大学とは何か (岩波新書)

著者 :
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レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313182

作品紹介・あらすじ

いま、大学はかつてない困難な時代にある。その危機は何に起因しているのか。これから大学はどの方向へ踏み出すべきなのか。大学を知のメディアとして捉え、中世ヨーロッパにおける誕生から、近代国家による再生、明治日本への移植と戦後の再編という歴史のなかで位置づけなおす。大学の理念の再定義を試みる画期的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 中世ヨーロッパで誕生した大学がどのような変遷をたどって現代の姿になっていったのかを丁寧に紐解いた1冊。
    世界の流れ、日本の流れをたどりつつ、現在の大学を取り巻く数々の問題にも言及しています。

    過去にも大学は瀕死の危機に追い込まれ、再び蘇り、今日に至っていました。
    その最初の危機は、グーテンベルグによる印刷術の発明というメディアの大革命の影響を受けており、現代の大学もまたインターネットの世界的な普及というメディアの大きな転換点に立たされています。
    歴史的な背景を知ることで、大学の現状や将来の大学像について考えるための材料を得ることができたように思います。
    大学をメディア、すなわち「知を媒介する集合的実践が構造化された場」として見る…この視点は意識しておきたいと思いました。
    消化不良の箇所もあるので、集中できる環境で再読したいです。

    図書館で借りて読んだのですが、かなりくたびれた外観だったので随分前に出版されたものだと思っていました…が、奥付を見たら2011年刊行とのこと。
    くたびれた姿は、多くの大学人が本書を手に取りタイトルの問いに向き合った証のように感じました。

  • 白山図書館
    開架B1F文庫
    IS-NR:1318

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    3階文庫・新書
    IS-NR:1318

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    2F文庫新書
    IS-NR:1318

    板倉図書館
    文庫新書
    IS-NR:1318

  • 大学とは何か、タイトル的に大きなテーマだと思う。11〜12世紀に大学が誕生して以来のヨーロッパでの大学の歴史、そして日本の大学の歴史を振り返る。中性的モデルの発展、印刷革命と宗教改革などの近代モデル、帝国大学モデルを説明してきた。そして、今後の大学の展望を語る。

    知識の基盤として大学教育が成り立っていた過去と違い、現在ではテクノロジーの変化もあり、大学という場所に限らず、いくらでも存在する。本当に大学とは今後どんな意味を持つのかが問われている。著者的には大学は必要だが、個人的には知識を学ぶ場所という点では大学という場所はもう古いと思う。

  • 遍歴者、流浪者、旅人の中には、学者や朗読者の小さなグループもあって、そのまわりにはいつも教えを請う者たちが集まり、その影響圏に知識欲の旺盛な者たちが押し寄せた。中世の移動民たちが結びついたネットワークの結節点として大学は出発し、その組織原理の根底に越境性、脱領域性を内包している。移動する能力によって都市支配層や地主、より普遍的な皇帝や教皇の賢慮y句さえも相対化する自由を手にした。この移動性と一体をなす「都市の自由」こそが、後年に理念化される「大学の自由」の現実的な基盤だった。

    学位としては最も低い「バカラリウス」は教授補佐の免許のようなもので、助手資格に相当する。「ドクトル」は法学が中心であったボローニャ大学の学位、「マギステル」は神学や自由学芸を中心とするパリ大学の学位を意味していたらしい。 p31

    19世紀半ばの江戸や大坂、長崎などの都市で生じていた現象は、「自由に浮動する」知識人=志士たちが列島を旅しながら有力な教師について翻訳された知識を必死で学び、その外来の知の普遍性によって旧?打破を図っていこうとする、中世ヨーロッパの大学勃興期にも似た出来事であった。 p114

    【目次】
    序 大学とは何か
    1 都市の自由 大学の自由
     中世都市とユニバーシティ
     学芸諸学と自由な知識人
     増殖と衰退 −大学の第一の死
    2 国民国家と大学の再生
     印刷革命と「自由な学知」
     「大学」の再発明 −フンボルトの革命
     「大学院」を発明する −英米圏での近代的大学概念
    3 学知を移植する帝国
     西洋を翻訳する大学
     帝国大学というシステム
     「大学」と「出版」のあいだ
    4 戦後日本と大学改革
     占領期改革の両義性
     拡張する大学と学生氾濫
     大綱化・重点化・法人化
    終 それでも、大学が必要だ

