労働法入門 (岩波新書 新赤版1329)

  • 岩波書店 (2011年9月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004313298

みんなの感想まとめ

労働法の複雑さや身近さを実感しつつ、歴史的背景や制度の成り立ちを学ぶことができる一冊です。法律に不慣れな読者でも、初学者向けに分かりやすく解説されているため、労働法の基本を理解するための良い導入となり...

感想・レビュー・書評

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  •  労働関連法は身近な法律でありながら、それぞれで「労働者」の定義が違うなど、取り組みにくさや複雑さを感じることが多かった。本書は細かい部分については大胆に削ぎ落とし、骨子部分を理解しやすく伝えてくれている。
     無機質に法の解説をするだけではなく、制度が作られた背景や歴史的事実を取り上げてくれるので、より記憶に残りやすく、人類の営みの流れの中で労働法を学べるということも特色のひとつだろう。
     専門書を読む前のウォーミングアップのつもりで軽く読み流すつもりであったが、良い意味で多くの学びがある一冊だった。

  • 私は法律に関しては素人であるものの、最近法律や憲法を少しずつ学ぶようになった。そのきっかけの一つとして、身近な労働法を少しでも知りたかったので読んだ。労働法の成り立ちや内容が初学者にも分かるように書いてある。

    日本の会社は解雇がしにくいと言われているし、実際、その根拠は労働契約法一六条にある。

    当該条文によると、以下の場合、権利の濫用として解雇が無効になるとされている。
    ①客観的に合理的な理由を欠き
    ②社会通念上相当であると認められない場合

    とはいえ、実は裁判所の判例では、割と解雇が柔軟に認められていたりもするとのこと。

    労働法の変遷を辿っていくこと、すなわち労働の歴史だなと。というか、労働に限らず、あらゆる法律を知ることは、その分野の歴史を知ることなのかも。(会計とかも)

    色んな法律を知らないというのは、何も武器を持たずにいるようなものなのかもしれないと感じた。知ることで声を上げることも出来るし、制度を少しずつ良くしていくことも出来る。

    100年前に比べたら労働環境は劇的に良くなったとはいえ、まだまだ課題は山積している。結局会社の言いなりという構図からは中々抜けられない。

    例えば、リモートワークが出来ることを謳っていた会社が、突然リモートワークをやめて出社回帰と言い出す会社が存在している。これは本当にその通り従うしかないか?と一考する余地がある。

    とはいえ、こういう場合、会社の言うことが嫌なら辞めたり、転職すれば良いという自己責任論がすぐに出てくる。ただし、そうした自己責任論は、むしろ思考停止の始まりではないかと。

    というか、そうしないために法律があるのだと思う。労働を法律で縛るというのは、法的拘束がないと、企業対労働者のパワーバランスはすぐに崩れてしまうという経験に基づくものなのだなと。

    法律のアップデートされていく変遷を見ていくのも楽しいかも。

  • ようやく読み終わりました。概ね一週間以上もかかって、よくわかったのはいかに物を知らずにいたか、ということでした。読んだからといって理解できているわけもありません、これは改めて勉強しなきゃいけないな、ということで、読み終わったけれどまた読む、という意味で積ん読にしておきます。

    勉強、しなきゃダメだね、もっともっと!

  • 社労士の勉強の為に読んだ。過去の歴史が書かれていて法ができていく過程と背景がわかり参考になった。国によって労働に対する視点が違っている。大前提は自由意志による契約。しかし、弱くなりがちな立場の労働者を守るため法の強制力が働く。
    ①解雇の原則
     アメリカ=いつでも理由なく解雇できる。
     フランス、ドイツ=解雇の経営判断については、会社の判断を尊重。
     日本=解雇に対して、かなり厳しい規制が加えられている。
    ②労働者、使用者の概念にも労働基準法、労働契約法、労働組合法で違いがある。
    ③これからの労働法の姿
     国家(法律)、集団(組合)、個人の3つがよい関係性をもってよい方向に進んでいくことが必要。

  • とても読みやすかったです。
    労働法がどう言う考えで作られ、形成されていっているのか、根底の考え方が知れました
    労働法に初めて触れる仕事をされている方必見

  • 10年以上前の本なので、現在の状況とは違う部分もあるんだろうけど。
    知らなかったことを知るというのは嬉しいことです。

  • 労働法について広く浅く知ろうとするならいい本。
    これから勉強するための準備にもなる。

  • 労働法に関する幅広い知識の習得のために読了。
    入門書というタイトルの通り、労働法について本格的に学んだことのない方や、企業勤めだが会社の規則などになんとなく従ってきた方、などにオススメである。

    まずは「労働」とは何か?から始まり、その起源や歴史的背景を読み解く。大切なのは、現代の労働法に続くまでの血筋の中には、産業革命時代の工業化に伴う労働法のエッセンスが含まれていること。これが、現代の企業内での労使関係やパワーバランスの不均衡などにも繋がっている。

    そして、現在の個別ごとの労働法の特徴や、内包する問題点を炙り出している。国家 - 集団 - 個人の3点から観察した時に、特に日本の労働法はアンバランスさが際立つ。理由として、日本固有の終身雇用制・年齢を重ねるに連れた昇進制度などを前提とした企業文化が存在する。労働法に求められる役割は、企業-個人の調和を保ちつつ、より良い職場環境の実現と企業発展である。そのためには、従来の日本の企業文化に囚われ過ぎないような、新たなアプローチが必要である。

  • 入門というタイトルだけあって、初心者向けの本。組合役員になろうとする人は読んでおいたほうがいい。

  • 水町勇一郎『労働法入門』岩波新書 読了。良質な入門書。労働者として働くならば、これらの知識は武器になる。共同体を重視する日本の労働関係の特徴により、持ち腐れな側面もあろう。自らの権利を積極的に主張できる環境にある労働者が増えれば、よりよい社会の在り方に近づくのではと思うわけだが。
    2011/11/13

  • 労務に関する新人研修の講師をするにあたり、参考図書として読んだ。良書。
    法とは何かから始まり、労働法の背景や他国との比較など、最後まで面白く読ませていただいた。

  •  全体的に少し難しく感じる部分もあったが、わかりやすく段落が分けられていた。
    本自体の大きさは、文庫の小さい本に比べ、縦が少し長い。
    日本と、アメリカやヨーロッパの特徴を比べるので、他国の労働法も多少学べた。

     アメリカや、ヨーロッパでは、雇われて働いている人を、「労働者」という言葉を使う。
    日本では、会社という共同体の中に入る「会社員」だ。
    そう、日本では企業共同体への人的帰属関係が強い。
    協調性が高いと言えば聞こえはいいが、社内で従業員同士の輪から逸れている人は、差別されたりする。
    そして、個人が組織の中に埋没してしまい、会社の言われるがままになる面がある。

     身近な事柄も書かれているので、わかりやすく知りたい時には、使えそうだ。
    例えば、採用・労働差別、昇進・昇格・降格、人事異動、男女雇用機会均等、
    育児休暇、その他の休暇・休業、労働時間など。

     労働組合に加入している人や、周りに労働組合がある人にも、参考になる。

    これからは、自己責任が問われる時代だけあって、こうした労働法を知って、会社のいいなりにならないようにしたい。

  • 【著者紹介】水町 勇一郎(みずまち ゆういちろう、1967年11月15日 - )は、日本の法学者。専門は労働法。東京大学教授。
    【どんな本?(帯より抜粋)】働くことはどういう意味をもつのか。
    働くことをめぐってさまざまな問題を抱える労働者に、労働法はどう役に立つのか。
    採用・人事・解雇・賃金・労働時間・雇用差別・労働組合・労働紛争などの基礎知識をはじめ、欧米諸国との比較や近年の新しい動きも満載。労働法の根幹と全体像をやさしく説き明かす、社会人のための入門書。
    【ここがオススメ!】
    ・その名の通り、労働法(労働に関係する諸法)の入門書。特に、大学等で労働法を学んでいない一般人向けに書かれており、非常に取っ付きやすい。なぜなら、個々の労働法の説明ではなく、そもそもの労働法の考え方・背景、全体像を示しているから。
    ・欧米諸国(アメリカ、フランス、ドイツなど)と日本の労働法を比較することで、日本の労働法の特徴が浮かび上がる。(当たり前なのだが、) 労働法(法律)って各国によって異なることに気づく。 (入社時の差別を強く規制する欧米に対し、日本は緩い。
    ・法律おもしれえかもって思える本。 その国の社会をあらわしているのな。
    【一部内容紹介】
    ◆日本の労働関係の特徴
    ①日本の労働関係の人間的・共同体的性格
    Q.働く人と会社の関係は、「労働と賃金との交換契約」か、「会社という共同体への人的帰属関係」か。日本は後者が想定的に強い。 それは、終身雇用(長期雇用慣行)を中心とした日本的雇用システムのあり方を密接に関わる。(定年まで雇用、余程のことがない限り従業員を解雇しない) 日本は、就職 というより 就社。 職業に対して就くというより会社に就く。 欧米…労働者(worker)、被用者(employee)という言葉に対し、日本は会社員という言葉。(最近は従業員か)
    ②日本は、就業規則に重きをおく
    アメリカは個別の交渉による労働契約、ドイツフランスは、労働組合との団体交渉による労働協約 に相対的に重要な役割。日本は、就業規則にほぼすべての労働条件が記載。変更内容が合理的であれば、変更に反対している労働者がいても労働者全体を拘束するもの。
    □.労働法の法源(法源…権利や義務を根拠づけられるもの)  強い①→④弱い
    ①法律(強行法規) … 労働基準法、最低賃金法、労働契約法、育児介護休業法など 
    ②労働協約(規範的効力)… 労働組合法16条  
    ③就業規則(最低基準効)… 労働契約法12条
    ④労働契約… 明示(・黙示)の合意、民法など

  • かなり良い労働法の入門書に出会えた。守備範囲はバランスが良い。問題設定が咀嚼されていて、内容は専門的知識の基盤となる。
    働くことは、個人の人格の形成につながる側面がある一方で、物のように使い捨てられ人格を損なう側面がある。では、どういう場合にそうなるのか。それは上司の扱い一つ。その扱いは、法令の何から由来しているか。又は逸脱しているか。自分の人生を守るために必要な知識である。わからなくなったら、この本に立ち返るのだ。

    「世の中にはたくさんの人が住んでいる。略 共通のルールを定めることにした。このルールが法である。」
    「法律は一般意思の表明である。」
    「人は契約と法律に基づいてのみ他人から強制を受けるのである。」

  • アメリカ、ヨーロッパ、日本の労働の考え方の違い。

  • 非常に分かりやすく、分野も網羅的で、背景から今後の展望まで描かれていた。
    ただ「かく規制されている」だけではなく、「なぜ規制されているか」まで説明してくれる。

    新書としては重いが、教科書を読むよりは遥かに手軽。入門としては最適だと思う。

  • 「家族のため世間のため働く」
    日本の社会=人間・共同体的性格

    ナポレオン法典「自由・平等な個人」

    テイラー生産管理=大規模なブルカラーを想定

    労働協約>就業規則

    日本独自色=採用の自由

  • とてもわかりやすく書かれていたので、その口調に引きこまれて読んだ。
    これとセットで濱口桂一郎の「新しい労働社会」を読みたい。

    でも結局、結論として「日本人の法意識」に収斂されてしまっていったので、その「法意識」をどう形成するかにもページ割いて欲しかったな、と思う。

  • 1/16読了。著者は東大の社研教授。そもそも労働法が生まれた歴史的背景から始まり、比較法的に日本の労働法制について概説しています。また、主要な判例法理は網羅し、最新の判例動向もフォローしているほか、労働者が困ったらどうすべきかを手ほどきしたり、今後の労働法はどうあるべきかを問題提起していますので、新書ながら盛り沢山の内容になっています。お手軽に労働法全体を見渡したい方や労働法を本格的に勉強する前の一冊としてもオススメです。

  • 労働法の入門書。日本の労働法の成り立ちについて、日本の労働慣行との関連から解き明かされる。また、雇用慣行の変化に伴う今日的な労働法上の課題についても検討されている。

    国家による労働者の基本的権利の保護の要請、多様化した個人の選択や決定を重視する要請、そして、国家や個人の限界を補完する「集団」の役割の重要性。これら3つのバランスをとりながら、労働法の改正が行われることが必要となる。

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著者プロフィール

東京大学教授

「2026年 『「同一労働同一賃金」のすべて〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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