次世代インターネットの経済学 (岩波新書)

著者 : 依田高典
  • 岩波書店 (2011年5月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313106

作品紹介

世界一速くて安いブロードバンドを持ちながら、なぜ日本ではグーグルやアマゾンのような企業があらわれないのか。「コンテンツ」、「通信ネットワーク」、熾烈な競争が繰り広げられる「プラットフォーム」の三層構造を踏まえ、世界を席巻しているビジネスモデルを解き明かす。情報通信産業の課題も検討、ブロードバンド立国への道を提言する。

次世代インターネットの経済学 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2007年の著作『ブロードバンド・エコノミクス』でのFMC市場分析は、難解ではあるものの説得力があるものであった。『次世代インターネットの経済学』と題した本書を期待して手に取った理由でもある。

    本書は、まずコンテンツ、プラットフォーム、通信ネットワークの各レイヤに対する分析から入っている。全体としてのまとまりや切れに欠けるきらいはあるが、個々の分析は納得感がある。『ブロードバンド・エコノミクス』でも多用していたコンジョイント分析による支払い意志(Will-To-Pay)とロックイン効果の評価をベースにした分析も含まれている。日本という先端市場での実証的分析として価値があると思う。ただし、その数字の絶対値については実感が伴っていない部分もある。その意味で経年での相対評価に、より重要な事実が含まれているように思う。

    ともかく、これまでのブロードバンド市場のアカデミックな分析の第一人者としての経験から、日本は世界一のインフラを持っている一方、競争ダイナミズム、競争政策、市場ガラパゴス化の課題を抱えていると指摘して期待感と危機感をあおっている。特に規模の経済性と需要密度の経済性が強く働くFTTH市場の中で競争政策の手綱をどのように操るのかが重要だとしている。
    この主張につながる最終章の「光の道」の裏話的なエピソードは興味深い。筆者の考えでは、ソフトバンクが言うような「光の道」を取らずとも、アクセスチャージに契約者数方式の考え方を導入することで、FTTHの裾野を100%に近い形まで無理なく広げることができるというものである。そして、その上でFTTHの利活用として放送、医療、教育、スマートグリッドなど先行させて国際的競争力を確保するべきだという。この辺りはこの紙幅の範囲で説明するには総花的にならざるをえないのであろう。どことなく省庁作成の中長期方針に似ていなくもない。個々の話の具体化はそれぞれで責任を持ってやるしかないのだろうな。

    著者は、クリス・アンダーソンの『フリー』をブードーエコノミクスと批判し、日本の一般読者に対して正しい認識に基づいたメッセージを伝えるために新書形式を取ったのだという。その意味では、体裁だけの話ではないので結果としては成功していないのではないか。『フリー』を読むような一般読者に直接届くような内容にはなっていない(笑)。本としてのエンタメ性では(勝とうと考えているわけではないだろうが)完全に負けてしまっている。この内容であれば、新書よりも単行本形式にして、通信の専門家に向けてしっかりと書いて欲しいとも思った。

    ---
    論点からは、NTTのNGN(*FTTHインフラ施策ではない)にもっと批判的であってもよかったはずだとも思うのだが、どうなのだろう。

  • 読了。

  •  インターネットをめぐる全体像を理解するには良い本だと思う。しかし、スマートフォンの機能がここまで高まるとまた別の考察が必要となっているのかもしれないとも思えた。

  • 熟成肉が流行の昨今ですが、熟成本というのもありまして、時が経ち読むべき処だけが残ってすぐ読み終わるという、ある意味美味しいものです。

  • 2階岩波新書コーナー : 332.1/IDA : 3410154056

  • ADSLや光などのインフラ関連の話が中心だった。僕はある程度経済学を勉強したが、経済学は物事を解説するのに向いており、意思決定をするのには向いていないと思う。基本的に二元論で話をするからだ。歴史の勉強にはなったが未来のことは参考にならなかった。

  • インターネットと経済学をうまくミックスさせた著書。冒頭の「FREE」への批判は驚いたが、両者市場の経済学など経済学のノウハウを知らない者にとってはためになる理論が紹介されている。

    ただ、インターネットの展開希望についてはFTTHへの期待やスマートグリッドなどありがちな出口(無論、重要ではあるが)に終始している印象がある。日本は有線・無線問わず、諸外国と比べても類を見ないブロードバンド大国である。こうしたプラットフォームをうまく活用できるような需要喚起、および経済学をエッセンスだけでなく、もう少し深く知りたいというのが正直なところだ。

  • ちょっと難しい経済学の本だった。かつてソフトバンクがA案か?B案か?で大々的に意見広告を出していたものの意味が何となく解った。

  • この本を手にして読んでみたきっかけというのは将来起こりうることを少しでも自分なりに読みといてみよう、という思いがあったのですが、正直な話、あまり僕の身にはならなかったようです。残念ながら。

    僕はこれからのインターネット社会及び経済動向が理解できるかな?と思ってこの本を読み始めてんですけれど正直な話、僕にはよく理解できませんでした。詳しい事情は僕もよくわかりませんが、日本のブロードバンドが世界一安くて速いのは孫正義さんがメチャクチャなリスク。それこそ社員全員に
    『俺と一緒に討ち死にしてくれーッ!!』
    と叫ぶようなクレイジーな人がいたからこそ達成できたわけで、今の日本人であれだけのリスクをとって前進できる人間はそういないでしょうよ。

    そして、日本になぜグーグルやアマゾンのような『イノベーション』を起こすような会社が生まれないか、という疑問には堀江貴文さんを『国策捜査』の果てに収監するような社会がそういう会社がなぜ現れないのか?なんて言ってはいけないんだと僕は考えます。『コンテンツ』『通信ネットワーク』そして『プラットフォーム』――。

    組織に所属している。もしくは独立して個人でやっている人間。それに関わらず考えていかなくてはいけない問題難だろうと。これは望む望まないに関わらずだれもに平等に突きつけられたことなんだと。間違いをあえて承知の上で言わせてもらえば、これが僕がこの本の中で学んだこと、でしょうか。この三つが世界を席巻するなかで自分はどのようなスタンスでいるのか?その参考にしていただけるとうれしいです。

  • 後輩のレポート用に読んだ本。
    日本の情報通信産業について経済学からアプローチした本であるが、
    ITの現状を知らない著者が書いた本であるため、
    適切なアプローチができていない。

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