本は、これから (岩波新書)

制作 : 池澤 夏樹 
  • 岩波書店 (2010年11月20日発売)
3.50
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  • 128レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312802

作品紹介

グーテンベルク革命から五世紀。電子の端末が膨大なコンテンツから美しい「ページ」を開くこの時代、あなたにとって「本」とはいったい何か。それはいかに変貌するのか。書店・古書店・図書館・取次・装丁・編集、そして練達の書き手・読み手の位置から、鋭いアンテナの持ち主たちが応える-本の過去と未来を俯瞰する三七のエッセイ。

本は、これから (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • さぁ電子書籍の時代がきた。人類が愛してきた紙媒体としての本はどうなっていくのか。本に携わる多様な立場の人々の見解です。

    本という紙媒体はなくならないっしょ!

    選択肢が増えるだけだよ。

    --
    本として印刷されるジャンルが減るだろうね。圧倒的に。
    まず、新書や学術本などの、掲載される情報に価値の重点があるものはほとんど電子書籍に行くだろう。
    このジャンルは読み手が必要な情報を得たいから読むもの。電子書籍のキーワード検索が生かされる。検索が使えない紙媒体の需要は減る。
    あと、新書とかはサクッと読めるという点に価値が見出せる。わざわざ本屋で買ったり、蔵書のスペースを占有されたりといった面倒はなくしたい。 ( ^_^)つ電子書籍  ってこと。

    小説とか、情報ではなく感情を震わせる表現やストーリーに価値があるものは、電子書籍と本の二刀流。
    紙媒体である価値が無くなるわけではない。結局読書好きには紙媒体への愛着持ちが多いはず。だから本でも売れる。
    ただ、電子書籍での持ちだしやすさが好きな人もいるはず。

    --
    電子書籍化で憂慮すべきは、情報のピンポイント抽出の功罪である。

    これは辞書VS電子辞書の発展版である。
    辞書を使って〇〇の意味を調べる。するとたまたま目に入った☓☓の意味が面白く、ボキャブラリーが増えた!
    でも、電子辞書は目的の一語しか意味が表示されない。ステキな「たまたま」がなくなってしまう。

    電子書籍でも同様に、自分に必要なキーワードの部分だけ読む人が絶対に出てくる。
    そういう人は知識が「広く浅く」どころか、「狭く浅く」にしかならないだろう。
    「社会全体としての教養レベルがまた下がる・・・。」と嘆く人が出てくるだろうね。

    これから今言ったような難点を批判する「読書論」の本が出てくるんだろうな。

    電子書籍で。

    --
    個人的に選択肢が増えるということは大きな価値。電子書籍の存在自体は確実にプラスなはず。
    デメリットは電子書籍の存在に起因するのではなく、だいたい人間の本性に関わるところである。
    楽な方法が生まれれば人はそっちを使う。楽をする=努力が足りない。だからアカン。という論理は尤もである。

    けれど、それは電子書籍のせい?人間性の問題でしょ?
    個別に対応策をしっかり考えることこそ道理に適った対応である。

    だから私は歓迎する。

  • 2010年刊。電子書籍の台頭を受けた「書籍」に関するあれこれを、37名の識者がエッセイ化したもの。正直、玉石混交。また、個人的にはノスタルジックな「紙の書籍」に対する郷愁だけを叙述するエッセイには興味なし。その中で、図書館論の常世田良氏、零細書店論の永井伸和氏、買い手目線に特化した成毛眞氏のエッセイが興味深い。一箱古本市・個人出版の提供方法の模索を紹介する南陀楼綾繁氏の活動も。なお、個人的には、複数色での書き込み可能で、書き込みと地の文とが区別可能なディスプレイができない限り、紙の書籍を使い続けたい。
    しかし、一方、書き込みをほとんどしない小説・マンガなどのフィクションは電子媒体でも可。あるいは、検索の容易性がさらに高まれば(例えば、先だって読んだ蓑田胸喜関連で、「天皇と東大」のみらず、その他既読済みの関連書籍が直ちに参照できるようなもの)、部分的に電子媒体にシフトすることがあるかも…。こういうことを夢想させられる一書である。

  • どうして誰も読書の「恥ずかしさ」に触れなかったのだろう?年取った書き手はどこかしら選民気取って鼻につくし、出版業界周辺の素人さんは自慢話をさりげなさを装って出してくるし、当の業界は開き直ったり、デジタルにおもねってみたり。重ねて言いたい。読書がある種自慰的行為であって、あまり人様の前で偉そうに語ることではない、ということを少しでも言ってくれる筆者がいればよかったのに。

  • 様々な分野で活躍してる方々が、これからの本や電子書籍について語っています。ここに書いてあることをしっかり参考にしつつこれからの本や電子書籍について、自分で見定めていかなくてはいけないと思います。

  • 電子書籍の登場によって、本はこれからどうなっていくのか。池澤夏樹氏によって編纂された37のエッセイ。作家、装丁家、写真家、大学教授、企業の取締役など、様々な分野で活躍する人たちの本に対する考え方を知ることができる。電子書籍は今後確実にシェアを伸ばす。でも、紙の本はきっと無くならない。両者の棲み分けが大事。自分はまだ電子書籍は未体験、ゆくゆくは、実用書・自己啓発本・軽い小説は電子で、古典や本当に好きな本は紙で、という棲み分けができたら良いなと思った。

  • 「本は、これから」
    をテーマにした37人のエッセイ。

    「これから」の部分には、当然、電子書籍と紙の本の関係性についても含まれるし、それが大きなウェイトを占める。
    電子書籍の話については(当たり前ながら)それぞれ温度差がある。

    自分も以前、電子書籍を読んでみたが、その時、初めて気がついたのは
    「全体のどの辺りを読んでいるか、感覚的に分からないと読みにくい」
    という事。

    デジタル時計よりアナログ時計の方が感覚的に時間を掴みやすい、というのと同じような感じ。

    電子書籍に積極的な人も消極的な人もこのような点については何も言わないので、自分だけの考えかと思っていたが、本書の中で、内田樹が全く同じ事を言っていた。
    また、池澤夏樹の「(紙の)本の最後の拠り所は”重さ”かもしれない」という言葉(帯にも書いてある)に思わずうなずいてしまった。

    当初、自分は電子書籍には消極的だったのだが、本書にエッセイを書いた多くの人が
    「紙だろうが、電子書籍の形だろうが、本を読む、という行為が変わる事はない」
    と言っていることにハッとした。

    本書の中で使われていたが
    「不易流行」
    という言葉が印象に残る。

    松尾芭蕉の言葉で
    「いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、
     新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。
     また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること」
    という意味。

    自分に合った媒体を使えばいいだけのこと。
    ただ、一方がべらぼうに高くなったり、無くなったりすることさえなければいいのだ。

    本書は「電子書籍と紙の本の将来について」という点だけでなく、「あなたにとって本はどういったものか」ということをそれぞれ述べている、という面もある。

    本は、ある人にとっては、情報収集の道具であるかもしれないが、別の人にとつては、思索の世界へ誘ってくれる案内役であるかもしれない。
    要するに、本は紙に文字などを印刷したもの、というだけのものではない。

    電子書籍に、その「重み」が持てるだろうか。
    だが、電子書籍でなければできない事も多いだろう。

    電子書籍が本のマネをしようとしている点に留まれば、おそらく紙の本の方が有利。
    ただし、電子書籍が本とは違う「何か」を志向しはじめた時に初めて真価が発揮されると思う。

    本と電子書籍は対立するものではなく、ある面では、お互いに補完するものであろうし、別の面では対立しようがないほど全く違うものになっていくような気がする。

    ところで自分は、電子書籍は、おそらくしばらくは読まないだろう。
    ちなみに前に買った電子書籍も、未だに最後まで読めていない。

    どうもマニアックな本にばかり買う傾向があるようで、欲しくても電子書籍の方がない事が多いのだ。
    それ以前に本を買うのは古本が中心なので、当面、電子書籍の出番はなさそうだ。

