ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312963

作品紹介・あらすじ

インディオたちがのこした伝承とヨーロッパの近代をともに腐葉土としながら、夢や魔術と苛酷な現実とがふしぎに入り乱れる、濃密な物語を紡いできたラテンアメリカ。ボルヘス『エル・アレフ』、ガルシア=マルケス『百年の孤独』、バルガス=リョサ『緑の家』、そして?翻訳の第一人者として知られる著者による、待望の作品案内。

感想・レビュー・書評

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  • ラテンアメリカ文学のマイブーム再燃により再読。ただし、ストーリー紹介=ネタバレは気になるかも。自分としては、複雑なストーリーのインストとして便利ではありました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      岩波がコンスタントに文庫化して呉れてるので嬉しい。昨年コルタサルが2冊。次は「石蹴り遊び」だと勝手に思っています。。。
      岩波がコンスタントに文庫化して呉れてるので嬉しい。昨年コルタサルが2冊。次は「石蹴り遊び」だと勝手に思っています。。。
      2013/03/05
  • ブラジルが無い。

  • ここのところ木村榮一さん関係の本をたくさん読んでいる。翻訳家の仕事、黄色い雨、そしてこれ。
    マジックリアリズムについて書かれていることが、その通りだなーと。ラテンアメリカでは現実が魔術的なので、現実を書こうとするとこうならざるを得ないと。(言葉は違ったかも)
    この中で読んだことある作家は4人、他の作品もぜひ読みたいのだけど、翻訳されてなかったり、絶版になってたりで残念。

  • 積みっぱなしの本を崩すきっかけになれば…と思って読んだ。結果としてはまた読みたい本が増えてしまった。
    入門書としては読みやすくて、歴史背景や作者の経歴もざっと把握出来る良い本だと思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「結果としてはまた読みたい本が増えてしまった」
      判る~
      私は、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス「大統領閣下」と、カルロス・フェンテス「我らが...
      「結果としてはまた読みたい本が増えてしまった」
      判る~
      私は、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス「大統領閣下」と、カルロス・フェンテス「我らが大地」
      2012/06/27
  • インディオたちがのこした伝承とヨーロッパの近代をともに腐葉土としながら、夢や魔術と苛酷な現実とが入り乱れる、濃密な物語を紡いできたラテンアメリカ。ボルヘス、ガルシア=マルケスなど、翻訳の第一人者による作品案内。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40142907

  • 簡潔で分かりやすく、それでいてさすが木村先生という物語への確かな目。

  • ●魔術的レアリズムという言葉は聞いたことがあったが、ラテンアメリカ文学の特徴を表す言葉だったか。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705898

  • 著者の説明がとても読みやすいのもあって、紹介されてたラテンアメリカ文学作品の作者の背景やストーリーが分かりやすくまとまっていた。いくつか読んでみたいと思った。
    [雑記]
    ・政治情勢が作品に深く影響を受けること
    ・インディオやアマゾン奥地の神秘、魔術的なものの影響
    ・スペイン語圏なので、スペインやラテンアメリカの他の国に行っても言語的には(日本人ほど)苦労しないから、いろんな国の要素を取り込みやすい
    ・ブラジル文学も知りたかった。言語が異なると「ラテンアメリカ文学」と一括りにしづらいのか…??

  •  とっつきにくいけど、有名な南米小説のガイド集。
     著者のプロフィールや歴史的な背景も説明されて読みたくなる。

    目次
    <span style="color:#0000ff;">1ホルヘ・ルイス・ボルヘス『エル・アレフ』
      ─記憶の人、書物の人 </span>
     
    2アレホ・カルペンティエル『失われた足跡』
      ─魔術的な時間
     
    <span style="color:#0000ff;">3ミゲル・アンヘル・アストゥリアス『大統領閣下』
      ─インディオの神話と独裁者 </span>
     
    4フリオ・コルタサル『石蹴り』
      ─夢と無意識
     
    5ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』
      ─物語の力
     
    <span style="color:#0000ff;">6カルロス・フェンテス『我らが大地』
      ─断絶した歴史の上に
     
    7マリオ・バルガス=リョサ『緑の家』
      ─騎士道物語の継承者
     
    8ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』
      ─妄想の闇
     
    9マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』
      ─映画への夢 </span>
     
    10イサベル・アジェンデ『精霊たちの家』
      ─ブームが過ぎた後に

     