  • 力作と思えるのだが、そもそも大学の成立とは・・の歴史が延々と続くので力尽きた。

  • 中世のボローニア、パリ大学に始まり、イギリスのオックスブリッジ、そして19世紀のドイツでナポレオンの仏に押される中で、知の先進国としてのフンベルト大学の隆盛、そして20世紀はジョンズ・ホプキンス大学から米国の時代に。中世から近代にかけて大学が衰退し、近代知のパラダイムが浮上した時代があった!大学が学問的想像力を失い、古臭い機関に成り下がった時代があった!デカルト、パスカルスピノザなどが大学と縁があったのか!との指摘は興味深いものがある。日本の大学がドイツのフンベルト型大学をモデルに帝国大学を導入したとのこと。森有礼の理想、そして戦後は南原繁の考え方とプロテスタンティズムが日本の大学の方向性決定づけたと言うことは興味深い。市立大学の全盛から今日の市立大学の危機の時代を迎え、このように原点に立ち返って大学を考えることは重要なことだ。

  • 大学を「コミュニケーションメディア(=媒介)」の一種と捉え、大学再定義を試みる。しかし、大学は「何々である」という普遍的な定義ではない。中世の都市、活版印刷(出版)の出現、近世の国民国家の出現と共に大学の定義は揺らいできた。ネットの出現により、メディアとしての大学の位相も劇的に変化しつつある。現在の最も大きな位相の変化は「国民国家の退潮」である。そして、国民国家の中で設立された旧制大学(特に帝国大学)モデルは、大きな転換が求められている。そのキーワードは「マネジメント力」であるようだ。
    教育面でのマネジメント力の強化のキーワードは、「リベラルアーツ」である。従来の「教養」とは異なる、「リベラルアーツ」を中世のそれをモデルにして再構造化するというものある。つまり、上級学部である「神学も法学も医学も秩序の知で、様々な矛盾がひしめき合う中で、いかに秩序を保ち、その状態をマネジメントしていくかという問いに対する答えを、神の秩序と社会の秩序、そして人体の秩序の3つのレベルで提供してきた」が、ここで生じる「諸々の矛盾する要素を総合的に結びつけ、安定的な秩序を創出するマネジメントの専門知」としてのリベラルアーツに注目し、次世代の専門知として求められるのは、「すでに飽和しかけている知識の矛盾する諸要素を調停し、望ましき秩序に向けて総合化するマネジメントの知」であり、その再構造化としてのリベラルアーツの必要性を訴える。確かに中世の大学では、学生や教師の移動性や共通言語を有していた点も、現代の大学に通じる。グローバルな社会の中で、中世の大学の成功と失敗から学べる点は多い。

  • 2011年刊。著者は東京大学大学院情報学環教授。◆内容は、転換期を迎える日本の大学をキーワードに、大学の世界史的な起源、変遷、日本への移入、日本国内での変遷を分析し、大学の将来像を提示。大学が人・情報等の知のネットワークの媒介(ハブステーション?)役を果たす指摘は、興味深い。また、よき主権者となってもらうための国民教育は現代普選下では大学までの教育で賄うべき。一方、大学教育の期待が官僚・給与所得者養成にあるとはやや時代錯誤で、知の行き着く先が国内に止まらない点、研究者養成が大学機能の一部にすぎない。
    大学の現代的な機能を先のように解釈するのは、やや理想主義にも感じるところであるが、大規模講義形式の打破という意味でも納得の結論である。

  • 僕の欲しい答えはなかった。

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著者プロフィール

吉見 俊哉
吉見俊哉:東京大学大学院情報学環教授
マイク・フェザーストーン:ロンドン大学ゴールドスミス校教授

「2015年 『メディア都市』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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