正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)

著者 : 坪内稔典
  • 岩波書店 (2010年12月18日発売)
3.81
  • (4)
  • (7)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • 77人登録
  • 14レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312833

作品紹介

幕末に生れた子規は明治という時代と共に成長した。彼は俳句・短歌・文章という三つの面で文学上の革新を起こし、後世に大きな影響を与える。子規の言葉は新しくなろうとする近代日本の言葉でもあった。そのみずみずしい俳句・短歌・文章などを紹介しながら、三十四年という短い人生を濃く溌刺と生きぬいた子規の生涯を描きだす。

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 正岡子規といえば、まず「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」が出てくる。  しかし、実際、子規の生前にはこの句はほとんど注目されなかったよう。
    万葉集を賞賛し、古今集(紀貫之)を批判し、芭蕉を崇める宗匠を批判し(「古池や…」などありきたりな句は批判、そうでない注目すべきところは評価している)、埋もれていた与謝蕪村を掘り出している。

    夏目漱石との密な関係や、夏目漱石にだからできたかもしれないハチャメチャな人間模様は面白い。
    また、晩年、病気で塞ぎこんでてはダメで、それすら笑い飛ばすかのように面白いと思えたり、草木こそは我が命と思えるような心境の変化も、文章を追っていくとよくわかって面白いなぁと思った。
    どんな人の心もやはり状況が変わると変わっていくもんだなと。

    ちなみに、浅はかとした中江兆民が、療養で堺の、それも浜寺で晩年を過ごしてたことを初めて知って驚いた。

  • 雪降る2日間、読みふける。
     前から気になっていた子規。やっと読めた入門書。34年間の生涯、少年、学生、記者、病床、仰臥の5時代5章に分け、その扉でその時代に書き残した言葉や歌を配する。「(俳句・短歌・文章の文学上の革新を起こした)子規の言葉は、新しくなろうとする近代日本の言葉」を、初心者にもわかるスタイルで構成。老後は漱石、と決めていたのも子規を読む理由。また、著者が「ねんてん先生」、坪内稔典さんだったことも。前から、屈託なく楽しい俳句、融通無碍な文章が好きだ。
                   
     子規の人間性、強烈な個性に惹かれる。自分を徹底して客観化・対象化し、滑稽さを愛する開放性に驚く。江戸幕府瓦解の年に生まれた子規、今から100年以上前に溌剌と生きた青年に、普遍的な人生の意味を考えさせられる。本物の知性とは何かを。生涯の友人、漱石を身近に感じるようにもなった。読み終えて直ぐ「墨汁一滴」と「病床六尺」を注文。久しぶりに「坊ちゃん」再開。

  • 子規の生涯を読むのに手に取りやすい本だと思う。
    野球のことも載っていたので、野球好きな人も読んでみるといいと思う。

  • 子規の名前がホトトギスを意味することは知っていましたが、11歳のときに初めて読んだ漢詩が「子規を聞く」、そして子規とは、ホトトギスの啼き方が、肺病の咳き込み方と似ているため、肺病をも意味することを知って覚悟して使っていたというのです!正に早熟の天才と言うべきですね。蕪村、万葉集が芭蕉、古今集に比べて不当に低い評価として再発見・復活したり、「柿」は、和歌では詠まれることがなかったが、彼の俳句により初めて秋の代表的風物になったなど、新しい発見でした。

  •  坪内稔典『正岡子規』(岩波新書)

     なんとなく手に取った子規の本です。
     子規といえば、痛烈な芭蕉批判と古今集批判が印象的だったのですが、とりあえず彼の批評は全て痛烈だったらしいという事がわかりました(笑)
     後、短歌のイメージしかなかったので、漢詩を好んでいたというのには少々驚きました。
     しかし、「言葉と生きる」と副題についているだけあって、最後まで言葉づくしでしたね(笑)
     それにしても虚子を見限っていたとは………

     病床時代に妹を批判しているのを見ていると、今の介護の問題が頭をよぎりました(…)

  • 正岡子規に関する本は何冊か読んではいるものの、多分、どれも半分くらいしか理解できてないまま読み終わってるところがあって。
    昔の文章だったり、俳句や短歌の意味がよくわからないまま読んでるからなんだけど。
    この本も同じように半分くらいしか理解できてないかなぁ。と思うんだけど、何冊も読んでると積み重ねができてきて、ちょっとずつでも理解が増えてきます。
    そして、読めば読むほど、正岡子規という人の魅力に取り憑かれていってるような気がします。

    この本の中で「子規の俳句(短歌や文章)は、自分が面白いと思ったことが、読者にも面白いと思ってもらえるものであった。」とあります。
    これって、私の中で理想としているもので、文章に限らず、自分が面白いと思うもの(写真なども含めて)が見ている人にも面白いと感じてもらえたらいいなぁ。とずっと思ってて。
    あぁ、やっぱり子規ってスゴイな。と改めて思いました。

    また、子規は「一題十句」という俳句の作り方をしていたそうです。
    「無造作に多作した中に秀句があるかもしれない。」ということで、たくさん作ったのでは、ということなんですが、これにも共感。

    そして、この本を読んで、俳句をもっと理解できるようになりたいなぁ。と思いました。

  • ネンテン先生の正岡子規論、学生時代古本屋で見つけた全集、俳句人生の原点、興味深く読んだ。

  •  少年時代。学問のすすめが時代の雰囲気であった。手段は筆写であった。古今の俳句を四季や事物や句調で分類することによって、俳句の表現上の特色を身につけた。雑誌を編集し漢詩に熱中し政談を演説する。ベースボールに心をなごませ月並な和歌を詠む。日本語の改良をめぐる熱気の中、言葉によってその弱虫を脱却し、言葉と関わることによって成長していった。

  • ネンテンさんの愛称で知られる俳人・坪内稔典による、正岡子規の評伝。
    子規の著作の一節を引き、その背景を数頁に渡って解説するという形式で、子規の幼少時から臨終までを追っていく。

    子規の入門書としてはコンパクトで手頃なのではないかと思う。
    書くこと・読むことを徹底した力業の勉強法。
    病に伏してからも執念のごとく書き、俳句の研究も止めない子規。病床で書くことに「憂さ晴らし」の意味があるという著者の指摘はおもしろかった。文字を書き、絵を描き、晩年には口述筆記させることで、ひととき、脊椎カリエスの痛みを紛らわせていたのだろうか。
    伏してなお、多くの人々を病床に引き寄せる誘因力もすごい。

    著者は基本、明るい人という感じがする。子規もまた、著者とは毛色が違うけれど、明るい人だったのだと思う。病を得ていなければ、どんな仕事をしたのだろう?
    それにしても辛い病だったようで、自殺を企てた後の小刀と千枚通しの絵は胸に迫る。

    *著者の俳句は「三月の甘納豆」と「河馬になりなさい」くらいしか知らないが。ちょっと前に読んだ歌人・河野裕子についてのエッセイがおもしろかったので、本書も読んでみた。

    *実を言うと、『病牀六尺』は、長年、ぽつりぽつりと読み進めるのみで遅々として進まず。「へぇ」と感心するところがところどころにあるのだが、何となく全体として頭に入ってこないんだよなぁ・・・。子規は自分には合わないのかもしれないなぁと思ったりしていた。この本を読んで、少しは読みやすくなるだろうか。

  • 正岡子規の病床にあった頃の生活を当時の短歌と俳句をあげながら伝えてくれる本でした。そのために短歌も俳句もリアリティに溢れていて分かりやすかった。

全14件中 1 - 10件を表示

坪内稔典の作品

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)はこんな本です

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする