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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004313175
感想・レビュー・書評
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平和主義者、理想主義者と謳われている著者が若き日に、東大紛争では加藤総長代行の補佐として活躍した場面の回想では、現実逃避で判断しない大河内総長、責任をとらない医学部関係者への怒り、歯に絹をかぶせない厳しい批判をしています。一方、法学部は決して権威主義の象徴ではないと著者が力説することが分かります。東大紛争開始から安田講堂落城、その後の経緯は詳細で、授業再開後、坂本氏の授業粉砕を叫ぶ全共闘学生に対し、果敢に挑み、8時半からの1時限に授業を移したというエピソードは笑えました。それにしても現実主義者と言われる高坂正堯氏との対談後の評価「この人は戦争の傷を身にしみて経験していない」は鋭く、橋本龍太郎首相の戦争責任の自覚を、遺骨収集と同レベルの話と捉えているとの指摘など、著者の中国への深い罪の負い目意識が一貫しています。
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考え方や方向性が筆者とは相いれない部分も多いと感じたが、筆者が芯のある魅力的な人物であることはよく伝わってきた。学者の自伝は面白いものが多い。
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理想主義と現実主義について。(何を言われようと)言葉を発し続けることの重要性について考える契機としたい。
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大学で平和について考えるきっかけになった坂本教授の回想録。
冷戦の研究をされていた頃の「国際政治」が、国民国家を超え、「世界政治」、そしてPost-Nationalへと進化していました。
モーゲンソーやキッシンジャーなど、世界に名だたる識者とともに時代を歩み、数多くの功績を残された坂本先生の偉大さに圧倒されました。 -
「あとがき」で初めて「聞き書き」であったことがわかり納得。口述だからこその文体の平易さ。読みやすさ。回顧録とも言われているから、ほぼ時系列。しかし、それがこの著書の魅力ともなっている。多少のズレはあっても、同時代を生きた者として、これほど「当事者」として現場を見続けた(あるいは直接英断を下した)著者に少なからず嫉妬さえ覚える。一貫した人生感、世界観を持っておられることに敬意を表したい。
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筆者は精力的な国際政治学者。見習いたいものだ。
国際政治でなく、世界政治、地球政治で物事を考えていた。
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