- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004313069
作品紹介・あらすじ
毎年四月と一一月、それぞれ約四〇〇〇人への叙勲が発表され、メディアも大きく報じる。だが、そもそも勲章はいつ、何のために生まれ、どんな変遷をたどってきたのか。人選や等級はどんな基準と手順によるのか。人間の序列化、官尊民卑の助長など、批判はどう展開されてきたか。勲章の製造現場や売買の実情もまじえて、その表と裏を描く。
感想・レビュー・書評
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日本では春と秋に叙勲という「行事」があります。本書は、その歴史と今日の「民主主義」制度の元での意義について述べたものです。
特に後者については、「法の下の平等」を謳う現行憲法下で国家によるランク付け(勲一等など)が行われることの問題点に、気付かされます。そういう問題もあって、叙勲を断る例も少なからずあるようです。僕としては、ここら辺りが特に面白かった。
というのも、万が一自分が叙勲の対象になったとしたら、それを断るなんて発想はできないに違いないからです。どっちかっていうと、そういうものを欲しがる方ですからw
しかし、何事かの大家といわれる人は、そうとも限らないようです。戦後民主主義に国民的栄誉は似合わないといって文化勲章を辞退した大江健三郎、職人に勲章は要らないといった彫刻家の佐藤忠良、国家を最後のところで信じられなくなったといった城山三郎など、信念というか思想というか、ともかく確固たるものを持っていないとできないだろうなと思います。
一方で、ちょっとおもしろい例が、山岡鉄舟の辞退の理由で、勲三等の勲章を持参した井上馨(勲一等)に対して「おれから見れば、お前さんなんかふんどしかつぎじゃねえか。ふんどしかつぎのくせに、自分よりもしたの勲章をおれのところえ持ってくるなんて、とんでもねえ間違いだ」といって返上したのだとか。
僕なら買ってでも欲しがるところなのに。実際売ってるらしいです。その当たりは最終章に。やや俗な話ですが、勲章が売られることもあるらしく、最高位の勲章には宝くじ一等と同じくらいの値がついたこともあったようです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
勲章、貰うも辞退するもそれこそ個人の自由。貰うも辞退する人にもそれぞれの立場や考えがあり、単純に良いこと・気骨があると言うつもりもない。だが日頃の言動との一貫性は保って欲しい・筋だけは一本通して欲しいとは思う。キチンと筋を通す人は自分と考え方は違ってもカッコイイものです。
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法源がないこと、なのに勲章年金法という法制度があることにびっくり。江戸末期から明治の開国期に慌てて作られたもの。
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著者の底流には「勲章っているの?」というのがありますね。あらためて「勲章」とは何ものかがわかった気がします。歴史も明治初期からですし、外国からの借り物ですし・・・・。ここにも「管」優遇、特権が見え隠れしています。文化勲章すらどうかと思いますね。年間30憶円以上の出費に対して、やっぱり国民は怒らなきゃぁ・・。