    序章
     アメリカ大陸は15世紀末にコロンブスによって「発見」されその後、約3世紀スペインの植民地として統治されました。
     その間は宗教による検閲が強くかけられ、地理的にもヨーロッパの間に大西洋があり、隔絶されていたためラテンアメリカの人たちは中世末期の心性を残したまま、隔絶された世界に生きていくといってもいいでしょう

     また、植民地時代も独立後も、様々な民族の入植者、アフリカ大陸から黒人奴隷が連れてこられ、民族的な多様性がそのまま分化的な多様性となって現れている点にも新大陸独自の文化的な多様性があるといいます
     
     1,910年代に入るとヨーロッパの前衛主義の影響を受けた若い世代の詩人たちが登場してきます。
     また30年代から40年代にかけて登場してきた小説の分野に於いて、ルイヘ・ボルヘス、アレホ・カルペンティエル、ミゲル・アンヘル・アストゥリアスらが先駆者として1960年代から80年代にかけて重要な作品を生み出してきた
     彼らは皆、若い頃はヨーロッパに滞在しそこで前衛主義運動の洗礼を受けている

     植民地時代を通じて中世末期のまま凍結されていた言語が、独立以後徐々に解凍し始め、近代派ににおいてようやく目覚め、南米生まれの芸術家が生まれてきた

     ガルシマルケスは文体が決まらず苦しんでいた、が、そんなある非現実的な出来事を、今見てきたばかりだと言うように表情1つ変えずに喋っていた祖母の語り口を生かせばいいのではないか、そう考えて完成させたのが「百年の孤独」

     泉に落ちた女性を落ちて亡くなった女性がいたとして、彼女は泉に落ちたとと考えず泉がその女性を呼び寄せたというふうに考える。アストゥリアスにもインディオ的.魔術的なものの見方や考え方取り入れている

    1章
     ホルヘルイスボルヘスが天才的な記憶力があった。
     「記憶の人フネス」という短編では、記憶力が異常なまでによすぎると人がとても生きていけないと言うストーリーである。こんなのを考えつくのはボルヘス以外にはまず考えられない。

    2章
     カルペンティエルの「失われた足跡」河をさかのぼることがそのまま時間の遡行につながると言う特異な発想で書かれている。

    3章
     
     ラテンアメリカはかつて「独裁者の牧場」と呼ばれたほど数多くの独裁者を生み出した。
     植民地支配の後、独立する際の混乱時に社会の制度の抜本的な改革が行われなかったためである。
     そのため地方の大土地所有者や軍人がその後の混乱期に力をつけていった。
     政治的社会的混乱が半世紀以上続き民衆は強力な指導者が現れて立て直し埋めてくれることを願うようになるが、その時期に登場してきたのが地方や軍で大きな力を持っているカウディーリョと呼ばれる指導的な人物、つまりボスだった。
     独裁制と革命がこの繰り返されたのは彼らの権力争いのせいである。

    6章
      メキシコの詩人、オクタビオ・パスは、ラテンアメリカの文学はそこで用いられている言語が象徴的に語っているように、ヨーロッパという大木からスペイン文学という一本の枝が切り取られ、挿し木されたものであり、それが新大陸の土壌に馴染んで根を下ろし、やがて独自の花を咲かせ、実を実らせ、小鳥が回り飛び回るようになったのだと語っています

     つまり、ラテンアメリカ諸国というのは大変若い国々で、歴史を遡っても食べるのは16世紀までで、そこで糸がぷっつり途切れてしまいます。そして先スペイン時代の遺跡がある国々では、全く異質な言語である絵文字が口承による神話的な歴史が伝えられているに過ぎませんし、そうした文明を持たない文明だと、密林に覆われているか、茫漠とした砂漠、あるいは草原が広がっているだけなのです。

     ミルチャ・エリアーデという宗教学者は、時間を直線として捉えたのはユダヤ教とその流れをくむキリスト教だけで、それ以外の宗教ほとんどが時間の循環説、円間説をとっていると言っています

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著者プロフィール

1943 年、大阪市生まれ。神戸市外国語大学名誉教授。著書に『ラテンアメリカ十大小説』ほか、訳書にバルガス= リョサ『緑の家』、コルタサル『遊戯の終わり』、リャマサーレス『黄色い雨』ほか。

「2021年 『永遠の家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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