  • 2010/11発行
    『電子書籍と本』について考える為に読んだ。
    読み始めて最初は、いろんな立場の人が電子書籍に対して深い見識から述べる良本かと思ったけど
    結局あとがきにもあるように、本がどうしようもなく好きな人たちが意見している。

    一つ一つの意見にはっとさせられる部分はある物の、総じて元来の議論の枠から新鮮な意見と感じる部分はなかったような。

    池澤夏樹ファンの人には、彼独自の空気感はみっちり感じるので良いかも。

  • 約40人の学問や企業などで名を馳せている有名人の方々の、本にまつわるこれからの日本、または世界について書かれた作品がまとめられた豪華すぎる本です!

  • 題名の意図は、「本はまだまだこれからだぜ!!」ではなく、「本はこれから、どうなっちゃうの・・・?」である。2010年は電子書籍元年と言われているらしい。けれども、今や読書の習慣をもつ人は希少なので、こういう問題意識をもつ人はあまりいないように思われる。大部分の人にとっては、本がどうなろうと、そんなことはどうでもいいのかもしれない。

    書物が電子化されることに危機感を抱いているのは出版社や書店の経営者くらいのもので、私のような一ユーザーとしては、むしろ歓迎すべきことだと思っている。というのも、読書人口の減少に伴って、出版社は本を濫造しているからだ。紙だって貴重な資源である。一方で、ネット上にはジャンクな情報が氾濫している。書籍化するに足だけのコンテンツのみが書籍化されれば充分なのだ。また、町の本屋さんが消えていくことを嘆く人がいるけれども、そんなものは要らない。各地域の中核都市に、あらゆるジャンルの本を備えた超大型店が一つあれば済む話だ。

    実際のところ、電子化されるべき領域では、すでに電子化されている。学術的な論文は、もはやほとんど冊子の形で出版されることはない。百科事典の類も不要だろう。新聞も、そのコストを考えれば、紙に印刷して配布するメリットはないと思う。つまるところ、自分の知りたい情報だけを得るのには、インターネットのほうが圧倒的に向いているのである。

    けれども、紙の本を読むという作業は、それとは根本的に異なっている。読書の醍醐味は、読んでみないと、自分がどこに連れて行かれるかが分からないことである。読書は、身体性を伴う行為なのだ。紙の書物は、全体の位置を俯瞰的に知ることができ、読了したときには達成感が伴うのに対して、電子書籍なるものは、茫漠と広がる情報の海の中の1ピースに過ぎない。電子図書は、「読み終えた私」への小刻みな接近感を読者にもたらすことができない──この内田樹の指摘は、言い得て妙である。だから私は、決して電子書籍は読まないし、それが本の主流な形態になることもないだろうと思う。

    中野三敏の文章が面白かった。書物は、これまでに二度の革命を経験している。一度目は写本から版本へ、二度目は版本から活版への移行である。驚くべきことに、明治以前の写本・木版本のうち、活字化されているのは1%ほどに過ぎないという。また、そのような書物は、楷書体の漢文著作以外はすべて、変体仮名と草書体漢字という「くずし字」で書かれている。現在、くずし字を読むことのできる「和本リテラシー」をもつ人は、日本に3千人ほどしかいない。これらの書物をすべてスキャンして電子化するプロジェクトが進行しているのかどうかは知らないが、活字化されていない書物に対しては、電子化は福音なのだ。

  • 「本は、これからどうなるのか」というテーマで、編者の池澤夏樹他36名の著名人の文章。
    いつの間にかほとんど見なくなったレコード盤にカセットテープ、ビデオテープ。これからはCDやDVDも消えて行くのかもしれない。紙の本も電子書籍へと移行するのだろうか? 50年、100年後を見届けられないのが残念。
    私は紙の本が好きだけど、iPadでも読んでみたい(地図や写真がすぐに見られる旅行記とか)。

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