一冊。
    導かれた結果は掲げられた冒頭の疑問の答えとして、なかなか満足できるものではなかったが。

    出されたこの答えを前に、言葉はどうやって生まれたのだろうと考えた。
    人間の成長の場面では、言葉は赤ちゃんに両親をはじめとする先輩話者から与えられる。だがその親、親の親…要するに人類が言葉を会得していくとき、言葉と思考はどちらが先だったのか…。

    鶏と卵なのかもしれないけれど。

    そしてあとがき、最後の一文のそのまた最後で、著者から感謝を捧げられた相手に思わず微笑んでしまった。

  • 人は話す言語によって思考が変わるのか?について科学的に検証した本。
    私はウォーフ仮説がなんか好きなんだけど、ウォーフ仮説は正しいのか?についても書かれていて面白かった。
    要はウォーフ仮説は言い過ぎなんだけど、思考は言語によって確実に影響されてるってことで、なんかニヤッとした。それとバイリンガルの人は言語によって思考が切り替わってるわけじゃないってこともわかって好奇心も満たされた。ことばって物事を全てちゃんと正確に言い表してるとは言い難いと感じて、なんか「シッダールタ」も思い出されて、いい読書時間だった。

  • 『ことばと思考』は、認知科学者の今井むつみが、私たちの思考と言語の関係について、最新の研究成果を踏まえながら探求した画期的な著作です。この本の特徴は、従来の言語学や心理学とは異なる視点から、人間の認知と言語の関係を包括的に解明しようとする姿勢にあります。
    本書の出発点となっているのは、「私たちはことばを使って考えているのか」という根本的な問いです。一見当たり前に思えるこの問題について、今井は認知科学の実験データや日常的な経験を巧みに組み合わせながら、新しい視点を提示していきます。
    例えば、幼い子どもの言語習得過程の分析は特に興味深いものです。従来、子どもは大人の言葉を単純に「真似て覚える」と考えられがちでした。しかし今井は、子どもが積極的に概念を形成し、言葉の意味を自ら構築していく過程を明らかにしています。例えば、子どもが「りんご」という言葉を覚える時、単に音声パターンを記憶しているのではありません。色や形、味といった様々な感覚経験を統合し、「りんご」という概念を作り上げているのです。
    本書で特に印象的なのは、言語と概念形成の関係についての新しい知見です。私たちは往々にして、まず言葉があって、それによって概念が形成されると考えがちです。しかし今井の研究によれば、実際のプロセスはもっと複雑です。言語は概念形成を助けるツールではありますが、それ以前に、私たちの身体的な経験や感覚的な理解が重要な役割を果たしているというのです。
    また、本書は言語の文化的側面についても深い洞察を提供しています。例えば、日本語話者と英語話者で、同じ現象の捉え方が異なることがあります。これは単なる言語の違いではなく、それぞれの言語が反映する認知の仕方の違いを示しているのです。今井は、このような言語による思考の違いを、豊富な実験データを基に説明していきます。
    さらに、この本は教育への重要な示唆も含んでいます。例えば、なぜ外国語学習が難しいのか、どうすれば効果的に新しい概念を学べるのかといった実践的な問題について、認知科学の知見に基づいた説明を提供しています。特に、「意味」を重視した学習の重要性を強調する今井の主張は、教育実践に大きな示唆を与えるものです。
    本書の現代的な意義は、人工知能や機械学習との関連でも見出すことができます。人間の言語習得と概念形成のメカニズムを理解することは、より自然な言語処理システムの開発にも重要な示唆を与えるからです。
    今井の文体は明快で、複雑な認知科学の知見を、一般読者にも理解しやすい形で提示することに成功しています。それは単なる理論の解説に留まらず、私たち自身の思考や言語使用についての深い洞察を促すものとなっています。
    この本が投げかける問いは、今日ますますその重要性を増しているように思えます。デジタル技術の発達により、私たちの思考や言語使用のあり方も変化しつつあります。そのような時代に、人間の認知と言語の本質的な関係を理解することは、極めて重要な課題となっているのです。

  • 異なる言語を話す日本人と外国人では、認識や思考のあり方は異なるのだろうか。「前・後・左・右」のない言語の位置表現など、調査・実験の成果を紹介しながら、認知心理学の立場から明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40136351

  • 言語が思考を決定するか、
    異なる言語の話者が異なる思考をしているか、
    というのをいろいろな角度から考察した本。

    いろいろな実験結果から話を進めていく。

    個々の実験の話はわかりやすいのだが、そこからの考察は私にはちょっと難しかった。

  • 私たちの思考は言語の枠組みの影響を受けている。だから異なる言語の話者同士は世界の認識や思考様式がまったく異なるのかもしれない、というある意味有名な仮説に対して最近の言語学がどこまでアプローチしているのかをわかりやすく解説する本。異言語間の差異と共通点だけでなく乳児幼児がどのように言語を習得していくのか、言語習得以前の認識のあり方に対して言語はどのように影響しているのかなど基本的な事柄を初心者向けに丁寧に解説していて良かった。さすが岩波新書と言うべきかとても新書らしい新書で安心して読めました。

  • 今井むつみさんの本はこれで3冊目ですが、この本は分けてもインパクトが大きいものでした。言葉を通じて世界を見たり、ものごとを考えるのですが、言葉が違うと、認識、思考のありようが違うのか、それにより相互理解はできないのかといった問題に認知心理学の成果を踏まえて分け入っていきます。外国語を学ぶことで認識の多様性への気づきといった思考の変容が得られるとか、言語が異なっても相互に分かり合えるとか、ある意味、感動的な知見の連続でした。

  • "われわれは、生まれつき身につけた言語の規定する線にそって自然を分割する"
    "世界が自分自身を分割し、名前をつけられるべく待っている"
    先達のことばを引きつつ、ご自身の研究も紹介しながら、どうヒトは思考しているかを考えさせられる、良い本でした。

  • 母国語が、ものの見方にいかに影響を与えるものであるか。衝撃的でした。一方で、異言語使用者間でも、共通する見方があるとのこと。非常に興味深いテーマでした。

  • これは面白い。最初のうちは「それって必ずしも因果関係と言えないんじゃ?」とモヤモヤしたが、中盤に入って著者の専門分野である子供の言語習得のテーマになると俄然説得力が増して本質を掴むことができる。結論だけを見れば当たり前のことしか書かれていないが、それに至るまでの道筋が良く考えられていて自然と腑に落ちるようになっているのはさすが。

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著者プロフィール

今井 むつみ(いまい・むつみ):慶應義塾大学環境情報学部教授。1994年ノースウエスタン大学心理学博士。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。学力不振で苦しむ子どもたちの学力困難の原因を見えるようにするツール(たつじんテスト)や学習補助教材の開発にも取り組んでいる。著書に、『言語の本質――ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)、『ことばの発達の謎を解く』(ちくまプリマー新書)、『親子で育てる ことば力と思考力』(筑摩書房)、『言葉をおぼえるしくみ――母語から外国語まで』(共著、ちくま学芸文庫)、『ことばの学習のパラドックス』(ちくま学芸文庫)、『ことばと思考』『学びとは何か――〈探究人〉になるために』『英語独習法』『学力喪失』(以上、岩波新書)、『算数文章題が解けない子どもたち――ことば・思考の力と学力不振』(岩波書店)、『ことば、身体、学び――「できるようになる」とはどういうことか』(扶桑社新書)ほか多数。

「2024年 『AIにはない「思考力」の身につけ方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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